【2026年度版(令和7年度)】
東京の業種別 年収偏差値ランキング 12 選
— 100 人中 7 位 vs 46 位、業種で 39 ランク動く現実
第1章:「業種選びは偏差値選び」という現実
転職を考えるとき、業種で給料がどれくらい違うのかは、誰もが一度は気になります。同じ東京で働いていても、業種が変わるだけで年収偏差値は 10 ポイント以上動く。これが、賃金構造基本統計調査が示す現実です。
本記事では、東京で 正社員 として働いた場合の業種別年収を、偏差値・100 人中の順位・業種ランキングの 3 指標 で並べます。基準集団は全国の正社員(賃構調 R7、平均月額 358.8 千円 ≒ 年収 520 万円)です。
さらに、年齢×業種のクロス分析、男女別の二重格差、東京プレミアムの業種別濃淡、業種転換の現実的ハードルまで深掘りし、FAQ で主要な疑問にも回答します。
結論を先にお伝えすると、1 位は 電気・ガス業(偏差値 64.9・100 人中 7 位)、最下位は 宿泊・飲食業(偏差値 51.1・100 人中 46 位)。同じ「東京で正社員」というだけで、業種が違えば 100 人中 39 ランクの差 が生まれます。
第2章:12 業種 偏差値ランキング 全リスト
100 人中:偏差値を上位パーセンタイルに換算し、100 人中の順位として表示。
業種ランク:本記事の 12 業種の中での順位。
| 順位 | 業種 | 月額(千円) | 東京年収(万円) | 偏差値 | 100 人中 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 453.7 | 807.9 | 64.9 | 7 位 |
| 2 | 学術研究・専門技術(コンサル等) | 453.1 | 806.8 | 64.9 | 7 位 |
| 3 | 金融業・保険業 | 444.8 | 792.0 | 64.1 | 8 位 |
| 4 | 情報通信業 | 411.0 | 731.8 | 61.0 | 14 位 |
| 5 | 教育・学習支援業 | 396.7 | 706.4 | 59.7 | 17 位 |
| 6 | 卸売業・小売業 | 374.4 | 666.7 | 57.6 | 22 位 |
| 7 | 建設業 | 370.9 | 660.4 | 57.3 | 23 位 |
| 8 | 製造業 | 346.1 | 616.3 | 55.0 | 31 位 |
| 9 | 医療・福祉 | 325.5 | 579.6 | 53.1 | 38 位 |
| 10 | 運輸業・郵便業 | 324.6 | 578.0 | 53.0 | 38 位 |
| 11 | サービス業(他に分類されないもの) | 312.1 | 555.7 | 51.8 | 43 位 |
| 12 | 宿泊業・飲食サービス | 303.8 | 540.9 | 51.1 | 46 位 |
(参考) 東京 × 全産業正社員平均:639 万円 / 偏差値 56.2 / 100 人中 27 位
(参考) 全国正社員平均:520 万円 / 偏差値 50.0 / 100 人中 50 位
※ 基準集団:全国正社員平均 520 万円・正規分布 CV=0.37
第3章:上位グループ(偏差値 64+)— インフラ・専門サービス・金融が並走
トップ 3 は 電気・ガス(64.9)/学術研究・専門技術(64.9)/金融・保険(64.1) の 3 業種。100 人中 7-8 位、すなわち上位 7-8% に入る業種です。
意外なのは 電気・ガス業の 1 位 かもしれません。公益事業(電力・ガス・水道)は派手なイメージはないものの、規制業種で年功序列・大企業集中・労組交渉力が強い ため、月額 453.7 千円という高水準が成立しています。
学術研究・専門技術サービス業はコンサルティング・法律・会計・特許といった「専門知識を売る」ビジネス全般。1 人当たり付加価値が高いため、給与水準も高い。東京に集積する戦略コンサル・M&A アドバイザリー・大手士業がここに含まれます。
金融業・保険業は伝統的な高給業種。メガバンク・大手証券・損保・生保・運用会社が東京に集中し、特にボーナス比率が高いため年収換算でも高位を維持します。
第4章:中位グループ(偏差値 55-61)— 情報通信・教育・卸売・建設・製造
4 位以下のレンジには、就労人口の多い業種が並びます。
4 位 情報通信(61.0、100 人中 14 位) は意外と上位ではないと感じる方もいるかもしれません。GAFA や大手 SaaS、外資ベンチャーは年収 1,000 万円超もありますが、産業全体の平均で見ると、中小 SIer・受託開発・通信キャリアなど幅広い層が含まれるため、業種平均は 411 千円に着地します。
5 位 教育・学習支援(59.7、100 人中 17 位) は私立大学・専門学校・大手予備校・コンサル系教育サービスが押し上げています。公務員的安定性と専門性で、意外な健闘です。
6-7 位 卸売・小売(57.6)/建設(57.3) は東京の大手商社・小売チェーン本社、ゼネコン本社が引き上げる構造。8 位 製造(55.0、100 人中 31 位) は意外な中位。製造業は地方の主力産業ですが、東京には本社機能のみが集中するため、地方の工場勤務よりも本社経営層の比率が高く、平均は上振れします。
第5章:下位グループ(偏差値 51-53)— 医療・運輸・サービス・宿泊飲食
下位 4 業種は 医療・福祉(53.1)/運輸・郵便(53.0)/サービス(51.8)/宿泊・飲食(51.1)。全国正社員平均の偏差値 50 をわずかに上回る水準で、東京で働いても、業種が下位だと「100 人中 38-46 位」レンジに留まることが分かります。
医療・福祉は介護・保育を含むため平均が押し下げられます(医師個別の年収は高いものの、人数で多い看護師・介護職・保育士・事務職がならされる構造)。運輸・郵便は配送業の比重、宿泊・飲食はパート比率と低時給の影響を強く受けています。
つまり、「東京で働けば誰でも高年収」ではなく、「東京で働くプレミアム × 業種選択」の 2 軸が両方効くということです。下位業種では、東京係数 1.228 を掛けても全国正社員平均から +20 万円〜+50 万円の上振れに留まります。
第6章:上位 3 業種 vs 下位 3 業種 — 年収差の可視化
ランキングの上位 3 業種と下位 3 業種を直接比較すると、「業種選択の重さ」がさらに鮮明になります。
※ 同じ東京の正社員でも、業種で年収が 1.44 倍 変わる
差額 244 万円/年、月額換算で 約 20 万円。
これは「東京 vs 全国」の格差(年 119 万円)の 2 倍以上にあたります。
地域選択より業種選択の方が、年収への影響は大きい。
第7章:年齢 × 業種のクロス分析 — 若手と管理職で格差は変わる
業種間の年収格差は、年齢によって大きく変化します。
20 代では、どの業種も初任給水準の差は小さく、業種間格差は相対的に小さい。しかし 40 代以降、管理職比率の違いが業種間格差を急拡大 させます。
賃構調 R7 の年齢階級別月額(男性正社員)を見ると:
- 20-24 歳:最高業種と最低業種の差は月額 50 千円程度(年収差 約 72 万円)
- 50-54 歳:最高業種と最低業種の差は月額 200 千円以上(年収差 約 290 万円)
つまり、「若いうちはどの業種でも大差ない」は事実だが、「40 代以降の差は取り返しがつかないほど大きい」のも事実です。
50 代の業種間年収差:約 290 万円
格差は 年齢とともに 4 倍に拡大。
金融・電気ガスは年功序列型の急カーブ。IT・サービスは比較的フラットな昇給曲線。
金融・保険業と電気・ガス業は年功序列型の急カーブで、50 代管理職は月額 500 千円超に達します。一方、宿泊・飲食やサービス業は昇給カーブがフラットで、50 代でも月額 350 千円前後に留まる傾向があります。
これは業種によって昇進構造と管理職比率が根本的に異なるためです。大企業比率が高い金融・インフラは部長・役員ポジションが用意されているが、飲食・サービスは店舗単位の運営で管理職ポジション自体が限られます。
第8章:男女格差 × 業種 — 二重の格差が交差するポイント
全国の男女間賃金格差は 76.6(女性は男性の 76.6%)ですが、業種によって格差の幅は異なります。
構造的に見ると:
- 金融業・保険業:男女格差が最も大きい業種の一つ。管理職比率の男女差が顕著
- 医療・福祉:看護師・薬剤師など女性の専門職比率が高く、格差は相対的に小さい
- 教育・学習支援:教員の給与体系が性別によらず公平で、格差は小さい
つまり、「高賃金業種ほど男女格差が大きい」傾向があります。金融業は業種平均で 1 位級の年収を出すが、その恩恵は男性に偏りがちです。医療・教育は業種平均は中下位だが、女性にとっては相対的に格差が小さい業種です。
この構造は、女性のキャリア戦略において重要な含意を持ちます。「高年収業種に行けば年収が上がる」は男女で実現度が異なる可能性があり、業種選択と男女格差の二重構造を意識する必要があります。
第9章:東京プレミアムの業種別濃淡 — 全業種一律ではない
本記事では東京係数 1.228 を全業種に一律適用していますが、実際には業種によって「東京プレミアム」の濃淡があると考えられます。
※ 金融・専門技術は東京本社集中度が高いため、実際の東京プレミアムは 1.228 以上の可能性があります
東京プレミアムが大きい業種:金融・コンサル・IT — 東京に大企業本社・外資が集中し、地方拠点との賃金差が大きい
東京プレミアムが小さい業種:医療・運輸・製造 — 全国に均等に分布し、地域による賃金差が限定的。病院の医師・看護師の給与は地域差が小さく、運輸・物流も地域間の賃金格差は限定的
ただし、賃構調は都道府県×産業の詳細クロス集計を公表していないため、ここでの「濃淡」は定性的な推定です。正確な業種×地域クロスは、将来の調査公表に期待する部分です。
第10章:業種転換でどこまで偏差値は動くか — 「100 人中 39 ランク」の重み
最下位の宿泊・飲食から最上位の電気ガスへ業種転換した場合、100 人中の順位は 46 位 → 7 位、つまり 39 ランク上昇します。
これは「東京で働く × 業種選択」の組み合わせがいかに強力な変数かを示しています。学歴・年齢・性別など、変えにくい属性とは違って、業種は転職・キャリア戦略の中で意図的に動かせる変数です。
ただし、業種転換は単純な偏差値の問題ではありません。
- 専門性の獲得コスト:金融・コンサル・専門技術には資格・経験・学歴のハードルがある
- やりがい・適性:飲食・医療・福祉に強い使命感を持つ方も多い
- 東京以外での比較:地方では業種間格差が圧縮される傾向がある
- 年齢制限:金融・コンサルへの未経験転職は 30 代前半がほぼ上限
ただし、未経験 IT 転職には最低 6 か月〜1 年のスキル習得期間と、初年度は年収ダウンの可能性も伴います。
数字だけで業種を選ぶのではなく、「自分の現在地と上限値を把握する」ためのデータとして活用を。
数字だけで業種を選ぶのではなく、「自分の現在地と上限値を把握する」ためのデータとして、本記事を使っていただくのが良い使い方かもしれません。
よくある質問(FAQ)
東京で最も年収が高い業種は何ですか?
賃構調 R7 に基づく正社員月額 × 東京係数 1.228 では、電気・ガス・熱供給・水道業(東京推定年収 808 万円・偏差値 64.9・100 人中 7 位) が 1 位です。同率で学術研究・専門技術サービス業(コンサル等)が 2 位、金融業・保険業(792 万円・偏差値 64.1)が 3 位です。
IT 業界の偏差値が意外と低いのはなぜですか?
情報通信業(偏差値 61.0・4 位)の順位は、GAFA や外資ベンチャーのイメージより低いと感じるかもしれません。これは賃構調の「情報通信業」に中小 SIer・受託開発・通信キャリアの一般社員まで含まれるためです。業種分類は大括りのため、外資 IT の年収 1,000 万超と地方 SIer の 400 万台が平均化されます。IT 業界内の格差は他業種より大きい傾向があります。
業種転換で年収偏差値はどのくらい上がりますか?
最大で 39 ランク(100 人中の順位で 46 位 → 7 位) 上昇する可能性があります。ただし、これは業種平均の比較であり、個人の年収は年齢・スキル・経験・企業規模にも依存します。業種転換の効果を正確に見積もるには、診断ツールで現在の業種と転職先の業種をそれぞれ入力して比較するのが有効です。
東京の金融業の年収は全国平均と比べてどのくらい高いですか?
金融業・保険業の全国正社員月額は 444.8 千円(年収約 645 万円)。東京係数 1.228 を適用すると約 792 万円となり、全国正社員平均 520 万円と比べて +272 万円(+52%) 高い水準です。
医療・福祉業界の年収が低いのはなぜですか?
医療・福祉(偏差値 53.1・9 位)が低いのは、看護師・介護職・保育士・事務職が就業者数の大半を占めるためです。医師の個別年収は高いものの、業種全体の平均では多数の中低賃金職種がならされます。また、医療・福祉は公定価格(診療報酬・介護報酬)で売上が規定されるため、民間企業のような利益拡大が起きにくい構造的要因もあります。
東京で正社員として働く場合、業種選びはどのくらい重要ですか?
非常に重要です。本記事のデータでは、業種だけで年収偏差値が 13.87 ポイント、100 人中の順位で 39 ランク変わります。これは地域差(東京 vs 全国で偏差値 6.2 ポイント差)の 2 倍以上のインパクトです。性別・学歴・年齢と並んで、業種は年収を決定する最大級の変数の一つです。
宿泊・飲食業でも東京なら年収は高いですか?
全国平均よりは高くなります。宿泊・飲食の全国正社員月額 303.8 千円(年収約 441 万円)が、東京係数で約 541 万円(偏差値 51.1)に上昇します。全国正社員平均 520 万円をわずかに上回る水準です。ただし、東京の他業種と比較すると 12 業種中最下位であり、東京プレミアムは効くが、業種の壁を超えるほどではありません。
あなたの「業種偏差値」を、属性込みで診断する
本記事の数値は、業種平均 × 東京 × 正社員という大括りの偏差値です。実際には、ご自身の年齢・性別・学歴・企業規模・職種によって、偏差値はさらに大きく変動します。
例えば「東京 × 情報通信 × 大企業 × 40 代男性 × 大卒」と「東京 × 情報通信 × 小企業 × 25 歳女性 × 短大卒」では、同じ業種でも偏差値が 10 ポイント以上動くこともあります。
DataLabo年収偏差値チェッカーの診断ツールは、性別・年齢・学歴・企業規模・業種・年収 を入力するだけで、東京都プリセット込みの偏差値を 1 分で出します。本記事の業種ランキングと組み合わせて、ご自身の正確な位置をご確認ください。
まとめ:12 業種で 39 ランク、業種選択は偏差値選択
最後に 3 指標で東京の業種別 年収偏差値ランキングを振り返ります。
| グループ | 偏差値帯 | 業種 | 100 人中 |
|---|---|---|---|
| 上位 3 業種 | 64.1〜64.9 | 電気ガス / 学術専門 / 金融保険 | 7-8 位 |
| 上位 +1 | 61.0 | 情報通信 | 14 位 |
| 中位 | 55.0〜59.7 | 教育 / 卸売 / 建設 / 製造 | 17-31 位 |
| 下位 | 51.1〜53.1 | 医療福祉 / 運輸 / サービス / 宿泊飲食 | 38-46 位 |
東京で正社員として働く場合、業種選択だけで 100 人中の順位は 7 位 〜 46 位、最大 39 ランク動きます。性別・年齢・学歴・企業規模を変えなくても、業種転換だけで偏差値が 10 ポイント以上動く可能性があるのは、データジャーナリズムの観点でも極めて大きな構造です。
さらに本記事では 4 つの追加分析を行いました。
- 年齢×業種:業種間格差は年齢とともに 4 倍に拡大(20 代 72 万 → 50 代 290 万)
- 男女×業種:高賃金業種ほど男女格差が大きい傾向
- 東京プレミアム:金融・コンサルは東京集中度が高くプレミアム大、医療・運輸はプレミアム小
- 業種転換:偏差値 +9.9 の可能性はあるが、スキル習得と年収ダウンのリスクも伴う
データを、自分のキャリア戦略を立てるレンズとして使っていきましょう。