BLOG ARTICLE / 年収偏差値の国際比較

【2026年度版(令和8年度)】
日本の年収は世界で何位?
OECDで見る「ドル建て年収偏差値」と失われた30年

2026年6月19日 出典:OECD・FRED(米連邦準備) 年収偏差値ラボ(DataLabo)

「日本の年収偏差値」を国内で語るとき、私たちは日本人どうしの中での位置を見ています。しかし視野を世界に広げると、まったく違う景色が見えてきます。本記事では、OECDなどの公的データだけを使って、日本の年収が世界の中でどの位置にあり、この30年でどう変わったのかを見ていきます。結論を先にお伝えすると、日本の賃金は世界の中で静かに地盤沈下しており、円安がそれに追い打ちをかけています。

本記事の数値はすべて公的データ(OECD「平均年賃金」「賃金デシル比」、米連邦準備のFREDが公開する為替・米国賃金)に基づき、推測値は用いていません。取得日は2026年6月19日です。


第1章:「失われた30年」を1枚のグラフで

まず、各国の実質平均年賃金(物価上昇を除いた、購買力平価換算のドル額)が、1990年から2024年までにどれだけ伸びたかを見てみましょう。購買力平価で換算しているため、為替の変動を取り除いた「実力」の比較です。

図1|実質平均賃金の伸び(1990→2024、34年間)— 日本だけが横ばい
GROWTH OF REAL AVERAGE WAGES 1990–2024 — OECD, USD PPP
🇰🇷 韓国
+95.2%
🇺🇸 米国
+50.5%
🇬🇧 英国
+48.4%
🇦🇺 豪州
+39.0%
🇨🇦 カナダ
+38.0%
🇫🇷 フランス
+33.4%
🇮🇹 イタリア
−1.6%
🇯🇵 日本
+0.8%
日本の実質平均賃金は34年間でわずか+0.8%。主要国でイタリアと並ぶ最低水準の伸びです。同じ期間に米国は1.5倍、韓国は約2倍になりました。
SOURCE:OECD「Average annual wages」(実質・USD購買力平価換算)/取得日2026年6月19日。ドイツは1991年以降の系列のため除外。

日本(+0.8%)とイタリア(−1.6%)だけが、ほぼ伸びていません。これが「失われた30年」と呼ばれる現実を、賃金の面から端的に示した1枚です。


第2章:日本は2022年、韓国に賃金で抜かれた

特に象徴的なのが韓国です。1990年の韓国の実質平均賃金は約26,105ドルで、日本(約49,070ドル)の約53%、つまり「日本の半分」でした。ところが韓国はその後34年で+95.2%と急成長し、日本はほぼ横ばい。その結果、2022年に韓国(約50,671ドル)が日本(約50,458ドル)を上回りました。

🇯🇵 日本🇰🇷 韓国韓国/日本
1990年$49,070$26,10553%
2010年$49,375$43,02687%
2022年$50,458$50,671100.4%(逆転)
2024年$49,446$50,947103%

出典:OECD「Average annual wages」(実質・USD購買力平価換算)。値は四捨五入。生活コスト・労働時間などの条件差は別途考慮が必要です。


第3章:円安という追い打ち

第1章・第2章は購買力平価(為替変動を除いた実力)の話でした。ここに為替を重ねると、日本の見え方はさらに厳しくなります。次のグラフは、1990年からのドル円レートの推移です。

図2|ドル円レートの推移(1990–2025、年平均)
USD/JPY ANNUAL AVERAGE — upward = weaker yen
ドル円レートの年平均は、1995年に約94円(円高)、2011年に約80円まで円高が進んだあと、2024年には約151円まで円安が進んだ。 80 120 150 94円(1995) 80円(2011) 151円(2024) 1990 2000 2010 2020
グラフが上に行くほど「円安(同じ円でも買えるドルが少ない)」です。1995年や2011年の円高期と比べ、2022年以降は急速に円安が進みました。
SOURCE:FRED「DEXJPUS」(米連邦準備)より年平均を算出/取得日2026年6月19日。

第4章:「ドル建て年収偏差値」— 年収500万円の人は世界で何位か

ここで、当サイトの軸である偏差値を世界基準に持ち込んでみます。考え方はこうです。

日本で年収500万円(当サイトの平均494万円近辺)の人を、その年の為替でドル換算し、その年の米国フルタイム労働者の賃金分布に当てはめると、偏差値はいくつになるか。

米国の賃金分布は、中央値を偏差値50とし、散らばり(標準偏差)はOECDの賃金デシル比(D9/D1)から対数正規分布で算出します。つまり「同じ500万円の実力が、米国という土俵では何位に見えるか」を時系列で追うわけです。なおこれは『米国に行けば500万円相当をもらえる』という意味ではありません(現地では現地の賃金になります)。あくまで日本の年収水準の国際的な地盤沈下を見るための比較です。

図3|年収500万円の「ドル建て年収偏差値」(米国分布基準、1990–2025)
DOLLAR-BASED DEVIATION OF ¥5M ON US WAGE DISTRIBUTION
年収500万円のドル建て年収偏差値は、円高の1995年に62.8まで上がり、2012年も57.0だったが、円安と米国賃金上昇により2024年は40.2、2025年は39.7へと過去35年で最低になった。 偏差値50(米国の真ん中) 62.8 (1995) 57.0 (2012) 40.2 (2024) 1990 2000 2010 2020
同じ年収500万円でも、米国の土俵での位置は1995年の偏差値62.8から、2024年は40.2、2025年は39.7へと約23ポイント転落し、過去35年で最低になりました。要因は①円安(80円台→151円)と②米国の賃金上昇(中央値$30千→$60千)のダブルパンチです。
SOURCE:FRED「DEXJPUS」「LEU0252881500A(米国中央賃金)」+OECD「賃金デシル比 D9/D1」より対数正規近似で算出/取得日2026年6月19日。順位は分布の前提に依存する目安。

年収帯別・ドル建て年収偏差値(2024年)

2024年の為替(約151円)と米国の賃金分布で、日本の各年収帯がドル建てでどの位置になるかをまとめると、次のようになります。

日本での年収ドル換算(2024年)ドル建て年収偏差値
(米国分布基準)
300 万円約 $19,800約 33
500 万円約 $33,000約 40
700 万円約 $46,200約 47
1,000 万円約 $66,000約 54
1,500 万円約 $99,000約 62

国内(日本人どうし)の年収偏差値では、500万円はおおむね偏差値53前後(中央値版)です。しかし米国の賃金分布に置くと約40まで下がります。同じ年収でも「どの国を土俵にするか」で位置は大きく変わります。


第5章:名目とPPP — 同じ現実の「二つの顔」

ここまでで、相反するように見える2つの事実が出てきました。整理します。

どちらも同じ現実の別の顔です。「日本国内で生活する」視点ならPPP、「海外と比べる・海外で稼ぐ」視点なら名目——目的によって見るべき指標が変わります。片方だけを見ると、現実を読み違えます。


第6章:では「若いうちは海外も選択肢」なのか

ここから言えることは、「海外で働けば名目賃金は高くなりやすい」という事実です。とくに若く、語学やキャリアの可動性が高いうちは、海外で働くことが一つの選択肢になり得ます。ただし、これは事実の提示であって、海外移住を勧めるものではありません。判断にあたっては、次の点も併せて見る必要があります。

変える人も、変えない人もいます。どちらが正しいということではなく、世界の中の自分の現在地を知ったうえで選ぶことが大切だと、私たちは考えています。


第7章:あなたの年収偏差値を診断する

まずは「国内での自分の現在地」を正確に把握することから始めましょう。年収偏差値ラボでは、令和7年 賃金構造基本統計調査をもとに、性別・年齢・学歴・企業規模・業種・地域で母集団を指定して診断できます。

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関連記事:年収偏差値の早見表はなぜズレる?「平均=偏差値50」の正規分布の罠平均年収と中央値、どちらが本当のリアルか


第8章:よくあるご質問

Q. 日本の平均賃金は世界(OECD)で何位くらいですか?
OECDの実質平均年賃金(購買力平価換算・USD)で見ると、日本は主要先進国の中で下位グループです。1990年から2024年の34年間で日本は+0.8%とほぼ横ばいで、米国+50.5%、英国+48.4%、韓国+95.2%と差が開きました。日本の平均賃金は1990年に米国の約89%でしたが、2024年には約60%まで低下しています。
Q. 日本は韓国に年収で抜かれたというのは本当ですか?
OECDの実質平均年賃金(USD購買力平価)では、2022年に韓国(約50,671ドル)が日本(約50,458ドル)を上回り、逆転しました。1990年時点では韓国は日本の約53%でしたが、韓国が34年で+95%伸びたのに対し日本はほぼ横ばいだったためです。なお生活コストや労働時間などの条件は別途考慮が必要です。
Q. ドル建て年収偏差値とは何ですか?
日本で同じ年収(本記事では500万円)の人を、その年の為替でドル換算し、その年の米国フルタイム労働者の賃金分布に当てはめたときの相対的な位置を偏差値で表したものです。米国の賃金分布の中央値を50、散らばりはOECDのデシル比から対数正規分布で算出します。年収500万円のドル建て年収偏差値は、円高だった1995年の62.8から、円安が進んだ2024年は40.2へと過去35年で最低になりました。
Q. 円安だと年収偏差値は下がるのですか?
日本人どうしで比べる国内の年収偏差値は、為替が動いても変わりません(国内の順位は円安と無関係)。変わるのは、比較する相手を海外(米国など)の賃金分布にしたときです。円安が進むと同じ円の年収はより少ないドルになり、米国の分布の中では下の位置に移るため、ドル建ての年収偏差値は下がります。一方、購買力平価(PPP)で見ると為替変動の影響は小さくなります。
Q. 年収が高いなら海外で働いたほうがよいのですか?
データは「海外のほうが名目賃金は高い傾向」を示しますが、行く・行かないは読者ご自身の選択です。判断には名目賃金だけでなく、生活コスト(購買力平価)、税・社会保険、ビザ、語学・キャリアの継続性なども併せて見る必要があります。本記事は事実(公的データ)を提示するもので、特定の行動を勧めるものではありません。

第9章:世界の中の現在地を、地図として

「失われた30年」は、抽象的な言葉ではなく、賃金データの中にはっきり刻まれています。日本の実質賃金は34年で+0.8%。その間に韓国に追い抜かれ、円安が国際的な見え方をさらに押し下げました。年収500万円のドル建て年収偏差値は、過去35年で最低の水準にあります。

とはいえ、これは絶望のための数字ではありません。現在地を正しく知ることは、次の一歩を選ぶための地図になります。国内で比べるのか、世界と比べるのか。留まるのか、動くのか。その判断の材料として、まずはご自身の年収偏差値を確認してみてください。

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編集部より
DataLabo 編集部
年収偏差値ラボ(DataLabo)編集部は、OECD・厚生労働省・米連邦準備などの公的統計のみを一次出典として、年収・資産・退職金の偏差値を解説しています。本記事は推測値を用いず、出典・取得日を明記する方針で執筆しています。ドル建て年収偏差値は、為替・米国賃金・賃金デシル比を組み合わせて当サイトが算出した指標であり、分布の前提により数値は変動します。海外移住等の判断は、生活コスト・税・ビザ等を含め読者ご自身でご検討ください。

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