BLOG ARTICLE / 年収と幸福度のねじれ

【2026年度版(令和7年度)】
「年収が高い人ほど幸せ」は本当か
— 内閣府Well-being調査でわかる年収と生活満足度の“ねじれ”

公開日: 2026-06-05 更新日: 2026-06-05 監修: DataLabo 編集部 カテゴリ: Well-being / 年収偏差値

「年収が高い人ほど幸せ」は本当か — 内閣府Well-being調査でわかる年収と生活満足度の“ねじれ”

「年収が上がれば、もっと幸せになれるはず」——多くの人が、どこかでそう信じています。当サイトで年収偏差値を診断する方の多くも、心のどこかで「上位に行けば、その分だけ満たされる」と感じているかもしれません。

では、本当にそうなのでしょうか。年収と幸福度は、きれいに比例するのでしょうか。

この問いに、国(内閣府)が毎年1万人規模で実施している「満足度・生活の質に関する調査」(Well-being調査)のデータで向き合ってみます。すると、年収と満足度のあいだには、いくつもの“ねじれ”があることが見えてきます。

DEFINITION / 本記事の問い
年収偏差値と幸福度は比例するのか
内閣府2025年調査の総合生活満足度は5.79(0〜10点)。最も稼ぐ40〜64歳が5.50で全世代最低、満足度が低い分野は「雇用・賃金」4.92・「家計」4.96。賃上げが続いても総合満足度は横ばい——「お金」と「幸福度」のねじれを公的データで読み解きます。

第1章:年収のピークと、満足度のピークは一致しない

まず、年代で見てみましょう。賃金は年齢とともに上がり、50代後半でピークを迎えます(令和7年 賃金構造基本統計調査)。では、生活満足度も同じように、稼ぎがピークの世代でいちばん高いのでしょうか。

答えは 「いいえ」 です。内閣府2025年調査では、最も稼ぐ世代であるはずの40〜64歳の生活満足度が5.50で、全世代のなかで最も低いのです。逆に、現役を退いた65歳以上が6.51で最も高くなっています。

図1|生活満足度は「最も稼ぐ世代」がいちばん低い
LIFE SATISFACTION BY AGE — 2025, 0–10 scale
39歳以下 5.78
40〜64歳 5.50(最低)
65歳以上 6.51(最高)
賃金がピークを迎える40〜64歳の満足度が、全世代で最も低い5.50。仕事・子育て・介護の負担が重なる時期であることが背景とみられます。年収のピークと幸福度のピークは、ずれています。
SOURCE:内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書2025」(生活満足度・年齢階層別、0〜10点)

第2章:満足度が最も低い分野は「お金」だった

内閣府の調査は、生活全体の満足度だけでなく、14の分野ごとの満足度も尋ねています。健康、住宅、人とのつながり、仕事と生活の両立——そのなかで、満足度が最も低い分野の一角を占めるのが「お金」でした。

「雇用環境と賃金」は4.92、「家計と資産」は4.96。いずれも5点に届かず、14分野のなかで下位に沈んでいます(最も低いのは「政治・行政・裁判所への信頼性」の4.37)。

図2|分野別の満足度 — 「賃金」「家計」は下位に沈む
SATISFACTION BY DOMAIN — 2025, 0–10 scale
政治・行政への信頼 4.37
介護のしやすさ 4.82
雇用環境と賃金 4.92
家計と資産 4.96
仕事と生活(WLB) 5.46
生活満足度(総合) 5.79
「雇用・賃金」(4.92)と「家計」(4.96)は、総合満足度(5.79)よりはっきり低い水準。お金まわりは、日本人の満足度の弱点になっています。
SOURCE:内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書2025」(分野別満足度、0〜10点)

第3章:賃上げが続いても、満足度は横ばい

近年は「30年ぶりの賃上げ」が話題になりました。名目賃金は上がり、内閣府調査でも「雇用環境と賃金」分野の満足度は改善しています。では、生活全体の満足度も上がったのでしょうか。

ここにも、ねじれがあります。総合的な生活満足度は、2019年の5.78から2025年の5.79まで、ほとんど動いていません。5.7〜5.9の狭い範囲を行き来しているだけです。

図3|総合生活満足度の推移 — ほぼ横ばい
TREND OF LIFE SATISFACTION 2019–2025 — 0–10 scale
2019年5.78
2020年5.83
2021年5.74
2022年5.76
2023年5.79
2024年5.89
2025年5.79
7年間、満足度は5.7〜5.9の幅でほぼ横ばい。賃金が名目で上がっても、生活全体の満足度はすぐには動きません。「収入が増える=満足度が上がる」とは限らないのです。
SOURCE:内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書2025」(生活満足度の推移・全体、0〜10点)

第4章:賃金の格差は大きく、満足度の格差は小さい

もう一つ、わかりやすい“ねじれ”があります。正社員と非正規社員を比べてみましょう。

令和7年 賃金構造基本統計調査では、正社員と非正規の月額賃金には約1.48倍(年収換算で約140万円)の差があります。これは非常に大きな格差です。ところが、内閣府調査の生活満足度を見ると、正社員5.76に対し非正規5.53。差はわずか0.23点しかありません。

図4|正社員と非正規 — 賃金の差は大、満足度の差は小
REGULAR vs NON-REGULAR — wage gap vs satisfaction gap
賃金の差
(正社員 ÷ 非正規)
+48%
生活満足度の差
(5.76 vs 5.53)
+4%
賃金は約1.48倍(+48%)もの差があるのに、生活満足度の差はわずか+4%。お金の格差ほど、幸福度の格差は大きくありません。
SOURCE:賃金=厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」(正規/非正規 1.48倍)/満足度=内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書2025」(正規5.76・非正規5.53)

では、この0.23点という差は、どれくらいの大きさなのでしょうか。ピンと来にくいので、世代による満足度の差と並べてみます。すると、その小ささがはっきりします。

図5|満足度0.23点は、世代差にくらべてどれだけ小さいか
SIZE OF THE 0.23-POINT GAP — vs other satisfaction gaps, 0–10 scale
世代の最大差
(40-64歳↔65歳以上)
1.01点
共働き効果
(男・39歳以下)
0.58点
年代差
(39歳以下↔40-64歳)
0.28点
正規↔非正規 0.23点
男女差
(男5.68↔女5.91)
0.23点
賃金が1.48倍違っても、満足度の差0.23点は世代の最大差(1.01点)の約4分の1にすぎません。しかも「共働きかどうか」だけで0.58点動く——お金の形より、お金以外の要因のほうが満足度を大きく動かしているのです。
SOURCE:内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書2025」(生活満足度・各属性別、0〜10点)より各差分を算出

正社員から非正規になることの満足度への影響は、男女差とほぼ同じ、そして「年を重ねて働き盛り世代に入る」こととほぼ同程度です。賃金が1.48倍も違うことを思えば、意外なほど小さい差だといえます。


第5章:それでも「年収が高いほど満足度は高い」のも事実

ここまで“ねじれ”ばかりを見てきましたが、誤解しないでください。お金が満足度に効かない、という話ではありません

内閣府2025年調査では、世帯年収の階級別に見ると、世帯年収が100万円未満から1,000万円以上まで、年収が高い層ほど生活満足度も高くなる傾向がはっきり確認されています。お金は、確かに満足度を押し上げる力を持っています。

CONCLUSION / お金は「効く」が「すべて」ではない
お金は満足度を押し上げる(世帯年収が高いほど満足度も高い)。けれども、お金まわりは満足度の弱点でもあり(賃金・家計は下位)、賃金が1.48倍違っても満足度は0.23点しか変わらない。年収は幸福度の一部であって、全部ではない——これが公的データの示す結論です。

言いかえれば、年収は幸福度を構成する大事な一要素です。けれども、健康・人とのつながり・仕事と生活のバランスといった「お金以外の要素」も、同じくらい——ときにそれ以上に——満足度を左右します。では、その「お金以外の要素」とは具体的に何でしょうか。内閣府の調査は、いくつかの手がかりを示しています。


第6章:お金以外に効くもの①——「つながり」と「居場所」

お金以外で満足度を左右するものの代表が、人とのつながり居場所です。

まず、つながりから見ましょう。同居の家族・親族以外で「困ったときに頼りになる人」の数を尋ねると、働き盛りのミドル層(40〜64歳)で最も少なく、男性の40〜64歳では「0人」と答えた人が約3割(30%)にのぼります。最も稼ぐ世代が、最も孤立しやすい——ここにも、お金と満足度のねじれが重なって見えます。

次に、居場所です。家庭でも職場・学校でもない「第三の居場所(サードプレイス)」を持つ人は、調査では半数弱。そして、サードプレイスが「ある」人は「ない」人より、「生活の楽しさ・面白さ」の満足度がはっきり高いという結果が出ています。

図6|「居場所」がある人は、暮らしの楽しさの満足度が高い
THIRD PLACE × ENJOYMENT OF LIFE — male, 0–10 scale
39歳以下・あり 6.14
39歳以下・なし 5.14
65歳以上・あり 6.52
65歳以上・なし 5.96
どの世代も、サードプレイスが「あり」の人のほうが満足度が高くなっています(男性の例)。お金の多寡とは別に、安心して過ごせる居場所があるかが、暮らしの楽しさを左右しています。
SOURCE:内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書2025」(サードプレイスの有無と生活の楽しさ・面白さ満足度、男性、0〜10点)

カフェでも、ジムでも、趣味の集まりでもかまいません。収入の大小とは関係なく、自分が自由に過ごせる場所があるかどうかが、満足度に効いているのです。


第7章:お金以外に効くもの②——働き方と家族のかたち

働き方や家族のかたちも、満足度を左右します。

内閣府の調査では、若年層の生活満足度は共働き世帯で高いという結果が出ています。男性39歳以下では、共働き世帯の満足度6.05に対し、一方のみが就業する世帯は5.47。女性39歳以下でも、共働き世帯6.31が一方のみ就業6.05を上回ります。子育て世帯でも、総じて共働き世帯の満足度が高めでした。

図7|若年層は「共働き世帯」のほうが満足度が高い
DUAL-INCOME vs SINGLE-INCOME — under 40, 0–10 scale
男性・共働き 6.05
男性・一方のみ就業 5.47
女性・共働き 6.31
女性・一方のみ就業 6.05
39歳以下では、男女とも共働き世帯の満足度が高い傾向。世帯の稼ぎ方そのものより、夫婦が共に働き支え合うかたちが満足度に結びついている可能性があります。
SOURCE:内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書2025」(共働き世帯・一方のみ就業世帯の生活満足度、39歳以下、0〜10点)

さらに今回の調査は、「充実した人生を送れていると感じるか(人生の充実感=エウダイモニア)」という、満足度とは別の角度からの質問も新たに設けました。その平均は男性5.41・女性5.68で、生活満足度(男性5.68・女性5.91)よりやや低い水準です。

一方で、「自分の人生が様々な人々に支えられていると感じる」は男性5.88・女性6.27と、生活満足度を上回りました。お金の数字には表れない「支えられている実感」が、人の充実感を底から支えている——調査はそう示しています。


第8章:年収偏差値は「幸福度」ではなく「お金の位置」を測る道具

ここまでを踏まえると、年収偏差値という指標の意味も、より正確に捉えられます。

年収偏差値が測るのは、あくまで「お金の面で、自分が全体のどこにいるか」です。それは人生の大事な一面ですが、幸福度そのものではありません。年収偏差値が高くても満足度が高いとは限らず、逆もまた然りです。

指標測っているもの
年収偏差値お金の面での相対的な位置
生活満足度(Well-being)暮らし全体への主観的な満足

だからこそ、年収偏差値は「自分を評価する点数」ではなく、「現在地を知る地図」として使うのが健全です。お金の位置を客観的に把握したうえで、お金以外の要素にも目を向ける——その出発点として役立ちます。

各属性を組み合わせた満足度スコアの相対化(偏差値化)の方法は、別途講座・書籍にて解説予定です。


第9章:まずは「お金の位置」を、正確に知ることから

幸福度は、お金だけでは決まりません。けれども、自分のお金の位置を正確に知らないまま、漠然と「足りない」と不安を抱えるのは、もったいないことです。

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年収と地域・人口の関係を掘り下げた 人口動態で読み解く東京の年収偏差値 や、偏差値の考え方を解説した 年収偏差値とは(用語解説) もあわせてどうぞ。


第10章:よくある質問

Q. 年収が高い人ほど幸せ、というのは本当ですか?
部分的には本当ですが、単純ではありません。内閣府「満足度・生活の質に関する調査2025」では、世帯年収が高いほど生活満足度も高い傾向が確認されています。一方で、最も稼ぐ40〜64歳の生活満足度は5.50と全世代で最低、満足度が低い分野は「雇用環境と賃金」(4.92)「家計と資産」(4.96)でした。お金は満足度を押し上げますが、満足度を決めるのはお金だけではありません。
Q. 生活満足度が最も低い年代はどこですか?
内閣府2025年調査では、40〜64歳の生活満足度が5.50で全世代のなかで最も低く、65歳以上は6.51で最も高くなりました(39歳以下は5.78)。賃金がピークを迎える働き盛りの世代が、満足度では最も低いという「ねじれ」が見られます。仕事・子育て・介護の負担が重なる時期であることが背景と考えられます。
Q. 賃上げが続けば生活満足度は上がりますか?
短期的には必ずしも上がっていません。内閣府の総合生活満足度は2019年の5.78から2025年の5.79まで、5.7〜5.9の範囲でほぼ横ばいで推移しています。名目賃金の上昇を背景に「雇用環境と賃金」分野の満足度は改善しましたが、総合的な生活満足度は大きくは動いていません。
Q. 年収偏差値と幸福度は比例しますか?
比例しきれません。たとえば正社員と非正規社員では、賃金に約1.48倍(年収換算で約140万円)の差がありますが、生活満足度の差は5.76対5.53とわずか0.23点です。お金の格差ほど満足度の格差は大きくありません。年収偏差値は「お金の位置」を測る指標であり、幸福度そのものとは別物として捉えるのが適切です。

第11章:数字を、自分の現在地を知る手がかりに

年収と幸福度のあいだには、いくつもの“ねじれ”がありました。最も稼ぐ世代がいちばん不満で、満足度の弱点はお金まわり、賃上げが続いても総合満足度は横ばい、賃金が1.48倍違っても満足度は0.23点差——。それでも、年収が高いほど満足度が高い傾向もまた、確かに存在します。

総合生活満足度:5.79(2025年、2019年比ほぼ横ばい)
年代別:40〜64歳5.50(最低)/65歳以上6.51(最高)
分野別:雇用・賃金4.92・家計4.96(下位)
正規 vs 非正規:賃金1.48倍差・満足度0.23点差

お金は幸福度の大事な一部であって、全部ではありません。だからこそ、年収偏差値は「自分を採点する点数」ではなく、お金の現在地を知る地図として使うのがちょうどよい距離感です。地図を手にしたうえで、お金以外の豊かさにも目を向ける——その出発点に、この数字を役立ててください。

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編集部より
DataLabo 編集部
年収偏差値ラボ(DataLabo)編集部は、内閣府・厚生労働省などの公的統計のみを一次出典として、年収・資産・退職金の偏差値を解説しています。本記事は内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書2025」(2025年9月公表)と厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」(2026年3月公表)に基づき、推測値を用いず出典を明記する方針で執筆しています。生活満足度は0〜10点の主観評価で、属性区分の平均値です。世帯年収別の満足度は同報告書の図表に基づく傾向の記述です。

記事出典・参考データ: - 内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書2025 ~我が国のWell-beingの動向~」(2025年9月公表) - URL: https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/manzoku/index.html - 厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」結果の概況(2026年3月24日公表) - URL: https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/ - 関連記事:人口動態で読み解く東京の年収偏差値 / 用語解説:年収偏差値とは

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