【令和7年最新】年収平均は本当に 494 万円?
賃金構造基本統計調査で見るあなたの位置
第1章:「年収平均494万円」と聞いて、納得できますか?
2026 年 3 月、厚生労働省から「令和7年 賃金構造基本統計調査」結果の概況が公表されました。男女計の所定内給与額(月額)は 340.6 千円。これに賞与込みの年収係数 14.5 を掛けると、日本人の平均年収はおよそ 494 万円になります。
でも、こう感じた方は多いのではないでしょうか。
「自分の年収はそんなにない…」
「周りの同期も、そんなにもらってる人いない気がする」
「平均って、実は高めに出てるんじゃないか?」
その違和感には、きちんとした統計学的な根拠があります。日本の所得分布は右に長く裾を引く(右裾の歪んだ)形をしているため、一部の高所得者が平均値を押し上げているのです。実際、国税庁の「民間給与実態統計調査」(令和6年分)の平均給与は 478 万円。賃金構造基本統計調査の 494 万円とは、調査対象や賞与の扱いの違いから 16 万円のギャップがあります。
本記事では、令和7年データから「平均494万円」の中身を分解し、あなたの年収偏差値が同世代・同業種・同性別でどの位置にあるのかを、客観データで明らかにします。
第2章:「平均494万円」を分解する
令和7年 賃金構造基本統計調査の所定内給与額(月額)を、属性別に並べると以下のようになります。
| 区分 | 月額(千円) | 年収換算(万円) | 全国平均比 |
|---|---|---|---|
| 男女計 | 340.6 | 494 | 基準 |
| 男性 | 373.4 | 541 | +47 万 |
| 女性 | 285.9 | 414 | −80 万 |
| 正社員・正職員 | 358.8 | 520 | +26 万 |
| 正社員・正職員以外 | 241.7 | 350 | −144 万 |
ご覧の通り、「平均494万円」と一言で言っても、男女で 127 万円、雇用形態で 170 万円もの差があります。あなたが「平均より下」と感じるかどうかは、どの集団と比較するかで全く違ってくるのです。
年代別に見ると、さらに明確
正社員・男性の年代別月額(千円)はこうなっています。
| 年齢 | 正社員 男 | 年収換算(万円) |
|---|---|---|
| 25-29歳 | 292.4 | 424 |
| 30-34歳 | 337.0 | 489 |
| 35-39歳 | 374.2 | 543 |
| 40-44歳 | 406.3 | 589 |
| 45-49歳 | 429.7 | 623 |
| 50-54歳 | 449.2 | 651 |
| 55-59歳(ピーク) | 460.7 | 668 |
| 60-64歳 | 390.5 | 566 |
30 代前半で 489 万円、40 代前半で 589 万円、50 代後半でピークの 668 万円 — 年代が変われば、平均も大きく変わる。「全国平均494万円」は、これら全年代の混合値に過ぎないのです。
視点:自分が比較すべき「平均」は、全国平均ではない
もしあなたが 35 歳・男性・正社員なら、比較すべきは「全国男女計 494 万円」ではなく、「35-39歳・男性・正社員 543 万円」です。同じ年収 500 万円でも、前者なら平均超え、後者なら平均以下。
このように、属性を絞った「同年代・同性別」の平均を知ることが、本当の自分の位置を測る出発点になります。
第3章:「平均値」と「中央値」の違い — どちらが実感に近い?
所得統計を語るとき、「平均値」と並んで重要なのが 中央値(メディアン)です。中央値とは、全員を年収順に並べたとき、ちょうど真ん中の人の年収のこと。
日本の所得分布は右に長く裾を引いているため、平均値は中央値より高くなります。具体的には:
- 平均年収(賃構調 R7):494 万円
- 中央値(log-normal 推定):約 430 万円
- 差:64 万円(平均が中央値より約 15% 高い)
つまり、「平均494万円」は半分以上の人より高い数字なのです。「自分の年収は平均以下だ」と感じる人が多いのは、この分布の歪みが原因です。
とはいえ、「年収偏差値」という概念は本来 平均値ベースで計算されるもの。偏差値 50 = 平均、偏差値 60 = 上位約 16%、というのが標準的な解釈です。だからこそ、まずは 平均値ベースの偏差値で自分の位置を測ることが、最も統計的に正統な出発点になります。
第4章:偏差値という「位置を見る道具」
偏差値は、あなたの値が平均からどれだけ離れているかを示す指標です。
偏差値 = 50 + (あなたの年収 − 平均) ÷ 標準偏差 × 10
このシンプルな式で、以下が読み取れます。
| 偏差値 | 意味 | 上位 |
|---|---|---|
| 40 | 平均より 1 標準偏差下 | 下位 約 16% |
| 50 | 平均ちょうど | 真ん中 |
| 60 | 平均より 1 標準偏差上 | 上位 約 16% |
| 65 | 平均より 1.5 標準偏差上 | 上位 約 7% |
| 70 | 平均より 2 標準偏差上 | 上位 約 2.3% |
| 75 | 平均より 2.5 標準偏差上 | 上位 約 0.6% |
例えば、35歳男性・正社員のあなたが年収 600 万円だったとします。同年代・同性別の平均 543 万円、標準偏差を約 200 万円と仮定すると:
偏差値 = 50 + (600 − 543) / 200 × 10 = 52.85
「全国平均494万円より高いから上位だろう」と思っていたのが、同年代・同性別で見ると平均ちょうどだったと分かる。これが偏差値の力です。
第5章:本当の自分の位置は、6 ベースで見る
1 つの平均だけで偏差値を出すのは粗すぎます。本サイトの「年収偏差値(平均値版)」では、以下の 6 つのベースで同時に偏差値を算出します。
- 全国平均 — 日本人全体の平均との比較(494 万円)
- 同業種 — 16 業種別の平均(金融業・保険業 = 645 万、医療・福祉 = 449 万 など)
- 同年代・同性別 — 11 年齢階級 × 2 性別の平均
- 東京都 — 東京基準(係数 1.228)
- 同企業規模 — 大企業(558 万)/ 中企業(473 万)/ 小企業(443 万)
- 同学歴 — 大学院卒、大学卒、専門・短大卒、高校卒、中学卒
同じ年収 600 万円でも、例えばこんな違いが出ます:
| ベース | 例:35歳男性・大学卒・情報通信業・東京都・大企業の年収600万 |
|---|---|
| 全国平均 | 偏差値 約 56(平均超え) |
| 同業種(情報通信業) | 偏差値 約 50(業界平均ちょうど) |
| 同年代・同性別 | 偏差値 約 53(やや上) |
| 同企業規模(大企業) | 偏差値 約 47(大企業平均より下) |
| 同学歴(大学卒) | 偏差値 約 49(同学歴の真ん中) |
| 東京都 | 偏差値 約 49(東京水準では平均ちょうど) |
このように、「同じ年収でも、見るベースで偏差値は 7 以上振れる」のが現実です。1 つの「平均494万円」だけで自分の位置を判断するのは、視野が狭すぎるのです。
第6章:1 分でできる、あなたの年収偏差値診断
ここまで読んでくださったあなたは、もう「平均494万円」だけでは自分の位置が見えないことを理解されたはずです。では、あなた自身の属性で 6 ベースの偏差値を出すと、どうなるでしょうか。
性別・年齢・学歴・業種・都道府県・企業規模・年収を入力すれば、令和7年 賃金構造基本統計調査ベースの偏差値が 6 ベース同時に算出されます。約 1 分。
年収偏差値を診断する →「同年代の中ではどう?」「業界内ではどう?」「東京基準ならどう?」 — 一つの数字では見えなかった多次元の自分の位置が、立体的に分かります。
第7章:数字を「自分の武器」に
「年収平均494万円」という数字は、ニュースのヘッドラインとしてはインパクトがありますが、あなた個人の意思決定にはほとんど役に立ちません。重要なのは、自分の属性を絞り込んだ上での平均と、そこからの偏差値です。
今回のポイント:
- 令和7年 賃構調の男女計平均は 494 万円(月額 340.6 × 14.5)
- 所得分布は右に裾を引くため、中央値(約430万円)は平均より低い
- 「平均より下」と感じる人が多いのは、分布の歪みが原因で、自分が劣っているからではない
- 本当の位置は、同年代・同性別・同業種など 6 ベースで見るべき
転職、昇給交渉、住宅ローン、結婚、子どもの教育費 — どんな家計判断も、「自分の年収が今、社会のどの位置にあるか」が分かっていなければ始まりません。まずは正確な自分の偏差値を知ることから。