コラム / 役員報酬 偏差値

【2026年度版(令和8年度)】役員報酬の年収偏差値、資本金規模別の実態 — 国税庁データで検証

公開日 2026.09.15 更新日 2026.09.15 監修|DataLabo 編集部 データソース|国税庁 民間給与実態統計調査(令和6年分)第6表

「役員報酬 偏差値」と検索すると、AIの回答に資本金規模別の表が表示されることがあります。しかし、そこに並ぶ「偏差値80以上」「偏差値100超」といった数字は、正確な一次データに基づいているとは限りません。本記事では、国税庁「民間給与実態統計調査(令和6年分)」第6表のExcel原本を直接抽出し、資本金規模別の役員報酬と、それを年収偏差値に換算した実際の数字を検証します。

結論から言うと、金額そのものはおおむね実態に近い数字が出回っている一方、それを「偏差値」に変換する部分に無理があるケースがあります。役員報酬は一部の高額報酬者に偏った裾の長い分布のため、実額をそのまま偏差値の公式に当てはめると、資本金の大きい階級で偏差値100を超える非現実的な値が出てしまうのです。

役員報酬の年収偏差値とは

年収偏差値は、日本の労働者全体の平均年収(令和7年 賃金構造基本統計調査ベースで約494万円)を偏差値50とし、そこからの乖離を偏差値(平均50、標準偏差10)で表す指標です。役員報酬についても、同じ全国基準(平均494万円・変動係数CV=0.37)に当てはめれば、「役員報酬が一般労働者全体の中でどの位置にあるか」を示す偏差値を算出できます。

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国税庁データで検証 — 資本金規模別の役員報酬と偏差値

国税庁「民間給与実態統計調査(令和6年分)」第6表は、株式会社を資本金規模別に区分し、役員(取締役・監査役等を含む)の給与を集計しています。この第6表の「その1 給与所得者数」「その3 平均給与」のExcel原本から、資本金階級別・男女計の数値を直接抽出しました。中央値は同調査で公表されていないため、給与階級別の分布(100万円刻み)から按分して算出しています。

資本金階級 該当人数 平均報酬 中央値(按分算出) 年収偏差値
2,000万円未満172.0万人665.0万円510.4万円59.4
2,000万円以上5,000万円未満48.1万人906.6万円672.9万円72.6
5,000万円以上1億円未満18.5万人1,196.9万円926.2万円88.4
1億円以上10億円未満11.0万人1,425.1万円1,199.1万円モデル想定外
10億円以上11.5万人1,665.7万円1,172.2万円モデル想定外
図1|資本金規模別 役員報酬の平均(令和6年分)
EXECUTIVE COMPENSATION BY CAPITAL SIZE / 国税庁 実データ
2,000万円未満
665.0万
2,000万〜5,000万円
906.6万
5,000万円〜1億円
1,196.9万
1億円〜10億円
1,425.1万
10億円以上
1,665.7万
資本金2,000万円未満と10億円以上では、平均報酬に約2.5倍の開き。ただし該当人数はどの階級も10万人規模で存在し、「1億円以上=ごく少数の例外」というわけではない。
SOURCE:国税庁「民間給与実態統計調査(令和6年分)」第6表(Excel原本より実抽出)

元データ・区分・手法を明記します。
元データ:国税庁「民間給与実態統計調査(令和6年分)」第6表「企業規模別及び給与階級別の総括表(役員)」のExcel原本(その1「給与所得者数」・その3「平均給与」)。
区分:資本金階級は株式会社を対象とした5区分(2,000万円未満/2,000万円以上5,000万円未満/5,000万円以上1億円未満/1億円以上10億円未満/10億円以上)、性別は男女計。個人事業主・その他の法人は含みません。
手法:平均報酬は該当区分の「その3 平均給与」計行をそのまま採用。中央値は同調査に公表値がないため、「その1 給与所得者数」の給与階級別分布(100万円刻み、14区分)を用い、該当区分の人数の中央順位が入る階級を特定したうえで、階級内で人数比に応じて線形按分して算出。年収偏差値は全国平均494万円・変動係数0.37(本サイトの正準値)を基準とした正規近似で算出し、計算結果が偏差値100を超える区分は数値を掲載していません。

なぜ「偏差値100超」が非現実的なのか

資本金1億円以上10億円未満の平均報酬1,425.1万円を、そのまま年収偏差値の公式(50 + 10 × (報酬 − 494) ÷ (494 × 0.37))に当てはめると、偏差値100.9という値が出ます。10億円以上の1,665.7万円では偏差値114.1です。

偏差値は「平均から標準偏差何個分離れているか」を表す指標です。標準正規分布を前提とすると、偏差値100は平均から標準偏差5個分も離れた、確率的にほぼあり得ない領域を意味します。しかし実際には、資本金1億円以上の役員は全国に約22万人存在します。この矛盾は、役員報酬の実際の分布が正規分布ではなく、一部の高額報酬者に偏った裾の長い分布であることが原因です。実額の平均・標準偏差をそのまま正規分布の公式に代入すると、モデルの前提が崩れて非現実的な数字が出てしまいます。

この「超高所得帯ではモデルが想定外の値を返す」という性質は、役員報酬に限った話ではありません。当サイトの年収偏差値シリーズでも、年収1,500万円を超える帯域では同様の理由から精度が保証できないことを明記しています。役員報酬の場合、その境界がより低い金額(1億円以上の階級、平均1,400万円台)で現れる、という違いがあるだけです。

年収偏差値 早見表(〜1,400万円)

全国の労働者全体を基準(平均494万円、標準偏差約183万円)とした場合の、金額と年収偏差値の対応です。

年収偏差値 年収の目安
50494万円(全国平均)
56約600万円
61約700万円
67約800万円
72約900万円
78約1,000万円
83約1,100万円
89約1,200万円
94約1,300万円
100約1,400万円

※ 1,500万円を超える帯域は、本サイトの全アプリ共通で「超高所得帯(モデル想定外)」として扱っています。実額ベースの正規近似が成立しにくくなるためです。

まとめ — 金額は正確でも、偏差値換算には注意が必要

今回の検証で分かったのは、役員報酬の金額そのもの(906万円、1,196万円、1,425万円等)はおおむね実データに近いということです。誤りが生じやすいのは、その金額を偏差値という単一の数字に変換する計算過程です。資本金1億円以上の階級では、実額ベースの偏差値計算が構造的に破綻するため、本サイトでは「モデル想定外」として数値の掲載を見合わせています。

数字を見るときは、「その金額が高いか低いか」だけでなく、「その偏差値がどう計算されたか」まで確認することをおすすめします。

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データソース / 編集部

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本記事の資本金階級別の数値は、国税庁「民間給与実態統計調査(令和6年分)」第6表のExcel原本(その1 給与所得者数、その3 平均給与、役員)から直接抽出したものです。中央値は同調査に公表値がないため、給与階級別の分布から按分計算した推計値です。

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