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【2026年度版(令和8年度)】
業界×学歴で年収はこう変わる
公的統計に「クロス表」がない理由と6属性モデルの読み方

公開日: 2026-06-14 更新日: 2026-06-14 監修: DataLabo 編集部 カテゴリ: 統計リテラシー / 年収偏差値

業界×学歴で年収はこう変わる|公的統計に「クロス表」がない理由と6属性モデルの読み方

「自分の業界で、大卒と高卒はどれくらい年収が違うのか」——これは多くの人が知りたい問いです。ところが、AIや検索で「業界別×学歴別の年収表」を探しても、なかなか一枚の表は出てきません。それには明確な理由があります。

本記事では、なぜその表が公的統計に存在しないのかを説明したうえで、厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)の学歴係数業種係数を掛け合わせると、業界×学歴で年収がどう動くのかを、年収偏差値ラボの6属性モデルの概算レンジとして中立に読み解きます。

DEFINITION / 定義
業種係数 × 学歴係数の「二段モデル」とは
年収偏差値ラボは、全国平均(月額所定内給与340.6千円・男女計)を基準(1.00)として、業種ごとの賃金水準を表す業種係数と、学歴ごとの賃金水準を表す学歴係数を掛け合わせ、「この業界・この学歴ならおおよそこの水準」という年収レンジを推計します。公的統計が別表でしか持たない「業界×学歴」を、係数の掛け算で近似する仕組みです。

第1章:なぜ「業界×学歴の年収表」は存在しないのか

日本でいちばん信頼できる賃金の元データは、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」です。産業別・学歴別・年齢別・企業規模別など、さまざまな切り口の平均賃金が毎年公表されています。

ただし、これらはそれぞれ別の表として出されています。「産業別の賃金表」と「学歴別の賃金表」はあっても、「産業×学歴」を一枚にまとめた年収表は公式には用意されていません。そのため、業界ごとの学歴差を知るには、複数の表を組み合わせて推計するしかありません。

つまり「IT業界の大卒と高卒の年収差は?」という素朴な問いに、公的統計は一発で答える表を持っていないのです。だからこそ、係数を掛け合わせて近似する「モデル」の出番になります。


第2章:学歴は年収にどれだけ効くか — 令和7年の学歴係数

まず学歴の効き目です。令和7年 賃金構造基本統計調査の月額所定内給与(男女計)から、全国平均340.6千円を基準にした学歴係数を、高校卒=1.00に揃えて並べると、次のようになります。

図1|学歴係数(高校卒=1.00 換算)
EDUCATION MULTIPLIER — 令和7年・月額所定内給与・男女計
中学卒 0.95
高校卒 1.00
専門・高専短大卒 1.02
大学卒 1.26
大学院卒 1.65
高卒を1.00とすると、大学卒は約1.26倍、大学院卒は約1.65倍。学歴は6属性のなかでも最も影響度の大きい属性です。
SOURCE:厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」第3表(男女計)より。中学卒0.873・高校卒0.921・専門高専短大0.943・大学卒1.164・大学院卒1.519(全国平均340.6千円=1.00)を高校卒基準に再換算。

学歴別の年収そのものをもっと詳しく知りたい方は、学歴別の平均年収【令和7年】もあわせてご覧ください。


第3章:業界で賃金水準はどれだけ違うか — 業種係数

次に業界の効き目です。同じく令和7年データから、全国平均を1.00とした業種係数(月額所定内給与の比)を並べると、業界だけで大きな開きがあることが分かります。

図2|業種係数(全国平均=1.00)— 主な業界
INDUSTRY MULTIPLIER — 令和7年・月額所定内給与・男女計
電気・ガス・水道1.30
金融・保険1.28
情報通信1.19
建設1.08
卸売・小売1.03
製造0.97
医療・福祉0.93
生活関連サービス・娯楽0.87
宿泊・飲食サービス0.81
最も高い電気・ガス(1.30)と最も低い宿泊・飲食(0.81)では、業界だけで約1.6倍の開き。学歴が同じでも、業界が違えば年収はここまで動きます。
SOURCE:厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」産業別(男女計)より。全国平均340.6千円=1.00とした月額所定内給与の比。16業種のうち主要9業種を抜粋。

業界別の年収順位は業種別の年収ランキング|30代前半で「すでに高い業種」はどこかでも詳しく扱っています。


第4章:掛け合わせると見える「業界×学歴」の年収レンジ

では、業種係数と学歴係数を掛け合わせると、年収はおおよそどの水準になるのでしょうか。代表的な4業界×3学歴で、年収の概算目安を並べます。

図3|業界×学歴の年収レンジ(概算目安・万円)
INDUSTRY × EDUCATION — estimated annual income (¥10k)
業界\学歴高校卒大学卒大学院卒高卒→院卒
金融・保険約584約738約963+379
情報通信約542約685約894+352
製造約441約557約727+286
宿泊・飲食約370約468約611+241
同じ「高卒→大学院卒」でも、金融では+約379万円、宿泊・飲食では+約241万円。賃金水準の高い業界ほど、学歴差は金額として大きくなります。
SOURCE:年収偏差値ラボ 6属性モデルによる概算(全国・男女計・全年齢・企業規模指定なし基準、所定内給与×M2A14.5)。賞与の業界差・年齢・企業規模・地域は未調整のため、実額とは幅があります。

この表は、年齢・企業規模・地域などをそろえた「基準ケース」での目安です。実際の年収はこれらの属性でさらに動きます。あくまで「業界と学歴という2軸だけを取り出すと、どのくらいの開きになるか」を見るための地図として読んでください。


第5章:同じ「学歴差」でも、業界で効き方が変わる

図3で見たとおり、掛け算モデルでは、高卒から大学院卒への倍率はどの業界でも同じ(約1.65倍)になります。一方で、金額の差は賃金水準の高い業界ほど大きくなります。金融の+379万円と宿泊・飲食の+241万円は、同じ1.65倍でも土台の高さが違うために生まれる差です。

ただし、ここには大切な注意点があります。現実のデータでは、高賃金・専門職中心の業界ほど、学歴プレミアムの「比率」そのものも大きくなりやすい傾向があります。たとえば研究開発や金融専門職では、大卒・院卒が管理職や高度専門職に就く割合が高く、学歴による差が倍率としても開きます。

係数を掛け合わせる二段モデルは「倍率は一定」と仮定するため、この業界ごとの学歴プレミアムの違いを部分的にしか表せません。図3はあくまで近似であり、高付加価値業界では実際の学歴差はさらに大きく、現場系・サービス系では小さく出ることがあります。


第6章:これは「実力」ではなく、構造の地図

業界×学歴の年収レンジは、進路や転職を考えるうえで有用な物差しですが、個人の実力や価値を測るものではありません。年収は、業界構造・企業規模・地域・性別役割分担といった、個人では変えにくい要因に強く左右されます。同じ業界・同じ学歴のなかでも、職種・役職・勤続年数・残業の有無で年収は大きく動きます。

大切なのは、この地図を「自分はいまどの土俵に立っているのか」を知る手がかりとして使うことです。業界を変えるのか、学び直すのか、いまのフィールドで役職を上げるのか——どの道を選ぶにしても、この地図はその判断を支える一つの指標となるものと思います。


第7章:あなたの「業界×学歴」での位置を診断する

係数の掛け算では「平均的な水準」しか分かりません。あなた自身の年収が、同じ業界・同じ学歴の人のなかでどのあたりかを知りたいときは、年収偏差値で位置を確かめてみるとよいでしょう。

年収偏差値ラボなら、性別・年齢・学歴・企業規模・業種・都道府県の6属性を指定したうえで、母集団をはっきりさせて偏差値と上位何%かを確認できます。

【あなたの業界・学歴での位置を見るなら】あなたの年収偏差値を診断する(年収偏差値チェッカー・約1分)→
6属性を指定して、同じ条件の人のなかでの位置が分かります。

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真ん中の人を偏差値50に置く、実感に近い方式です。


第8章:よくある質問

Q. 業界別×学歴別の年収表が公的統計にないのはなぜですか?
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」は、産業別の賃金表と学歴別の賃金表を別々に公表しており、「産業×学歴」を一枚にまとめた年収表は公式には用意されていないためです。両表を組み合わせて推計するしかなく、年収偏差値ラボはこれを「業種係数×学歴係数」の二段モデルで近似しています。
Q. 学歴は年収にどれくらい効きますか?
令和7年 賃金構造基本統計調査の月額所定内給与(男女計)でみると、高校卒を1.00とした場合、専門・高専短大卒は約1.02、大学卒は約1.26、大学院卒は約1.65です。高卒と大学院卒では月額で約1.65倍、年収換算で数百万円規模の差になります。ただし同じ学歴でも業種・企業規模・年齢で大きく変わります。
Q. 同じ学歴でも業界で年収はどれくらい変わりますか?
令和7年データの業種係数(全国平均を1.00とした月額所定内給与の比)でみると、最も高い電気・ガス・熱供給・水道業が約1.30、最も低い宿泊業・飲食サービス業が約0.81で、業種だけで約1.6倍の開きがあります。学歴が同じでも、どの業界で働くかで年収は大きく動きます。
Q. 高付加価値業界ほど学歴差が大きいというのは本当ですか?
金額の絶対差でみればその傾向があります。たとえば年収換算で、金融・保険業は高卒と大学院卒で約380万円の差、宿泊・飲食業では約240万円の差と、賃金水準の高い業界ほど学歴差は金額として大きくなります。なお実際のデータでは、高賃金・専門職中心の業界は学歴プレミアムの比率自体も大きくなりやすく、掛け算の近似モデルはこの違いを部分的にしか表せない点に留意が必要です。

第9章:まとめ — 2軸の地図で、土俵を確かめる

「業界別×学歴別の年収表」は公的統計に一枚では存在しませんが、業種係数と学歴係数を掛け合わせれば、おおよその地図は描けます。

学歴:高卒1.00 → 大学1.26 → 大学院1.65(令和7年・男女計)
業界:電気ガス1.30 〜 宿泊飲食0.81(約1.6倍の開き)
掛け合わせると、金融×院卒は約963万円、宿泊飲食×高卒は約370万円が目安。

ただし、これは年齢や企業規模をそろえた近似であり、高付加価値業界では学歴差が実際にはさらに大きく出ることもあります。数字は、あなたを採点する道具ではなく、いま立っている土俵を確かめるための地図です。地図で全体を見たうえで、自分の正確な位置は、年収偏差値で確かめてみることをおすすめします。

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編集部より
DataLabo 編集部
年収偏差値ラボ(DataLabo)編集部は、厚生労働省などの公的統計のみを一次出典として、年収・資産・退職金の偏差値を解説しています。本記事は令和7年 賃金構造基本統計調査(2026年3月公表)の学歴別・産業別の月額所定内給与(男女計)に基づき、当サイトの6属性モデル(業種係数×学歴係数)で年収レンジを概算したものです。図3の金額は全国・男女計・全年齢・企業規模指定なしを基準にした目安で、賞与の業界差・年齢・企業規模・地域は未調整です。掛け算の近似モデルは業界ごとの学歴プレミアムの違いを完全には反映できないため、実額とは幅があります。