【2026年度版(令和7年度)】
労働組合の有無で年収偏差値は変わる?
組織率16.0%が映す「会社規模」の壁
労働組合の有無で年収偏差値は変わる? 組織率16.0%が映す「会社規模」の壁
第1章:「組合のある会社は、給料がいいらしい」その実感は本当でしょうか
転職を考えているとき、あるいは同窓会で旧友の近況を聞いたとき、ふとこんな声を耳にすることがあります。
「あそこは組合がしっかりしているから、ボーナスも昇給も安定しているよ」
なんとなく「労働組合のある会社は給料がいい」というイメージを持っている方は多いはずです。一方で、自分の会社には組合がない、あっても入っていない、という方も少なくありません。
では、労働組合の「ある・なし」は、本当にあなたの年収——そして年収偏差値——と関係しているのでしょうか。「組合があるだけで給料が上がるなら、みんな組合を作るはずでは?」という疑問もわいてきます。
この記事では、厚生労働省が公表する令和7年(2025年)の2つの公的調査を重ね合わせて、この素朴な疑問に正面から向き合っていきます。結論を先に言えば、組合の有無と年収偏差値は 「会社の規模」という一本の軸を通じて 強く結びついています。その構造を、データで一つずつ解きほぐしていきましょう。
出典: 厚生労働省「令和7年 労働組合基礎調査の概況」(2025年12月24日公表) 出典: 厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」結果の概況(2026年3月24日公表)
労働組合は大企業ほど組織率が高く(令和7年で1,000人以上38.7%/99人以下0.7%)、大企業ほど賃金が高い(大企業385.1千円/小企業305.6千円)ため、組合のある会社で働く人は年収偏差値が高めに出やすい——という、「企業規模」を介した相関関係を指します。組合の有無そのものが賃金を直接決めるわけではありません。
第2章:労働組合に入っている人は、いまや「6人に1人」
最初に押さえておきたいのが、日本で労働組合に入っている人がどれくらいいるか、という事実です。
厚生労働省の令和7年 労働組合基礎調査によると、労働組合員数は992万7千人、推定組織率は16.0% でした。これは前年より0.1ポイント低下し、過去最低 を更新した数字です。組織率16.0%とは、雇われて働く人のおよそ 6人に1人 しか労働組合に入っていない、という意味になります。
組織率は長年にわたって低下傾向が続き、過去最低を更新し続けています。背景には、組合の組織化が進みにくいサービス業や小規模事業所で働く人が増えたこと、非正規雇用の拡大などがあると指摘されています。
「組合は当たり前にあるもの」と感じている方がいる一方で、全体で見れば組合に入っている人はむしろ少数派です。そして、この「入っている人と入っていない人」が、どこで分かれているのか。そこに、年収偏差値との関係を読み解く最大の鍵があります。
推定組織率 16.0%(過去最低)/ 組合員数 992万7千人 / 労働組合数 22,244組合
→ 雇用者のおよそ「6人に1人」しか組合に入っていない
第3章:令和7年データが示す現実 — 組合は「大企業」に集中している
ここからが、この記事の核心です。労働組合の組織率を 企業規模別 に見ると、まったく違う風景が見えてきます。
令和7年 労働組合基礎調査の企業規模別(民営企業)の推定組織率は、次の通りです。
大企業(1,000人以上)の組織率は38.7%。100〜999人規模では9.9%まで下がり、99人以下では わずか0.7% です。1,000人以上と99人以下では、組織率に 約55倍 もの開きがあります。
なぜここまで差がつくのでしょうか。労働組合は、ある程度まとまった人数の従業員がいて初めて運営が成り立ちます。少人数の会社では組合を作る人的な余力も交渉力も生まれにくく、経営者との距離も近いため、組織化が進みにくいという事情があります。歴史的に見ても、大企業を中心に組合が整備されてきました。
つまり「労働組合がある会社で働いている」ということは、統計的にはほぼ「大企業で働いている」ことと重なります。組合の有無は、それ自体が独立した条件というより、会社の規模を映す鏡 になっているのです。
第4章:産業によっても、組合の「濃淡」がある
企業規模だけでなく、産業によっても組合員の分布には大きな偏りがあります。令和7年の労働組合員を産業別に見ると、製造業に集中していることが分かります。
組合員のうち、製造業が261万4千人(全体の26.5%)と最も多く、次いで卸売業・小売業が157万4千人(16.0%)、建設業が83万5千人(8.5%)と続きます。組合員のおよそ4人に1人が製造業で働いている計算です。
大手メーカーを中心に組合が整備されてきた歴史的な経緯が、いまも産業別の数字にはっきりと表れています。逆に言えば、組合の少ない産業——たとえばサービス業や小規模な事業所が多い分野——で働く人は、組合のある環境に身を置く機会そのものが少ない、ということになります。
第5章:会社規模が変われば、賃金も変わる
では、組合の有無を左右していた「会社の規模」は、賃金とどう関係しているでしょうか。ここで、もう一つの令和7年データ——賃金構造基本統計調査——を重ねます。
企業規模別の月額所定内給与(男女計)は、次の通りです。
大企業は385.1千円、中企業は326.2千円、小企業は305.6千円。大企業と小企業の月額差は79.5千円で、賞与を含めた年収に換算すると、およそ100万円を超える差になります。
年収換算でみると、大企業は約584万円、小企業は約463万円です。当サイトの年収偏差値ツールでは、全国の一般労働者(男女計)の平均である 年収約516万円が偏差値50 の目安です。大企業の水準は偏差値50を上回り、小企業の水準は偏差値50を下回る、という関係が見えてきます。
しかも、この差は月給だけの話ではありません。一般に大企業は賞与(ボーナス)の支給月数が手厚く、退職金や各種手当を含めた生涯の総額では、規模による差はさらに開いていきます。
第6章:3つのデータをつなぐと見える「構造」
ここまでの令和7年データを並べると、一本の線でつながります。
② 大企業ほど賃金が高い(大企業 385.1千円 / 小企業 305.6千円)
③ ゆえに「組合のある会社」は年収偏差値が高く出やすい
注意したいのは、これは「労働組合に入れば給料が上がる」という 直接の因果を示すものではない という点です。賃金構造基本統計調査は、組合員と非組合員の賃金を直接比べた表を公表していません。
組合員は正社員に多く、パートタイム労働者の組織率は1割に満たない水準にとどまります。正社員と非正規でどれだけ年収偏差値が変わるかは、雇用形態版の年収偏差値診断(/employment/)でも確かめられます。
ここで言えるのは、組合の有無と年収偏差値は「企業規模」を介して強く結びついている ということです。組合がある会社の多くは大企業であり、大企業は賃金水準が高い。その結果として、組合のある環境にいる人は、年収偏差値も高めに出やすい——という相関の構造です。「組合があるから高い」のではなく、「組合がある会社は、もともと賃金の高い大企業であることが多い」と読むのが、データに忠実な理解です。
加えて、労働組合には賃上げ交渉の主体という側面があります。2025年の春闘では、連合の最終集計で賃上げ率5.26%、厚生労働省が集計した民間主要企業では5.52%と、2年連続で5%台の賃上げが実現しました。組合員はこうした集団的な賃上げの恩恵を受けやすい立場にあります。
ただし、組合に入っていないからといって賃上げと無縁というわけではありません。2025年春闘では中小企業の賃上げの伸びも目立ちました。大企業の賃上げが取引先の中小企業へ波及していく流れも、少しずつ広がっています。
第7章:組合のない会社で働く人は、どう考えればいいのでしょうか
ここまで読んで、「自分の会社には組合がない」と少し不安になった方もいるかもしれません。ただ、組合の有無はあくまで会社規模を映す一つの指標であり、それだけで自分の価値が決まるわけではありません。
組合のない環境で年収を考えるとき、選択肢はいくつかあります。
- 組合のある大企業へ転職する — 規模の大きい会社は、賃金水準も賃上げの安定性も高い傾向があります。ただし転職には移行コストやミスマッチのリスクも伴います。
- いまの会社で実績とスキルを積み、個別に交渉する — 組合による集団交渉がなくても、専門性や成果を武器に、個人として処遇を高めていく道があります。
- 規模以外の価値を重視する — 裁量の大きさ、成長機会、働き方の自由度など、賃金以外に重視したい条件があるなら、組合のない中小・ベンチャーが合う場合もあります。
どれが正解ということはありません。大切なのは、「組合があるかないか」という一点に振り回されず、自分にとって何が重要かを踏まえて判断することです。データはあくまで現在地を知るための地図であり、進む道を決めるのはあなた自身です。
第8章:では、あなたの年収偏差値はいくつでしょうか
組合の有無、会社の規模、産業、賃金の水準。これらが企業規模を軸につながっていることが見えてきました。
では、いま読んでいるあなた自身は、どの位置にいるのでしょうか。
「組合があるかどうか」だけでは、あなたの正確な立ち位置は分かりません。年収偏差値は、性別・年齢・学歴・企業規模・業種・都道府県という6つの属性の組み合わせで、10ポイント以上も動きます。会社の規模は、その重要な要素の一つです。
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約1分で、あなたの性別・年齢・学歴・企業規模・業種・都道府県を踏まえた正確な偏差値が分かります。勤め先の規模を「大企業」から「小企業」に変えるだけでも、偏差値が大きく動くことを体感できます。
第9章:よくある質問
第10章:データを、自分の現在地を知る手がかりに
「組合のある会社は給料がいい」という実感は、令和7年のデータで見ると、半分は当たっていて、半分は説明が足りていません。正確には、「組合のある会社の多くは大企業であり、大企業は賃金が高い」 という構造があります。
大切なのは、組合の有無という一点だけで自分を評価しないことです。会社の規模、産業、年齢、地域——複数の要素を踏まえて初めて、あなたの本当の現在地が見えてきます。
まずは自分の偏差値を知ること。それが、転職や昇給を考えるときの、確かな出発点になります。
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年収偏差値ラボ(DataLabo)編集部は、厚生労働省・金融庁などの公的統計のみを一次出典として、年収・資産・退職金の偏差値を解説しています。本記事は令和7年 労働組合基礎調査(2025年12月公表)と令和7年 賃金構造基本統計調査(2026年3月公表)に基づき、推測値を用いず、出典を明記する方針で執筆しています。
記事出典・参考データ: - 厚生労働省「令和7年 労働組合基礎調査の概況」(2025年12月24日公表) - URL: https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/roushi/kiso/25/ - 厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」結果の概況(2026年3月24日公表) - URL: https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/ - 厚生労働省「2025年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」(2025年8月公表) - 日本労働組合総連合会(連合)/日本経済団体連合会(経団連)2025年春季労使交渉 各最終集計
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