BLOG ARTICLE / 人口動態と東京の年収偏差値

【2026年度版(令和7年度)】
人口動態で読み解く東京の年収偏差値
— なぜ若者が集まる東京の平均年収は全国一なのか

公開日: 2026-06-05 更新日: 2026-06-05 監修: DataLabo 編集部 カテゴリ: 人口動態 / 年収偏差値

人口動態で読み解く東京の年収偏差値 — なぜ若者が集まる東京の平均年収は全国一なのか

「東京に出れば、年収は上がる」——なんとなく、そう感じている方は多いと思います。実際、令和7年 賃金構造基本統計調査でも、東京の平均賃金は全国でいちばん高いという結果が出ています。

けれども、ここに一つ不思議なことがあります。東京に毎年大量に流れ込んでくるのは、進学・就職を控えた20代前半の若者です。そして若い世代の賃金は、本来とても低い。若者が集まれば、平均年収はむしろ下がりそうなものです。

それなのに、東京の平均年収は全国一を保っています。本記事では、この「人口動態のパラドックス」を、令和7年 賃金構造基本統計調査と総務省の人口移動報告という2つの公的データから読み解きます。

DEFINITION / 本記事の問い
人口動態と平均年収偏差値の関係とは
東京は2024年に79,285人の転入超過(全国最多)を記録し、その中心は20代前半の若年層です。若年流入は平均賃金を押し下げる力を持つにもかかわらず、東京の平均賃金は月418.3千円(全国平均の1.228倍)で全国一。この矛盾を、産業構成・企業規模・学歴という「押し上げの力」で説明します。

第1章:「東京は年収が高い」を、もう一歩だけ掘り下げる

東京の賃金が高いことは、多くの人が肌感覚で知っています。求人サイトの給与レンジを見ても、東京の数字は地方より一段高く並びます。

令和7年 賃金構造基本統計調査によると、東京都の所定内給与は月額418.3千円。全国平均の340.6千円に対して、比率にすると1.228倍です。47都道府県のなかで、堂々の1位です。

ここまでは、よく知られた話です。ただ、この記事で立ち止まりたいのは、その「中身」です。東京の高い平均賃金は、どんな人たちによって、どんな仕組みで生み出されているのでしょうか。そこを人口の動き=人口動態から見ていくと、思いがけない構図が浮かび上がります。


第2章:東京に来るのは、賃金がいちばん低い世代

まず、東京にどんな人が流入しているのかを見てみましょう。総務省「住民基本台帳人口移動報告 2024年結果」によると、2024年の東京都は79,285人の転入超過(転入が転出を上回った数)で、都道府県のなかで最多。前年から約1.1万人も拡大しました。

注目すべきは、その年齢のかたよりです。転入超過の大半は、進学・就職を迎える若年層に集中しています。逆に、60歳以上はむしろ転出超過——退職を機に郊外や地方へ移る動きが見られます。

図1|東京の転入超過は「20代前半」に集中している
NET IN-MIGRATION TO TOKYO BY AGE — 2024, persons
15〜19歳 約1.4万人
20〜24歳 約6.4万人
25〜29歳 約2.5万人
転入超過の総数は79,285人で全国最多。その柱は20〜24歳です。一方60歳以上は転出超過——東京は「若者を迎え、シニアを送り出す」構造になっています。
SOURCE:総務省「住民基本台帳人口移動報告 2024年(令和6年)結果」(日本人移動者・東京都)

では、この「20代前半」という世代の賃金は、全国のなかでどの位置にあるのでしょうか。次の章で確認します。


第3章:若い世代の賃金は、全国平均の0.72倍

年齢は、年収を左右する要素のなかでも特に影響が大きい属性です。令和7年 賃金構造基本統計調査をもとに、年齢階級ごとの賃金が全国平均(340.6千円)の何倍にあたるかを見てみましょう。

図2|年齢で賃金は大きく変わる — 20代前半は全国平均の0.72倍
WAGE COEFFICIENT BY AGE — male, national average = 1.00
20〜24歳 0.72
35〜39歳 1.08
50〜54歳 1.28
55〜59歳 1.31
東京に流入する中心世代=20代前半の賃金は、全国平均の0.72倍。賃金がピークを迎える50代後半(1.31)とは1.8倍もの開きがあります。
SOURCE:厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」(男性・年齢別所定内給与を全国平均で指数化)
PARADOX / ここに矛盾が生まれます
東京に最も多く流入するのは、賃金が全国平均の0.72倍しかない20代前半。人口動態だけを見れば、東京の平均賃金は下がってもおかしくありません。それなのに、現実の東京は全国一の高賃金です。

第4章:それでも東京の賃金は、全国でいちばん高い

若い世代が集中して流入しているのに、東京の平均賃金は下がるどころか全国トップです。改めて、都道府県別の賃金係数(全国平均を1.00としたときの倍率)を並べてみましょう。

図3|都道府県別の賃金係数 — 東京は全国1位
WAGE COEFFICIENT BY PREFECTURE — national average = 1.00
東京都 1.228
神奈川県 1.082
大阪府 1.024
愛知県 1.003
青森県(最低) 0.775
東京(1.228)は2位の神奈川(1.082)を大きく引き離す全国1位。最低の青森(0.775)とは約1.58倍の地域差があります。
SOURCE:厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」(都道府県別所定内給与を全国平均で指数化)

若年流入による「押し下げ」がありながら、それでも全国1位。ということは、東京にはそれを上回る「押し上げ」の力が働いているはずです。その正体を、次の章で明らかにします。


第5章:答えは「高賃金産業の集積」にある

東京の高賃金を支えているのは、年齢ではなく産業の構成です。日本では、金融・情報通信・専門技術サービスといった高賃金の業種が、本社・拠点ごと東京に集中しています。

令和7年 賃金構造基本統計調査で産業別の賃金係数を見ると、東京に集積するこれらの業種が、軒並み全国平均を大きく上回っていることが分かります。

図4|東京に集積する高賃金産業 — いずれも全国平均より高い
WAGE COEFFICIENT BY INDUSTRY — national average = 1.00
学術研究・専門技術 1.293
金融業・保険業 1.283
情報通信業 1.192
全国平均(基準) 1.000
宿泊業・飲食(最低) 0.814
東京に集まる金融・情報通信・専門技術は、いずれも全国平均を大きく上回る高賃金産業。この産業構成の偏りが、若年流入の押し下げを跳ね返しています。
SOURCE:厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」(産業別所定内給与を全国平均で指数化)

押し上げの力は、産業だけではありません。東京には大企業の本社が集中するため企業規模の効果が働き、さらに学歴構成(大卒・大学院卒の比率の高さ)も平均を押し上げます。これらの力が重なり、若年流入というマイナス要因を上回っているのです。

CONCLUSION / パラドックスの答え
東京の高賃金は「若者が集まるから」ではなく、若者が集まってもなお、それを打ち消すほど産業・企業規模・学歴の押し上げが強いからです。人口動態(若年流入)は平均を下げる方向、産業構成は上げる方向。後者が勝っているのが東京という街です。

第6章:だから「偏差値」は、誰と比べるかで変わる

ここまでの話は、年収偏差値を考えるうえで重要な意味を持ちます。なぜなら、同じ年収でも「どの集団と比べるか」で偏差値はまったく変わるからです。

東京の平均賃金は全国平均の1.228倍。つまり、東京で「平均的」な年収の人でも、全国の分布に当てはめれば偏差値50より上に位置するのが一般的です。逆に、地方で全国平均並みに稼いでいても、東京の高賃金集団のなかでは見え方が変わります。

比べる相手東京で平均的な年収の人の見え方
全国全体と比べる偏差値50より上に位置しやすい
東京の同世代・同職と比べる文字どおり「東京の真ん中」
地方の同世代と比べる地域の賃金差のぶん高めに出やすい

大切なのは、「年収偏差値◯◯」という数字は、比較する集団とセットでしか意味を持たないということです。東京という高賃金・若年流入の街では、特にこの視点が効いてきます。だからこそ、性別・年齢・学歴・企業規模・業種・都道府県を踏まえて位置を測るのが確かです。

各属性を組み合わせた偏差値の正確な算出方法・順位の導き方は、別途講座・書籍にて解説予定です。


第7章:あなたの年収偏差値を、地域と年齢を踏まえて診断する

「東京は年収が高い」という言葉は、平均という1つの数字では語りきれません。若者が集まるという人口動態、産業の偏り、企業規模、学歴——いくつもの力が重なって生まれた結果だからです。

年収偏差値ラボの平均値版なら、都道府県と年齢を踏まえたうえで、あなたの年収が全国のどこに位置するかを確認できます。東京で働く方も、地方で働く方も、自分の「現在地」を客観的な数字で把握できます。

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東京にしぼった年収のリアルをさらに知りたい方は、東京の年収特集もあわせてご覧ください。「東京の年収はなぜ高い?」では、本記事の背景をさらに掘り下げています。


第8章:よくある質問

Q. なぜ若者が集まる東京の平均年収は全国一なのですか?
若年層の流入は本来、平均年収を押し下げる方向に働きます。20代前半の賃金は全国平均の約0.72倍にとどまるためです。それでも東京の平均賃金が月418.3千円(係数1.228)で全国一になるのは、金融・情報通信・専門技術といった高賃金産業の本社・拠点が集中し、大企業比率と大卒・大学院卒比率も高いためです。これらの押し上げ効果が、若年流入による押し下げ効果を上回っています。
Q. 東京の転入超過は何人ですか?どの年齢が多いですか?
総務省「住民基本台帳人口移動報告 2024年結果」によると、東京都の転入超過は79,285人で都道府県のなかで最多、前年から約1.1万人拡大しました。年齢別では20〜24歳が最も多く、次いで25〜29歳、15〜19歳と続き、進学・就職期の若年層に集中しています。一方で60歳以上はむしろ転出超過です。
Q. 東京の生産年齢人口の割合はどのくらいですか?
令和2年国勢調査によると、東京都の生産年齢人口(15〜64歳)は928万人で、総人口に占める割合は66.1%です。全国の59.5%を6.6ポイント上回り、65歳以上の割合は約22.7%と全国の28.6%より低くなっています。若年層の継続的な流入が、東京の若い年齢構成を支えています。
Q. 東京で平均的な年収だと、全国では年収偏差値はどのくらいですか?
東京の平均賃金は全国平均の1.228倍のため、東京で「平均的」でも、全国の分布に当てはめると偏差値50より上に位置するのが一般的です。ただし正確な偏差値は年齢・性別・学歴・企業規模・業種によって大きく変わります。年収偏差値ラボの平均値版は都道府県と年齢を踏まえて算出できます。

第9章:数字を、自分の現在地を知る手がかりに

東京の高い平均年収は、ひとつの数字の裏に、人口の動きと産業の構造という物語を抱えています。賃金がいちばん低い若い世代が集まりながら、それでも全国一を保つのは、産業・企業規模・学歴の押し上げが強いからでした。

東京の平均賃金:月418.3千円(全国平均の1.228倍、47都道府県で1位)
2024年の転入超過:79,285人(全国最多、中心は20代前半)
生産年齢人口比率:東京66.1% vs 全国59.5%(令和2年国勢調査)

平均という1つの数字を「分解」して見れば、東京で働くことの意味も、地方で働くことの意味も、より立体的に見えてきます。数字は、あなたを評価する道具ではなく、現在地を知るための地図です。

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編集部より
DataLabo 編集部
年収偏差値ラボ(DataLabo)編集部は、厚生労働省・総務省などの公的統計のみを一次出典として、年収・資産・退職金の偏差値を解説しています。本記事は令和7年 賃金構造基本統計調査(2026年3月公表)、総務省 住民基本台帳人口移動報告 2024年結果(2025年1月公表)、令和2年国勢調査に基づき、推測値を用いず出典を明記する方針で執筆しています。賃金係数は所定内給与額を全国平均で指数化した値で、年収換算や偏差値は前提により変動します。年齢別の転入超過数は日本人移動者の集計に基づきます。

記事出典・参考データ: - 厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」結果の概況(2026年3月24日公表) - URL: https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/ - 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2024年(令和6年)結果」(2025年1月公表) - URL: https://www.stat.go.jp/data/idou/2024np/jissu/youyaku/index.html - 総務省統計局「令和2年国勢調査」人口等基本集計(生産年齢人口比率) - 関連記事:東京の年収はなぜ高い?東京の年収特集

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