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正規分布(ベルカーブ)とは|標準偏差・68-95-99.7の法則と偏差値の関係をわかりやすく解説
公開日 2026.08.21
更新日 2026.08.21
監修|DataLabo 編集部
データソース|厚労省 令和7年 賃金構造基本統計調査
正規分布(ベルカーブ)とは、平均値を中心に左右対称の釣鐘(ベル)型に広がる確率分布です。データの散らばりは標準偏差(σ)で表され、平均±1σに約 68.3%、±2σに約 95.4%、±3σに約 99.7% のデータが収まります(68-95-99.7の法則)。偏差値は、この正規分布を「平均=50・標準偏差1つ分=10」に置き換えた指標です。
図 1|正規分布のベルカーブと 68-95-99.7 の法則(偏差値との対応)
STANDARD NORMAL DISTRIBUTION / 平均を偏差値50・標準偏差1つ分を10として表示
偏差値40〜60(±1σ)に全体の約 68.3%、30〜70(±2σ)に約 95.4%、20〜80(±3σ)に約 99.7% が含まれる。偏差値70以上・30以下は、正規分布上ではそれぞれ全体の 2.3%程度しかいない計算になる。
SOURCE:標準正規分布の理論値(68.27% / 95.45% / 99.73%)。偏差値=50+z値×10 の定義に基づく
偏差値は正規分布からどう計算されるか
偏差値は、正規分布を「わかりやすい共通ものさし」に変換した指標です。計算は 2 ステップです。
z値 = (個々の値 − 平均) ÷ 標準偏差(σ)
偏差値 = 50 + z値 × 10
平均と同じ値なら z=0 で偏差値 50。平均より標準偏差 1 つ分(1σ)高ければ z=1 で偏差値 60、2σ高ければ偏差値 70 になります。偏差値とパーセンタイル(下から数えて何%目か)・上位%(自分より上に何%いるか)の対応は次の通りです。
図 2|偏差値 20〜80 の パーセンタイル(下から数えた位置)
DEVIATION SCORE TO PERCENTILE / 正規分布の理論値
「パーセンタイル」は下から数えた位置、「上位%」はその補数(100 − パーセンタイル)。偏差値60はパーセンタイル84.13%=上位15.87%、偏差値70はパーセンタイル97.72%=上位2.28%。算出根拠(同じz値・同じ正規分布近似)は共通。
SOURCE:標準正規分布の累積分布関数(normalCdf)による理論値
正規分布と対数正規分布の違い
正規分布は左右対称のベル型ですが、対数正規分布は値の対数(ln)をとると正規分布になる分布で、実際の値は右側(高い方向)に長い裾を引く非対称な形になります。所得・資産のように「0円未満はあり得ず、一部に極端に高い値がある」データによく当てはまります。
図 3|正規分布 vs 対数正規分布(形状の違い)
SYMMETRIC vs RIGHT-SKEWED / 最頻値・中央値・平均値の位置関係
正規分布(左右対称)
対数正規分布(右に裾)
正規分布は平均=中央値=最頻値が一致する左右対称の分布。対数正規分布(年収・資産に近い)は右に裾を引くため最頻値<中央値<平均値の順になる。「平均年収の人が真ん中」という直感は、後者では成り立たない。
SOURCE:分布形状の概念図。実際の年収データでは中央値 約430万円 / 平均値 約494万円(令和7年 賃金構造基本統計調査)
正規分布 vs 対数正規分布:性質の違い
| 項目 | 正規分布 | 対数正規分布 |
| 形状 | 左右対称のベル型 | 右に長い裾を持つ非対称 |
| 平均・中央値・最頻値 | すべて一致 | 最頻値<中央値<平均値 |
| 取り得る値 | 負の値も可 | 0以上(負の値なし) |
| 典型的なデータ | 身長・測定誤差など | 所得・資産・退職金など |
| 当サイトでの使用 | 平均値版・雇用形態版 | 中央値版・刈込版・手取り版・資産版・退職金版 |
対数正規分布は、所得・資産以外にも身の回りの様々な場面に現れます。共通するのは「①負の値を取らない、②大部分は小さめの値に集まり、③ごく一部が極端に大きくなる」という性質です。
- お金・経済:会社の売上高・時価総額、保険金の請求額、不動産価格・家賃
- 時間:病気の潜伏期間、機械部品の故障までの時間、Webサイトのセッション時間
- 自然現象:粒子・粉体のサイズ分布、降雨量・洪水の規模、株価そのもの(対数収益率が正規分布に従うと仮定するブラック・ショールズモデルの前提)
年収偏差値ラボチェッカーでの使われ方
当サイトは、8 つの診断ツールそれぞれで、データの性質に応じて正規分布・対数正規分布を使い分けています。
| ツール |
分布モデル |
パラメータ |
備考 |
| 01 平均値版 | 正規分布 | CV=0.37 | 年収そのものを正規分布として扱う標準モデル |
| 02 中央値版 | 対数正規分布 | σ_log=0.45 | ln(年収) が正規分布に従うと仮定 |
| 03 刈込版 | 対数正規分布 | σ_log=0.45 | 上下5%を除いた実態値をベースに同じ変換 |
| 04 手取り版 | 対数正規分布 | σ_log=0.45 | 税引後の手取り額に同じ変換を適用 |
| 05 資産版 | 対数正規分布+ゼロ世帯混合 | σ_log 1.4〜2.0 | J-FLEC実データ、金融資産ゼロ世帯を別枠計上 |
| 06 雇用形態版 | 正規分布 | CV 0.35/0.28 | 正社員・非正規を別々の正規分布で計算 |
| 07 退職金版 | 対数正規分布 | σ_log=0.55 | 制度なし企業 約25% を0円として混合 |
| 08 上場社員版 | 対数正規分布 | σ_log≒0.56 | EDINET開示データベース |
どのツールも「偏差値=50+z値×10」という共通の変換式を使っているため、平均値版でも中央値版でも、算出される偏差値の意味(平均±標準偏差の何個分か)は同じです。異なるのは、z値を求める前段階で「年収そのもの」を使うか「年収の対数(ln)」を使うかという点です。
自分の年収偏差値を計算する
年収・性別・年齢・属性を入力すると、正規分布(平均値版)または対数正規分布(中央値版)に基づく偏差値を即座に算出します。登録不要。
年収偏差値を計算する→
注意:年収そのものは正規分布ではない
ここまで見てきた「正規分布(ベルカーブ)」は、あくまで統計学上の基本形です。実際の年収データは、図 3 で示した通り右に長い裾を引く非対称分布であり、単純な正規分布ではありません。
そのため、「平均年収の人=ちょうど真ん中(偏差値50・100人中50位)」という直感は成り立ちません。令和7年 賃金構造基本統計調査では、年収平均値(男女計 約494万円)と中央値(約430万円)の間に約64万円の差があり、平均年収を稼ぐ人はむしろ「真ん中よりやや上」の位置にいます。この点を詳しく掘り下げた記事を用意していますので、あわせてご覧ください。
正規分布・対数正規分布の考え方を理解したら、実際の診断ツールでご自身の偏差値を計算できます。すべて登録不要です。
よくある質問
正規分布(ベルカーブ)とは何ですか?
正規分布とは、平均値を中心に左右対称の釣鐘(ベル)型に広がる確率分布です。データの多くが平均の近くに集まり、平均から離れるほど少なくなります。英語の Normal Distribution から「ベルカーブ」、発見に貢献した数学者ガウスの名から「ガウス分布」とも呼ばれます。
68-95-99.7の法則とは何ですか?
正規分布において、平均±1標準偏差(σ)の範囲に全体の約 68.3%、±2σに約 95.4%、±3σに約 99.7% のデータが収まるという経験則です。偏差値に置き換えると、偏差値40〜60の範囲に約68.3%、30〜70に約95.4%、20〜80に約99.7%の人が含まれます。
標準偏差とは何ですか?
標準偏差(σ、シグマ)とは、データが平均からどれだけ散らばっているかを表す指標です。標準偏差が小さいほどデータは平均付近に密集し、大きいほど広く散らばります。偏差値では「標準偏差1つ分の差」を10ポイントとして表現します。
偏差値はどうやって正規分布から計算されますか?
まずデータを標準化した値(z値)=(個々の値-平均)÷標準偏差を求めます。偏差値=50+z値×10という式で変換します。平均と同じ値なら z=0 で偏差値50、平均より標準偏差1つ分高ければ z=1 で偏差値60になります。
正規分布と対数正規分布の違いは?
正規分布は左右対称のベル型ですが、対数正規分布は値の対数(ln)をとると正規分布になる分布で、実際の値は右側(高い方向)に長い裾を引く非対称な形になります。所得・資産のように「0円未満はあり得ず、一部に極端に高い値がある」データによく当てはまります。
年収は正規分布に従いますか?
従いません。年収は右側に長い裾を引く非対称分布(対数正規分布に近い)です。「平均年収の人がちょうど真ん中(偏差値50・100人中50位)」という前提は成り立たず、これを単純化しすぎると誤解が生じます。詳しくは別記事「
年収偏差値が『おかしい』のはなぜ?」で解説しています。
年収偏差値ラボチェッカーは正規分布と対数正規分布のどちらを使っていますか?
ツールによって使い分けています。
平均値版は変動係数(CV)=0.37の正規分布、
中央値版・
刈込版・
手取り版は対数正規分布(σ_log=0.45)、
資産版はJ-FLECデータに基づく対数正規分布+ゼロ資産世帯の混合モデル、
退職金版は対数正規分布(σ_log=0.55)で計算しています。分布モデルやσ・CVといった計算パラメータまで公開している年収診断サービスは珍しく、当サイトはこうした透明性を大切にしています。
偏差値60・70は上位何%くらいですか?
正規分布の理論値では、偏差値60は上位約15.9%、偏差値70は上位約2.3%、偏差値80は上位約0.1%です。ただし実際の年収分布は正規分布そのものではないため、当サイトでは対数正規分布に基づく実測に近い値を各ツールで別途算出しています。
データソース / 編集部
DataLabo 編集部について
DataLabo(データラボ)は、日本の公的統計を最速で反映することを編集方針とするデータジャーナリズム媒体です。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」「就労条件総合調査」、家計の金融行動に関する世論調査(J-FLEC)など、行政・準行政の一次データを直接読み解き、診断ツール・解説記事として公開しています。
本記事は統計学上の基礎概念である正規分布・標準偏差・68-95-99.7の法則を解説し、当サイトの偏差値計算ロジックとの関係を、厚生労働省 令和7年 賃金構造基本統計調査(2026 年 3 月 24 日公表)の実例を用いて紹介しています。
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