BLOG ARTICLE / 学歴別年収

【令和7年最新】学歴別 年収の現実
— 大卒・高卒で月額22万円差、なぜ「大学別ランキング」は公的統計に存在しないのか

公開日: 2026-05-04 所要: 約 8 分

「東大卒の平均年収」「早慶 vs MARCH」「大学別 生涯年収ランキング」——
ネットでこういう特集を見て、自分の母校の順位を確かめた経験はないだろうか。だが、その数字の出典をたどっていくと、ほとんどが企業の独自アンケートや転職サイトの登録者ベースのデータで、国の公的統計にたどり着くことは少ない。

なぜか。「大学別年収」は、官公庁の公的統計には存在しないからだ。

存在するのは「学歴別年収」、すなわち高卒・専門学校卒・高専短大卒・大学卒・大学院卒という大くくりの集計だけ。本記事では令和7年(2026年3月公表)の最新データを使って、学歴という「大きな器」が年収にどれだけ影響するのか、そして属性を重ねると個人の位置はどう動くのかを見ていく。

第1章:同期の年収が気になるのは「学歴フィルタ」のせい

入社5年目の同期会で、ふと隣の席のキャリアの話になる。「あいつ、年収700万って言ってた」「私はまだ500万」——その差はどこから来るのか。

理由を一つに絞ることはできないが、学歴・業種・企業規模・年代・性別・地域の6つの属性が重なって決まることは、賃金統計の世界では知られている。中でも入社時点で固定されるのが学歴で、その後のキャリアパス(業種・企業規模)にも強く影響するため、実は「学歴」が年収の出発点を最も大きく決めている

それでも世の中で「東大卒の平均年収は◯◯万円」というランキング記事が読まれ続けるのは、人間が「自分のラベル」と「他人のラベル」を比較したくなる生き物だからだろう。だが、ここで一度立ち止まって考えたい。そのランキングの数字、本当に信じていいのだろうか。

第2章:「大学別年収ランキング」はなぜ公的統計に存在しないのか

ネット上の「大学別年収ランキング」のほとんどは、次のいずれかをソースにしている。

  1. 転職サイト(doda、リクナビ等)の登録者の自己申告データ
  2. 就職四季報・大学通信などの民間調査
  3. 企業の有価証券報告書(一部上場企業の従業員平均給与)から OB の在籍企業を逆算

このどれもが「特定の母集団に偏ったサンプル」であり、「全大学の卒業生全員」を代表する数字ではない。転職サイトの登録者は転職意欲が高く現年収が比較的高い層に偏るし、有価証券報告書の数字は各社の従業員全員(OB だけではない)の平均だ。

国の公的統計、すなわち厚生労働省が毎年公表する「賃金構造基本統計調査」は、全国約 5 万事業所・約 160 万人の労働者を対象とした大規模調査だが、調査票には「最終学歴」は聞いても「出身大学名」は聞かない。これは個人情報保護とサンプル設計上の理由による(特定大学の卒業生を絞ると一気にサンプルサイズが小さくなり、統計的な信頼性が確保できない)。

つまり、国が公式に「言える」のは「学歴別」までで、「大学別」は最初から統計の射程外ということになる。これは欠陥ではなく、サンプルベースの公的統計が「言えること」と「言えないこと」を厳密に切り分けている結果だ。

ネットのランキングを娯楽として楽しむのは構わないが、自分のキャリアを真剣に考えるときに参照すべきは、信頼できる公的統計の方だろう。

第3章:令和7年データが示す、学歴別年収の現実

それでは、公的統計が「言える」ことを見ていこう。

厚生労働省『令和7年 賃金構造基本統計調査』第3表(学歴・年齢階級・性別)の年齢計データから、月額の所定内給与を抜粋する(千円、男女計):

学歴月額(男女計)月額(男)月額(女)
高校297.2321.7245.0
専門学校313.7338.3287.5
高専・短大321.2375.3294.4
大学396.3429.6327.4
大学院517.4534.8438.2
出典: 厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」結果の概況 第3表(2026年3月24日公表)。所定内給与額(時間外・休日手当・賞与を除く月額、千円)。

ここから見えてくる事実は3つ。

事実① 大学院卒と高校卒、月額22万円差

517.4 − 297.2 = 220.2 千円。これに賞与込み年収換算(×14.5)をかけると、年間で約 319 万円の差になる。仮にこの差が 40 年間続いたとすれば累計で 約 1.28 億円——これが「学歴差」の大きさだ。

事実② 大卒男性と高卒女性、月額18.5万円差

429.6 − 245.0 = 184.6 千円。年収換算で約 268 万円差。学歴と性別の交差点で生じる格差は、学歴単独の格差より大きく見えることに注意が必要だ。

事実③ 大卒は「平均値」上で全国平均(340.6 千円)より上

全雇用者の月額平均 340.6 千円に対し、大卒 396.3 千円は +55.7 千円(約 +16%)。一方、高卒 297.2 千円は −43.4 千円(約 −13%)。大卒という属性は、年収を全国平均から押し上げる方向に働く。

ただし、これらはすべて年齢計(20代〜60代をまとめた平均)であることに注意してほしい。実際にはあなたの「年代」「業種」「都道府県」と組み合わせて初めて、本当の相対位置が分かる。

第4章:30代・大卒・東京 — 属性を重ねると数字はこう動く

検索クエリで「30代平均年収 東京 大卒」を打ち込んだ人は、おそらく自分の年代・属性に近い数字が知りたいはずだ。ここで属性を重ねてみよう。

大卒(年齢計、男女計)

30代正社員(学歴ミックス、男女計、第6-1表)

東京都の地域係数(賃構調 第1-10表)

ここで注意したいのは、「30代×大卒×東京」を単純に掛け合わせるのは、独立仮定になるので推測の域を出ないという点だ。年齢×学歴のクロス、地域×学歴のクロスは、公開されている表だけでは厳密には算出できない。

それでも方向感だけ言えば、「30代・大卒・東京・正社員」は全国平均(年収約 494 万円)より明確に上で、年代・性別・業種・企業規模の組み合わせ次第で 600 万〜800 万円台 に乗る人も少なくない、というのが令和7年データから読める範囲だ。「自分の正確な位置」は、属性を全部入れて初めて分かる

第5章:学歴別データの裏にある「男女差」と「年齢カーブ」

学歴別の数字をそのまま受け取る前に、もう一つ確認しておきたいことがある。同じ学歴でも、男女で大きく数字が違うという事実だ。

学歴男(千円)女(千円)男女差
高校321.7245.0+76.7
専門学校338.3287.5+50.8
高専・短大375.3294.4+80.9
大学429.6327.4+102.2
大学院534.8438.2+96.6

大卒の男女差は月額 102.2 千円——年収換算で約 148 万円。これは「大学院卒と大卒の男女計の差(121.1 千円)」にほぼ匹敵する。学歴を上げる効果と、性別による差は、ほぼ同じスケールで効いていることになる(令和7年男女間賃金格差は 76.6、付表1)。

一方、年齢カーブにも特徴がある。男性は 55-59 歳に賃金ピーク(正社員 460.7 千円)を迎え、女性は 45-49 歳ごろにピーク(正社員 327.4 千円)を迎えた後、ほぼ横ばいになる(第6-1表)。学歴を「武器」として使えるかどうかは、年代・性別とのかけ算で決まるということだ。

「大卒だから安泰」「大学院に行けば必ず勝てる」というのは、平均の話としても完全には正しくない——これが令和7年データが示している現実だ。

第6章:あなたの偏差値は「1属性」では決まらない — 診断ツールで属性を全部入れる

ここまで読んでいただいた方なら、もうお気づきだろう。

学歴は年収の「出発点」を決めるが、最終的な相対位置を決めるのは属性の組合せだ。同じ大卒でも、東京の金融業・大企業に勤めるのと、地方の小規模企業に勤めるのとでは、年収偏差値はまったく異なる。

「年収偏差値ラボ」では、令和7年 賃金構造基本統計調査の 6 ベース(全国・同年代/性別・同業種・企業規模・学歴・東京都)であなたの偏差値を同時算出し、属性ごとの強み・弱みを可視化する。

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第7章:学歴は出発点、最終的な偏差値は「属性の重ね合わせ」で決まる

「大学別年収ランキング」は公的統計には存在しない。あるのは「学歴別」までだ。そして、その学歴別データから言える事実は、大卒は確かに高卒より平均年収が高いが、それは年代・性別・業種・地域・企業規模との重ね合わせで初めて意味を持つということだった。

大学院卒と高校卒で月額 22 万円差。これは年収にして約 319 万円差、40 年勤務なら 1.28 億円差。
しかし、同じ大卒でも男女差は月額 102 千円ある。
30代・大卒・東京・正社員なら全国平均より明確に上だが、業種・企業規模で 200 万円以上の幅が出る。

これらはすべて 令和7年 賃金構造基本統計調査 が告げている事実だ。あなたが今いる場所は、平均の上か下か。診断ツールで属性を全部入れると、初めて自分にとっての答えが出る。

数字を「ぼんやり気にする」段階から、「具体的な属性で正確に把握する」段階へ。それが次の一歩を踏み出すための、最も冷静で建設的な手がかりだ。