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「年収 478 万円」が実感に近いと言われる理由
— 平均 494 万との 16 万円差を中央値で読み解く

公開日: 2026-04-30 更新日: 2026-05-26 所要: 約 14 分

第1章:なぜ「平均494万」と聞いて、しっくりこないのか

令和7年 賃金構造基本統計調査(以下「賃構調」)の男女計平均年収は 494 万円。一方、国税庁「民間給与実態統計調査」令和6年分の平均給与は 478 万円。この 16 万円のギャップは、いったい何を意味しているのでしょうか。

多くの方が「年収の平均」と聞いて思い浮かべる数字は、後者の 478 万円に近いはずです。実際、ニュース・経済誌・SNS では「日本人の平均年収は約 478 万」と語られることが多く、これは国税庁の調査値が頻繁に引用されているためです。

そして、もう一つ重要な事実があります。「平均」と「中央値」は、まったく別の数字だということです。日本の所得分布は右に長く裾を引く形をしているため、一部の高所得者が平均値を押し上げ、「真ん中の人」の年収は平均より 50~70 万円低いのです。

本記事では、478 万円という「実感に近い数字」が示す日本のリアル、そしてそこから見える 本当の中央値 を、令和7年データで読み解いていきます。年代別・性別・企業規模別の中央値推定も含め、あなたが「全体の中でどこにいるか」を多角的に見る方法をお伝えします。

注記:国税庁「民間給与実態統計調査」令和6年分の 478 万円は「平均給与」であり、厳密には「中央値」ではありません。ただし調査対象(1年勤続者・常用雇用者)と賞与の実額ベース集計の特性により、賃金構造基本統計調査(賞与係数 14.5 倍換算)の 494 万円より低く、世間で「実感に近い参考値」として広く引用されるため、本記事では「中央値に近い実感的指標」として扱います。本サイトの「中央値版」アプリでは、log-normal 分布から推定した中央値(約 430 万円)を併用しています。

第2章:2 つの公的統計、なぜ数字が違うのか

日本人の平均年収を示す代表的な公的統計は 2 つあります。それぞれ調査対象と方法が異なるため、出てくる数字も違います。

統計所管2025年公表値調査対象賞与の扱い
賃金構造基本統計調査 厚生労働省 494 万円 常用労働者 10 人以上の事業所 月額 × 14.5(賞与 2.5 ヶ月分)想定
民間給与実態統計調査 国税庁 478 万円 1 年勤続の給与所得者全体 実額(年末調整ベース)

主な違いは 3 点あります。

  1. 調査対象の範囲:賃構調は事業所規模 10 人以上に限定していますが、民間給与統計はより広く 1 年勤続の給与所得者全体を対象としています。後者の方が小規模事業所・低所得層が含まれるため、平均が下がる傾向にあります。
  2. 賞与の扱い:賃構調は月額 × 14.5 で換算(賞与 2.5 ヶ月分を一律仮定)しています。民間給与統計は税務上の実額です。実際の賞与水準が想定より低い人にとっては、後者の方が実感に近くなります。
  3. パートタイム雇用者の扱い:賃構調はフルタイム(一般労働者)と短時間労働者を区別しています。一般的に「平均494万円」と言われるときはフルタイム基準です。民間給与統計は両方を含むため、実質的に平均が下がります。

つまり、478 万円の方が「裾野まで含めた現実」に近いのです。

FACT-CARD 1 — 16 万円差の正体
賃構調 494 万円 vs 国税庁 478 万円 = 16 万円差
同じ「日本人の平均年収」でも、調査対象に小規模事業所や非正規を含むかどうかで 16 万円の差が生まれます。「平均年収」という 1 つの言葉の裏に、複数の現実が存在しています。どちらかが間違いなのではなく、切り取り方が違うだけです。
出典:賃構調 R7 結果の概況 / 国税庁 民間給与実態統計調査 R6

しかし、話はここで終わりません。478 万円でさえ、まだ「平均値」です。次章では、なぜ平均値そのものが「真ん中の人の年収」を表さないのかを掘り下げていきます。

第3章:「平均」より「中央値」の方が実感に近い理由 — 所得分布の歪みを理解する

ここで、もう一段深い問いに進みます。「平均478万円」も、実は『真ん中の人の年収』ではないのです。

所得分布は右に長く裾を引いています。年収 1,000 万円の人、3,000 万円の人、1 億円超の人 — こうした少数の高所得層が平均値を押し上げる一方、「中央値(メディアン)」、つまり全員を年収順に並べたときちょうど真ん中の人の年収は、平均値より大きく下に位置します。

平均値と中央値の違いを直感的に理解する

10 人の部屋を想像してみてください。年収 300 万円が 3 人、400 万円が 3 人、500 万円が 2 人、700 万円が 1 人、1,500 万円が 1 人 — この 10 人の平均年収は 530 万円 になります。しかし、中央値(5 番目と 6 番目の平均)は 400 万円 です。

年収 1,500 万円の 1 人がいるだけで、平均は 530 万円まで引き上がります。残りの 9 人のうち 8 人は平均以下。つまり、「平均年収以下」の人が全体の 8 割を占めることが起こりうるのです。これが「平均値の罠」と呼ばれる現象です。

図 1:日本の年収 — 3 つの「代表値」の位置関係(令和7年データ)
賃構調 平均
494 万円
国税庁 平均
478 万円
中央値(log-normal 推定)
430 万円
※ バーの長さは 494 万円 = 100% 基準の比例スケール
※ 中央値は対数正規分布(CV = 0.37)での推定値。中央値 ≈ 平均 × 0.87
※ 出典:賃構調 R7 結果の概況 / 国税庁 民間給与実態統計調査 R6
指標意味
賃構調 平均494 万円事業所10人以上のフルタイム平均
民間給与統計 平均478 万円1年勤続者全体の平均(実感に近い)
本サイト 中央値(log-normal 推定)約 430 万円真ん中の人の年収

この 478 万 → 430 万の 48 万円差こそが、所得分布の歪みの正体です。「平均年収 478 万円なのに、自分(年収 400 万)は平均以下…」と落ち込む方は多いですが、実は全労働者の中で下から約 45% の位置にいるということが、よくあるのです。

視点:「平均以下」と「半分以下」は別の話

年収 400 万円の方は「平均478万円」より下ですが、中央値 430 万円との差はわずか 30 万円。つまり、「真ん中の人にかなり近い位置」にいることになります。

「平均より下」という焦りは、統計の歪みが生み出している幻想かもしれません。中央値で見ることで、初めて自分の本当の位置が見えてきます。

なぜ対数正規分布なのか

年収の分布は、統計学では対数正規分布(log-normal distribution)でよく近似されます。これは「年収の対数を取ると正規分布(釣鐘型)になる」という性質で、以下の特徴を持っています。

本サイトでは、変動係数 CV = 0.37 の対数正規分布を採用しています。この値は賃構調の実データ分布から導出したもので、中央値 ≈ 平均 × 0.87 という関係が成り立ちます。

第4章:年代別に見る「真ん中の年収」 — 20 代から 50 代で 2 倍以上の差

「平均年収」を全年代一括で語っても、実際の参考にはなりにくいものです。20 代と 50 代では、そもそも収入水準がまったく異なります。ここでは、令和7年 賃構調から、各年代の「平均月額」と「中央値推定(平均 × 0.87)」を年収換算で並べてみます。

年齢正社員 男 平均正社員 男 中央値推定正社員 女 平均正社員 女 中央値推定
25-29歳424 万369 万399 万347 万
30-34歳489 万425 万425 万370 万
35-39歳543 万472 万445 万387 万
40-44歳589 万513 万467 万406 万
45-49歳623 万542 万475 万413 万
50-54歳651 万566 万485 万422 万
55-59歳(ピーク)668 万581 万492 万428 万

例えば、40 代前半の男性正社員。平均 589 万円と聞くと「自分はそんなにもらってない」と感じるかもしれませんが、中央値は 513 万円です。年収 530 万円の方は、平均より下でも、「半分以上の同年代男性正社員より上」に位置しているのです。

図 2:年代別 中央値推定(正社員男性、令和7年 賃構調ベース)
25-29歳
369 万円
30-34歳
425 万円
35-39歳
472 万円
40-44歳
513 万円
45-49歳
542 万円
50-54歳
566 万円
55-59歳
581 万円
※ 中央値 = 平均年収 × 0.87(対数正規分布 CV = 0.37 での推定値)
※ バーの長さは 55-59 歳 = 100% 基準の比例スケール
※ 出典:賃構調 R7 第 2 表(年齢階級別・性別・雇用形態別)

年代別中央値から見える 3 つのポイント

  1. 25-29 歳の中央値は 369 万円:「年収 400 万で同世代の平均以下」と悩む 20 代後半の方は、中央値ベースでは同世代の上位にいます。
  2. 40 代前半で中央値 513 万円:「年収 500 万円台前半」は、同年代の真ん中です。メディアが報じる「40 代で年収 600 万」は、あくまで平均値の世界です。
  3. 男性のピークは 55-59 歳の 581 万円:ここがキャリア年収の頂点です。60 歳以降は再雇用制度により大幅に下がるため、55-59 歳をどう過ごすかが生涯所得を大きく左右します。

第5章:男女の中央値格差 — 76.6 という数字が意味すること

年代別の表で既にお気づきかもしれませんが、男性と女性の中央値には顕著な差があります。令和7年 賃構調の基本データを確認しましょう。

性別月額平均年収推定(× 15.16)中央値推定(× 0.87)
373.4 千円約 575 万円約 500 万円
285.9 千円約 416 万円約 362 万円
男女計340.6 千円約 494 万円約 430 万円

男女間賃金格差指数は 76.6(女性の月額 ÷ 男性の月額 × 100)。つまり、女性の賃金は男性の約 77% の水準ということです。中央値で見ても、男性 500 万円に対し女性 362 万円 — 138 万円もの差があります。

FACT-CARD 2 — 男女の中央値格差
男性中央値 500 万円 vs 女性中央値 362 万円 = 138 万円差
男女間賃金格差指数は 76.6(女/男 = 100)。管理職比率、勤続年数、業種・職種の偏り、育児離職による経験年数ギャップなどの構造要因が複合しています。この格差は年齢とともに拡大し、50-54 歳で男性 566 万円 vs 女性 422 万円(差額 144 万円)に達します。
出典:賃構調 R7 結果の概況(男女間賃金格差、第 2 表)

年代が上がるほど広がる格差

興味深いのは、20 代後半では男女の中央値差が 22 万円(男 369 万 vs 女 347 万)と比較的小さいのに対し、50 代後半では 153 万円(男 581 万 vs 女 428 万)まで広がるという点です。

この「格差の拡大曲線」は、以下の構造で説明されます。

「女性の年収 350 万円」を「平均 478 万円」と比較すれば「大きく平均以下」ですが、女性の中央値 362 万円と比較すれば「ほぼ真ん中」です。自分の位置を正しく見るためには、性別ごとの中央値が欠かせません。

第6章:企業規模で見る中央値 — 大企業と小企業で 126 万円の差

年齢・性別に次いで年収に大きな影響を与えるのが、勤め先の企業規模です。令和7年 賃構調では、正社員の月額を 3 つの規模区分で公表しています。

企業規模正社員月額(男女計)年収換算中央値推定
大企業(1,000 人以上)414.1 千円約 606 万円約 527 万円
中企業(100~999 人)348.5 千円約 510 万円約 444 万円
小企業(10~99 人)315.0 千円約 461 万円約 401 万円
図 3:企業規模別 中央値推定(正社員 男女計、令和7年 賃構調ベース)
大企業(1,000人~)
527 万円
中企業(100~999人)
444 万円
小企業(10~99人)
401 万円
※ 中央値 = 年収換算 × 0.87(対数正規分布 CV = 0.37 での推定値)
※ 年収換算は月額 × 賞与込み係数(男女計 15.16)
※ バーの長さは大企業 = 100% 基準の比例スケール
※ 出典:賃構調 R7 第 1 表(企業規模×雇用形態別)

大企業と小企業の中央値差は 約 126 万円。月額にして約 10.5 万円、手取りベースではさらに差が縮まりますが、それでも年間で 100 万円以上の開きがあります。

「大企業 = 高年収」は条件付きの真実

ただし、この数字を見て「大企業に転職すれば年収が上がる」と単純に結論づけるのは早計です。以下の留意点があります。

  1. 採用のハードル:大企業の中途採用は競争率が高く、未経験業界への転職ではポジションが下がる可能性があります。
  2. 地域差との複合効果:大企業は東京・大阪に本社が集中しており、地方の大企業支社では本社と同水準とは限りません。
  3. 業種差の方が大きい場合がある:同じ大企業でも、電気・ガス業(月額 453.7 千円)と宿泊・飲食業(月額 303.8 千円)では月 15 万円の差があります。企業規模より業種選択の方がインパクトが大きいケースも少なくありません。

自分の年収を「全国平均 494 万」と比べるよりも、「同じ企業規模・同じ年齢帯の中央値」と比べる方が、はるかに有意義です。

第7章:正社員 vs 非正規 — 中央値で見る雇用形態の壁

年収中央値を語るうえで、雇用形態の違いは避けて通れません。令和7年 賃構調では、正社員と非正規の賃金データが明確に区分されています。

雇用形態月額(男女計)年収換算中央値推定
正社員358.8 千円約 525 万円約 457 万円
非正規241.7 千円約 335 万円約 291 万円

雇用形態間の賃金格差は 67.4%(非正規の月額 ÷ 正社員の月額 × 100)。中央値ベースで見ても、正社員 457 万円に対し非正規 291 万円 — 166 万円もの差があります。

FACT-CARD 3 — 雇用形態間の中央値格差
正社員 457 万円 vs 非正規 291 万円 = 166 万円差
雇用形態間賃金格差は 67.4%。特に 50 代で格差が最大化し、50-54 歳では 55.7%、55-59 歳では 54.8% にまで拡大します。正社員は年功序列で賃金が上がり続けますが、非正規は 30 代以降ほぼ横ばいのため、年齢とともに格差が広がる構造になっています。
出典:賃構調 R7 結果の概況(雇用形態間賃金格差)

ここで重要なのは、先ほどの「全国中央値 430 万円」には正社員も非正規も含まれているということです。非正規の方が「中央値 430 万円に届かない」のは当然の構造であり、自分の位置を正しく把握するには、雇用形態別の中央値と比較する必要があります。

非正規として年収 300 万円の方は、全国中央値(430 万円)と比較すると「大幅に下」ですが、非正規の中央値(291 万円)と比較すると 「真ん中より上」 です。比較基準を間違えると、不必要に落ち込むことになります。

第8章:「478 万円」は世間で思われているほど「普通」なのか

ここまでのデータを踏まえて、改めて「478 万円」という数字の位置づけを整理してみましょう。

478 万円の位置を多角的に見る

比較基準基準値478 万円の位置
賃構調 平均(男女計)494 万円16 万円下 → 平均以下
全国中央値(log-normal 推定)430 万円48 万円上 → 上位半分
正社員 中央値457 万円21 万円上 → 正社員の真ん中より上
非正規 中央値291 万円187 万円上 → 非正規の中では上位層
女性 中央値362 万円116 万円上 → 女性の中では大幅上位
男性 中央値500 万円22 万円下 → 男性の真ん中よりやや下

同じ 478 万円でも、基準を変えるだけでこれほど印象が変わります。「平均以下」と「上位半分」が同時に成り立つのです。

「478 万 = 日本の中央値」と誤解されやすい理由

ネット記事や SNS では、しばしば「日本人の年収中央値は 478 万円」と書かれていることがあります。しかし、前述の通り 478 万円は国税庁の「平均値」であって「中央値」ではありません。誤解が広まっている理由として、以下が考えられます。

  1. 賃構調の 494 万円より低いため、「下の方 = 中央値」と混同される
  2. 実感に近いという表現が「中央値に近い」と読み替えられる
  3. 一次ソースを確認しない記事の連鎖:あるメディアの誤記が他のメディアにコピーされる

統計リテラシーとして重要なのは、「どの調査の、何の指標か」を常に確認する習慣です。「平均年収 478 万円」と「中央値 430 万円」は、同じ「日本人の年収」を語っていても、まったく異なる数字を指しています。

第9章:資産版で見る「もう一つの中央値」 — J-FLEC 2025 との比較

年収だけではなく、金融資産の世界でも中央値と平均値の乖離は存在します。むしろ、資産の方がはるかに乖離が大きいのです。

J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査 2025」(2025 年 12 月 18 日公表)によると:

世帯タイプ金融資産 平均金融資産 中央値平均 ÷ 中央値
二人以上世帯1,940 万円720 万円2.69 倍
単身世帯1,180 万円167 万円7.07 倍

年収の「平均 ÷ 中央値」は約 1.15 倍(494 万 ÷ 430 万)ですが、金融資産では 2.69 倍(二人以上世帯)、単身世帯に至っては 7.07 倍。「平均値の罠」は資産の世界でさらに極端に表れます。

視点:年収の中央値と資産の中央値は別の物語

年収 478 万円で「平均以上」と安心していても、金融資産の中央値(二人以上世帯 720 万円)に届いていなければ、資産面では「真ん中以下」です。年収と資産は別の軸 — 収入のフローと蓄積のストックは、別々に診断する必要があります。

本サイトの資産偏差値(資産版)では、J-FLEC 2025 の実データをベースに、あなたの金融資産が全世帯の中でどの位置にあるかを診断できます。

第10章:本サイトの「中央値版」が示す、6 ベースの位置

本サイトの「年収偏差値(中央値版)」では、以下の 6 つのベースでそれぞれの中央値を算出し、あなたの位置を多角的に表示します。

  1. 全国中央値(log-normal 推定 約 430 万円)
  2. 同業種中央値(金融業・医療・建設業など 16 業種別)
  3. 同年代・同性別中央値(11 年齢階級 × 男女別)
  4. 東京都中央値(東京は全国の 1.228 倍)
  5. 同企業規模中央値(大企業・中企業・小企業)
  6. 同学歴中央値(大学院・大学・専門短大・高校・中学)

同じ年収 500 万円でも、見るベースで「真ん中の人より上か下か」がガラリと変わります。

ベース例:35歳・男性・正社員・大学卒・東京都・大企業・年収500万円
全国中央値(430 万)+70 万 → 真ん中より上
35-39歳男性中央値(472 万)+28 万 → 同年代の上位
東京都中央値(528 万)-28 万 → 東京基準では下
大企業中央値(527 万)-27 万 → 大企業内ではやや下

1 つの「平均」も、1 つの「中央値」も、それだけでは自分の位置を語れません。多角的に見ることで、初めて立体的な自分像が浮かび上がるのです。

特に東京都にお住まいの方は注意が必要です。東京の地域補正係数は 1.228 と全国で最も高く、東京の中央値は全国中央値より約 100 万円高くなります。「全国中央値より上だから安心」と思っていても、東京基準では「真ん中以下」ということが頻繁に起こります。

第11章:あなたの中央値偏差値を 1 分で診断する

「平均494万」「平均478万」「中央値430万」 — どの数字も、あなた個人を語るには大雑把すぎます。属性を絞り込んだ あなた専用の中央値偏差値はどうなるか、診断してみませんか。

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性別・年齢・学歴・業種・都道府県・企業規模・年収を入力すれば、令和7年 賃金構造基本統計調査ベースで中央値推定値を算出します。「半分の人がこれ以下」というシンプルな指標で、あなたの位置が分かります。

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「平均より下で落ち込んでいたが、中央値では真ん中だった」「同業種の中央値で見ると、思ったより上だった」 — そんな発見が、きっとあるはずです。

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中央値版だけでなく、目的に応じて以下のツールもご活用ください。

第12章:数字の裏側を理解することが、家計判断の出発点

「日本人の平均年収」と一口に言っても、賃構調の 494 万円、国税庁の 478 万円、log-normal 推定の中央値 430 万円 — 出典と方法によってまったく違う数字が出ます。これは「どれが正しい」という話ではなく、それぞれが異なる現実の側面を切り取っているのです。

本記事のポイント:

  1. 賃構調 R7 平均は 494 万円、国税庁民間給与統計は 478 万円 — 16 万円差
  2. 478 万が「実感に近い」と言われるのは、調査対象が広く、賞与が実額ベースだから
  3. 真の中央値(log-normal 推定)は 約 430 万円。平均より 48~64 万円低い
  4. 「平均以下」 ≠ 「半分以下」。所得分布の歪みを理解すれば、自分の位置の見え方が変わります
  5. 男女で中央値に 138 万円差、企業規模で 126 万円差、雇用形態で 166 万円差 — 属性別に見ないと自分の位置は分かりません
  6. 本当の自分は 属性別の中央値 × 6 ベースで多角的に見るべきです
  7. 年収だけでなく、金融資産の中央値(二人以上世帯 720 万円)との比較も、家計設計には不可欠です

転職の年収交渉、住宅ローンの返済能力、結婚相手との家計設計 — どんな場面でも、「自分が同年代・同業種・同地域の中で、上から何 % にいるのか」を知っていることが、冷静な判断の土台になります。

「平均」という言葉の魔法から抜け出して、中央値で自分のリアルな位置を見てみませんか。

よくある質問(FAQ)

Q. 年収の「平均値」と「中央値」はどう違いますか?

平均値は全員の年収を合計して人数で割った値です。中央値は全員を年収の低い順に並べたとき、ちょうど真ん中に位置する人の年収です。日本の所得分布は一部の高所得者が平均を引き上げるため、平均値は中央値より 50~70 万円高くなります。「自分は真ん中より上か下か」を知りたい場合は、平均値ではなく中央値で比較するのが適切です。

Q. 国税庁の 478 万円と賃構調の 494 万円、どちらが正しいですか?

どちらも正しい公的統計値ですが、調査対象と方法が異なります。賃構調(厚生労働省)は事業所規模 10 人以上のフルタイム労働者が対象で、月額 × 14.5 で年収換算します。民間給与実態統計調査(国税庁)は 1 年勤続の給与所得者全体が対象で、税務上の実額ベースです。後者の方が小規模事業所や非正規を含むため平均が下がり、世間の実感に近いと言われています。

Q. 日本人の年収の「本当の中央値」はいくらですか?

賃金構造基本統計調査の分布データから対数正規分布(CV = 0.37)で推定すると、男女計の年収中央値は約 430 万円です。これは賃構調の平均 494 万円より約 64 万円低く、国税庁の 478 万円よりもさらに 48 万円低い水準です。つまり、日本の労働者のちょうど半分は年収 430 万円以下ということになります。

Q. 年収 400 万円は「平均以下」ですが、実際にはどのくらいの位置ですか?

年収 400 万円は賃構調の平均 494 万円より 94 万円低く「平均以下」ですが、中央値(約 430 万円)と比較すると 30 万円差です。つまり、全労働者の中で下から約 45% の位置にあり、「半分より少し下」程度です。「平均以下」という表現から受ける印象ほど低い位置ではありません。

Q. なぜ男女で中央値にこれほど差があるのですか?

令和7年 賃構調では、男性の月額平均は 373.4 千円、女性は 285.9 千円で、男女間賃金格差指数は 76.6(男性 = 100)です。この差は、管理職比率の差、勤続年数の差、業種・職種の偏り、育児離職による経験年数のギャップなど、複合的な構造要因によるものです。年収換算で男性約 575 万円に対し女性約 416 万円と、約 160 万円の差が生じています。

Q. 企業規模によって中央値はどのくらい変わりますか?

令和7年 賃構調の正社員月額では、大企業(1,000 人以上)が 414.1 千円、中企業(100~999 人)が 348.5 千円、小企業(10~99 人)が 315.0 千円です。年収換算の中央値推定で、大企業約 527 万円に対し小企業約 401 万円と、約 126 万円の差があります。ただし大企業は採用倍率が高く、転職による企業規模アップは簡単ではありません。

Q. 年収偏差値の計算で中央値はどう使われていますか?

本サイトの「中央値版」では、対数正規分布(σ_log ≈ 0.37)を用いて各属性別の中央値を推定しています。偏差値の基本式は 50 + z × 10(z は標準化得点)で、平均値版との違いは「基準点を中央値に置き換える」ことです。外れ値の影響を受けにくい、実感に近い結果が得られます。6 つのベース(全国・同業種・同年代性別・都道府県・企業規模・学歴)それぞれで中央値を算出し、多角的に診断します。

Q. 478 万円と 430 万円、どちらを「実感の基準」にすべきですか?

目的によって使い分けるのが適切です。ざっくり世間一般の水準と比較したい場合は国税庁の 478 万円が参考になります。統計的に「自分は上位何 % か」を正確に知りたい場合は、対数正規分布から推定した中央値 430 万円が適しています。いずれにしても、年齢・性別・業種・都道府県などの属性別に見ることで、より実態に近い自分の位置が見えてきます。