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刈込平均(トリム平均)とは|外れ値を除いた "実態に近い" 平均値の使い方【令和7年データ】
公開日 2026.05.24
更新日 2026.05.24
監修|DataLabo 編集部
データソース|厚労省 令和7年 賃金構造基本統計調査
刈込平均(トリム平均)とは、データを並べたとき上下 N% の値を除外し、残ったデータの算術平均を取る統計手法です。外れ値(極端な値)の影響を受けにくく、平均値より実態に近い代表値として使われます。年収(男女計)では、平均 516 万円・刈込 5/5 約 478 万円・中央値 449 万円 という位置関係になります。
図 1|5 人例で見る、算術平均 ・ 刈込平均(上下 1 人除外) ・ 中央値
MEAN vs TRIMMED MEAN vs MEDIAN / E さん 2,000 万円が平均を歪めるケース
算術平均 = (200 + 300 + 400 + 500 + 2,000) ÷ 5 = 680 万円(外れ値の影響大)
刈込平均 20%/20%(上下 1 人除外)= (300 + 400 + 500) ÷ 3 = 400 万円
中央値 = 真ん中の C さん = 400 万円
A さん(最低)と E さん(最高)を 1 人ずつ除外すると、刈込平均は 400 万円で中央値と一致。E さんの 2,000 万円が算術平均を +280 万円引き上げていた効果が消える。
SOURCE:仮想サンプル(5 人)/ 実際の年収分布も同様の対数正規+パレート裾型
平均値 ・ 中央値 ・ 刈込平均 の使い分け
3 つの「真ん中の指標」は、それぞれ役割が異なります。次の図と表で位置関係を確認します。
図 2|対数正規分布における 3 指標の位置(年収・男女計)
3 BASELINES ON LOG-NORMAL / 中央値 449 ← 刈込 478 ← 平均 516(万円)
中央値 449 < 刈込 478 < 平均 516。トリム比率を 0 → 50% に上げると、刈込平均は平均値(516)から中央値(449)へ滑らかに移動する。刈込は「平均 vs 中央」の中間オプション。
SOURCE:厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」より対数正規分布近似(MEAN_TO_MEDIAN=0.87、σ_log=0.45)で算出
3 指標の性質比較表
| 項目 | 算術平均 | 刈込平均 | 中央値 |
| 計算方法 | 合計 ÷ 人数 | 上下 N% を除いた残りの平均 | 並べた真ん中の値 |
| 外れ値の影響 | 大きく受ける | N が大きいほど抑制 | 完全に除く |
| 年収(男女計) | 516 万 | 478 万(5/5) | 449 万 |
| 使われる場面 | 合計や規模感 | "実態的な中心" の表現 | 個人の位置・標準像 |
| パラメータ | なし | トリム比率 N | なし |
年収のトリム比率別 刈込平均(早見表)
令和7年 賃金構造基本統計調査の男女計をベースに、対数正規分布近似(σ_log=0.45)でトリム比率別の刈込平均を試算した結果が次の表です。N が大きくなるほど中央値に近づきます。
| トリム比率(上 / 下) |
刈込平均(万円) |
平均との差 |
位置づけ |
| 0% / 0%(純粋平均) | 516 | ±0 | 原系列の算術平均 |
| 2.5% / 2.5% | 484 | −32 | 軽い外れ値除去 |
| 5% / 5%(推奨デフォルト) | 478 | −38 | 標準的な刈込 |
| 10% / 10% | 469 | −47 | 強めの外れ値除去 |
| 20% / 20% | 458 | −58 | 中央値に近い |
| 50% / 50%(理論上) | 449 | −67 | 中央値と一致 |
トリム比率を 0% から 50% に上げると、刈込平均は 516 万円から 449 万円(中央値)へ滑らかに移動します。「どの程度の外れ値を除くか」は分析目的によって決めます。経済統計(消費者物価指数の刈込平均など)では 10%/10%、世論調査・所得分析では 5%/5% が一般的です。
なぜ刈込平均が必要なのか(外れ値の正体)
年収分布は対数正規+パレート裾型のため、上位 1% に集中する外れ値が算術平均を大きく押し上げます。日本の年収における主な「外れ値」は次のとおりです。
上位側の外れ値(平均を押し上げる)
- 役員報酬:上場企業の代表取締役は数千万〜数億円。一般従業員平均と桁が違う
- 専門職の高報酬:医師・弁護士・パイロット・外資系金融・IT 上級職などで 1,500 万円以上
- 個人事業主・経営者:年間 1 億円超の自営業者も少数存在
下位側の外れ値(平均を押し下げる)
- 短時間パート:年間 100 万円以下の世帯補助収入
- 有期契約・季節雇用:年間 200 万円未満
- 新入社員(4 月入社で年内のみ):在籍月数が少ない
「上位 5% に役員、下位 5% にパート」がいる場合、その両端を除いた中間 90% の "本業フルタイム正社員" の実態に近い代表値が刈込平均です。中央値が「真ん中の人」を示す一方、刈込平均は「外れ値を除いた集団の重心」を示します。
① データ整列:N 個のデータを小さい順に並べる
x₁ ≦ x₂ ≦ ... ≦ x_N
② トリム範囲:上下 p% ずつ除外
k = floor(N × p / 100)
残るのは x_{k+1} 〜 x_{N-k}
③ 刈込平均:残った値の算術平均
trimmed_mean = (x_{k+1} + ... + x_{N-k}) / (N - 2k)
当サイトでの実装(対数正規モデル)
当サイト「03 刈込版」では、賃構調の公表平均値から対数正規分布を仮定し、サンプリングしてトリム後の算術平均を求めています。
① 中央値 = 公表平均 × MEAN_TO_MEDIAN(= 0.87)
② n=2,000 点 を log-normal(median, σ_log=0.45) から分位点サンプリング
③ 上下 p%(デフォルト 5%)を除外
④ 残った n×(1−0.02p) 点の算術平均 → 刈込平均
刈込版の年収偏差値とは
当サイトの「03 刈込版」は、刈込平均を偏差値 50 として算出する年収偏差値ツールです。トリム比率をスライダーで 0%〜20% まで調整でき、外れ値の影響を取り除いた "実態に近い" 偏差値を出します。
| 偏差値 |
平均値版(516 基準) |
刈込版 5/5(478 基準) |
中央値版(449 基準) |
| 40 | 325 万 | 301 万 | 265 万 |
| 50 | 516 万 | 478 万 | 449 万 |
| 60 | 707 万 | 695 万 | 762 万 |
| 70 | 898 万 | 1,011 万 | 1,293 万 |
| 80 | 1,090 万 | 1,471 万 | 2,193 万 |
刈込版は平均値版と中央値版の中間挙動です。偏差値 50〜60 はやや低め(実感に近く)、偏差値 70 以上は中央値版に近い形で要求年収が増えるのが特徴です。
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よくある質問
刈込平均(トリム平均)とは何ですか?
刈込平均(トリム平均、英: Trimmed Mean)とは、データを並べたとき上下 N% の値を除外し、残ったデータの算術平均を取る統計手法です。外れ値(極端な値)の影響を受けにくく、平均値より実態に近い代表値として使われます。N=0 では純粋な平均、N が大きくなると中央値に近づきます。
刈込平均と平均値・中央値の違いは?
平均値は全データの算術平均(外れ値の影響を強く受ける)、中央値は真ん中の値(外れ値の影響を完全に除く)、刈込平均はその中間で「上下 N% を除いた残りの平均」です。年収(男女計)では、平均 516 万・刈込 5/5 約 478 万・中央値 449 万 という関係になります。
5 人の年収例で刈込平均を計算するとどうなりますか?
5 人の年収が 200・300・400・500・2,000 万円の場合、算術平均は (200+300+400+500+2,000)÷5 = 680 万円。上下 1 人ずつ除外(トリム 20%/20%)すると残りは 300・400・500 で、刈込平均 = (300+400+500)÷3 = 400 万円。中央値も同じ 400 万円。2,000 万円の外れ値が平均を 280 万押し上げていた構図が刈込で消えます。
年収の刈込平均はいくらですか?
令和7年 賃金構造基本統計調査の男女計をベースに、対数正規分布近似(σ_log ≒ 0.45)で刈込平均を試算すると、トリム 5%/5% で約 478 万円、トリム 10%/10% で約 469 万円、トリム 2.5%/2.5% で約 484 万円。原系列の平均 516 万円・中央値 449 万円のちょうど中間に位置します。
なぜ刈込平均が必要なのですか?
年収分布は対数正規+パレート裾型のため、一部の役員報酬・経営者報酬・パート補助収入などの極端な値が平均を歪めます。「上位 5% に億単位の経営者、下位 5% に短時間パート」がいる場合、その両端を除いた中間 90% の "本業フルタイム正社員" の実態に近い代表値が刈込平均です。中央値が「真ん中の人」を示す一方、刈込平均は「外れ値を除いた集団の重心」を示します。
刈込版の年収偏差値とは?
当サイトの「
03 刈込版」は、刈込平均を偏差値 50 として算出する年収偏差値ツールです。トリム比率をスライダーで 0%〜20% まで調整でき、外れ値の影響を取り除いた "実態に近い" 偏差値を出します。たとえばトリム 5%/5% の場合、偏差値 50 ≒ 478 万円、偏差値 60 ≒ 約 695 万円となります。
刈込平均はどの統計でも使えますか?
刈込平均は、所得・資産・身長・気温など、外れ値の影響を受けやすい連続データに広く適用できます。経済統計(オリンピックの審査員スコア・物価指数の刈込平均など)でも標準的に使われます。データ件数が少ない場合や両端の値に意味がある場合(最高値が知りたい等)は不向きです。
信頼できるデータソースは何ですか?
本記事で扱う年収データは厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和 7 年版(2026 年 3 月 24 日公表)の公表平均値および対数正規分布近似による推定値です。刈込平均の数値は
σ_log = 0.45・MEAN_TO_MEDIAN = 0.87 のパラメータで対数正規分布サンプリングを行い、上下トリム後の算術平均を算出した試算値です。当サイト「
03 刈込版」のツールで同じロジックを動的に計算できます。
データソース / 編集部
DataLabo 編集部について
DataLabo(データラボ)は、日本の公的統計を最速で反映することを編集方針とするデータジャーナリズム媒体です。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」「就労条件総合調査」、家計の金融行動に関する世論調査(J-FLEC)など、行政・準行政の一次データを直接読み解き、診断ツール・解説記事として公開しています。
本記事は令和7年 賃金構造基本統計調査(2026 年 3 月 24 日公表)の公表平均値を一次資料に、当サイト「03 刈込版」と同一のパラメータ(σ_log=0.45、MEAN_TO_MEDIAN=0.87)で対数正規分布近似の刈込平均を試算しました。
所在地: 大阪府大阪市淀川区宮原 1 丁目 17 番 33 号 北沢産業ビル 3 階 HiveSpace 新大阪 312 号室 / お問い合わせ: info@nenshuu.com
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