【2026年度版(令和7年度)】
人口動態で読み解く東京の年収偏差値
— なぜ若者が集まる東京の平均年収は全国一なのか
人口動態で読み解く東京の年収偏差値 — なぜ若者が集まる東京の平均年収は全国一なのか
「東京に出れば、年収は上がる」——なんとなく、そう感じている方は多いと思います。実際、令和7年 賃金構造基本統計調査でも、東京の平均賃金は全国でいちばん高いという結果が出ています。
けれども、ここに一つ不思議なことがあります。東京に毎年大量に流れ込んでくるのは、進学・就職を控えた20代前半の若者です。そして若い世代の賃金は、本来とても低い。若者が集まれば、平均年収はむしろ下がりそうなものです。
それなのに、東京の平均年収は全国一を保っています。本記事では、この「人口動態のパラドックス」を、令和7年 賃金構造基本統計調査と総務省の人口移動報告という2つの公的データから読み解きます。
東京は2024年に79,285人の転入超過(全国最多)を記録し、その中心は20代前半の若年層です。若年流入は平均賃金を押し下げる力を持つにもかかわらず、東京の平均賃金は月418.3千円(全国平均の1.228倍)で全国一。この矛盾を、産業構成・企業規模・学歴という「押し上げの力」で説明します。
第1章:「東京は年収が高い」を、もう一歩だけ掘り下げる
東京の賃金が高いことは、多くの人が肌感覚で知っています。求人サイトの給与レンジを見ても、東京の数字は地方より一段高く並びます。
令和7年 賃金構造基本統計調査によると、東京都の所定内給与は月額418.3千円。全国平均の340.6千円に対して、比率にすると1.228倍です。47都道府県のなかで、堂々の1位です。
ここまでは、よく知られた話です。ただ、この記事で立ち止まりたいのは、その「中身」です。東京の高い平均賃金は、どんな人たちによって、どんな仕組みで生み出されているのでしょうか。そこを人口の動き=人口動態から見ていくと、思いがけない構図が浮かび上がります。
第2章:東京に来るのは、賃金がいちばん低い世代
まず、東京にどんな人が流入しているのかを見てみましょう。総務省「住民基本台帳人口移動報告 2024年結果」によると、2024年の東京都は79,285人の転入超過(転入が転出を上回った数)で、都道府県のなかで最多。前年から約1.1万人も拡大しました。
注目すべきは、その年齢のかたよりです。転入超過の大半は、進学・就職を迎える若年層に集中しています。逆に、60歳以上はむしろ転出超過——退職を機に郊外や地方へ移る動きが見られます。
では、この「20代前半」という世代の賃金は、全国のなかでどの位置にあるのでしょうか。次の章で確認します。
第3章:若い世代の賃金は、全国平均の0.72倍
年齢は、年収を左右する要素のなかでも特に影響が大きい属性です。令和7年 賃金構造基本統計調査をもとに、年齢階級ごとの賃金が全国平均(340.6千円)の何倍にあたるかを見てみましょう。
第4章:それでも東京の賃金は、全国でいちばん高い
若い世代が集中して流入しているのに、東京の平均賃金は下がるどころか全国トップです。改めて、都道府県別の賃金係数(全国平均を1.00としたときの倍率)を並べてみましょう。
若年流入による「押し下げ」がありながら、それでも全国1位。ということは、東京にはそれを上回る「押し上げ」の力が働いているはずです。その正体を、次の章で明らかにします。
第5章:答えは「高賃金産業の集積」にある
東京の高賃金を支えているのは、年齢ではなく産業の構成です。日本では、金融・情報通信・専門技術サービスといった高賃金の業種が、本社・拠点ごと東京に集中しています。
令和7年 賃金構造基本統計調査で産業別の賃金係数を見ると、東京に集積するこれらの業種が、軒並み全国平均を大きく上回っていることが分かります。
押し上げの力は、産業だけではありません。東京には大企業の本社が集中するため企業規模の効果が働き、さらに学歴構成(大卒・大学院卒の比率の高さ)も平均を押し上げます。これらの力が重なり、若年流入というマイナス要因を上回っているのです。
第6章:だから「偏差値」は、誰と比べるかで変わる
ここまでの話は、年収偏差値を考えるうえで重要な意味を持ちます。なぜなら、同じ年収でも「どの集団と比べるか」で偏差値はまったく変わるからです。
東京の平均賃金は全国平均の1.228倍。つまり、東京で「平均的」な年収の人でも、全国の分布に当てはめれば偏差値50より上に位置するのが一般的です。逆に、地方で全国平均並みに稼いでいても、東京の高賃金集団のなかでは見え方が変わります。
| 比べる相手 | 東京で平均的な年収の人の見え方 |
|---|---|
| 全国全体と比べる | 偏差値50より上に位置しやすい |
| 東京の同世代・同職と比べる | 文字どおり「東京の真ん中」 |
| 地方の同世代と比べる | 地域の賃金差のぶん高めに出やすい |
大切なのは、「年収偏差値◯◯」という数字は、比較する集団とセットでしか意味を持たないということです。東京という高賃金・若年流入の街では、特にこの視点が効いてきます。だからこそ、性別・年齢・学歴・企業規模・業種・都道府県を踏まえて位置を測るのが確かです。
各属性を組み合わせた偏差値の正確な算出方法・順位の導き方は、別途講座・書籍にて解説予定です。
第7章:あなたの年収偏差値を、地域と年齢を踏まえて診断する
「東京は年収が高い」という言葉は、平均という1つの数字では語りきれません。若者が集まるという人口動態、産業の偏り、企業規模、学歴——いくつもの力が重なって生まれた結果だからです。
年収偏差値ラボの平均値版なら、都道府県と年齢を踏まえたうえで、あなたの年収が全国のどこに位置するかを確認できます。東京で働く方も、地方で働く方も、自分の「現在地」を客観的な数字で把握できます。
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東京にしぼった年収のリアルをさらに知りたい方は、東京の年収特集もあわせてご覧ください。「東京の年収はなぜ高い?」では、本記事の背景をさらに掘り下げています。
第8章:よくある質問
第9章:数字を、自分の現在地を知る手がかりに
東京の高い平均年収は、ひとつの数字の裏に、人口の動きと産業の構造という物語を抱えています。賃金がいちばん低い若い世代が集まりながら、それでも全国一を保つのは、産業・企業規模・学歴の押し上げが強いからでした。
東京の平均賃金:月418.3千円(全国平均の1.228倍、47都道府県で1位)
2024年の転入超過:79,285人(全国最多、中心は20代前半)
生産年齢人口比率:東京66.1% vs 全国59.5%(令和2年国勢調査)
平均という1つの数字を「分解」して見れば、東京で働くことの意味も、地方で働くことの意味も、より立体的に見えてきます。数字は、あなたを評価する道具ではなく、現在地を知るための地図です。
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年収偏差値ラボ(DataLabo)編集部は、厚生労働省・総務省などの公的統計のみを一次出典として、年収・資産・退職金の偏差値を解説しています。本記事は令和7年 賃金構造基本統計調査(2026年3月公表)、総務省 住民基本台帳人口移動報告 2024年結果(2025年1月公表)、令和2年国勢調査に基づき、推測値を用いず出典を明記する方針で執筆しています。賃金係数は所定内給与額を全国平均で指数化した値で、年収換算や偏差値は前提により変動します。年齢別の転入超過数は日本人移動者の集計に基づきます。
記事出典・参考データ: - 厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」結果の概況(2026年3月24日公表) - URL: https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/ - 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2024年(令和6年)結果」(2025年1月公表) - URL: https://www.stat.go.jp/data/idou/2024np/jissu/youyaku/index.html - 総務省統計局「令和2年国勢調査」人口等基本集計(生産年齢人口比率) - 関連記事:東京の年収はなぜ高い? / 東京の年収特集
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