BLOG ARTICLE / 学歴別年収

【令和7年最新】学歴別 年収の現実
— 大卒・高卒で月額22万円差、なぜ「大学別ランキング」は公的統計に存在しないのか

公開日: 2026-05-04 更新日: 2026-05-26 所要: 約 18 分

「東大卒の平均年収」「早慶 vs MARCH」「大学別 生涯年収ランキング」——ネットでこういう特集を見て、自分の母校の順位を確かめた経験はないでしょうか。しかし、その数字の出典をたどっていくと、ほとんどが企業の独自アンケートや転職サイトの登録者ベースのデータであり、国の公的統計にたどり着くことはほとんどありません。

なぜでしょうか。「大学別年収」は、官公庁の公的統計には存在しないからです。

存在するのは「学歴別年収」、すなわち高卒・専門学校卒・高専短大卒・大学卒・大学院卒という大くくりの集計だけです。本記事では令和7年(2026年3月公表)の最新データを使って、学歴という「大きな器」が年収にどれだけ影響するのかを徹底的に解剖します。性別×学歴、年齢×学歴のクロス分析、大学進学の投資対効果、学歴プレミアムの推移まで——公的統計が「言えること」の全体像をお見せします。

第1章:同期の年収が気になるのは「学歴フィルタ」のせい

入社5年目の同期会で、ふと隣の席のキャリアの話になります。「あいつ、年収700万って言ってた」「私はまだ500万」——その差はどこから来るのでしょうか。

理由を一つに絞ることはできませんが、学歴・業種・企業規模・年代・性別・地域の6つの属性が重なって決まることは、賃金統計の世界ではよく知られています。中でも入社時点で固定されるのが学歴であり、その後のキャリアパス(業種・企業規模)にも強く影響するため、実は「学歴」が年収の出発点を最も大きく決めていると言えます。

それでも世の中で「東大卒の平均年収は○○万円」というランキング記事が読まれ続けるのは、人間が「自分のラベル」と「他人のラベル」を比較したくなる生き物だからでしょう。しかし、ここで一度立ち止まって考えてみてください。そのランキングの数字、本当に信じていいのでしょうか。

第2章:「大学別年収ランキング」はなぜ公的統計に存在しないのか

ネット上の「大学別年収ランキング」のほとんどは、次のいずれかをソースにしています。

  1. 転職サイト(doda、リクナビ等)の登録者の自己申告データ
  2. 就職四季報・大学通信などの民間調査
  3. 企業の有価証券報告書(一部上場企業の従業員平均給与)から OB の在籍企業を逆算したもの

このどれもが「特定の母集団に偏ったサンプル」であり、「全大学の卒業生全員」を代表する数字ではありません。転職サイトの登録者は転職意欲が高く現年収が比較的高い層に偏りますし、有価証券報告書の数字は各社の従業員全員(OB だけではない)の平均です。

国の公的統計、すなわち厚生労働省が毎年公表する「賃金構造基本統計調査」は、全国約 5 万事業所・約 160 万人の労働者を対象とした大規模調査ですが、調査票には「最終学歴」は聞いても「出身大学名」は聞きません。これは個人情報保護とサンプル設計上の理由によります。特定大学の卒業生を絞ると一気にサンプルサイズが小さくなり、統計的な信頼性が確保できなくなるためです。

つまり、国が公式に「言える」のは「学歴別」までで、「大学別」は最初から統計の適用範囲外ということになります。これは欠陥ではなく、サンプルベースの公的統計が「言えること」と「言えないこと」を厳密に切り分けている結果です。

FACT-CARD 1 — 公的統計の適用範囲
賃金構造基本統計調査で「言える」のは学歴別まで。大学別は適用範囲外。
全国約 5 万事業所・約 160 万人を対象とした日本最大の賃金調査ですが、調査票に「出身大学名」の項目は存在しません。サンプルの分割が細かくなりすぎると統計的信頼性が確保できないため、学歴は「高校」「専門学校」「高専・短大」「大学」「大学院」の 5 区分で集計されています。ネットのランキングを娯楽として楽しむのは構いませんが、自分のキャリアを真剣に考えるときに参照すべきは公的統計です。
出典:厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」調査の概要

第3章:令和7年データが示す、学歴別年収の現実

それでは、公的統計が「言える」ことを見ていきましょう。

厚生労働省『令和7年 賃金構造基本統計調査』第3表(学歴・年齢階級・性別)の年齢計データから、月額の所定内給与を抜粋します(千円、男女計)。

学歴月額(男女計)月額(男)月額(女)
高校297.2321.7245.0
専門学校313.7338.3287.5
高専・短大321.2375.3294.4
大学396.3429.6327.4
大学院517.4534.8438.2
出典: 厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」結果の概況 第3表(2026年3月24日公表)。所定内給与額(時間外・休日手当・賞与を除く月額、千円)。

ここから見えてくる事実は3つあります。

事実(1) 大学院卒と高校卒、月額22万円差

517.4 − 297.2 = 220.2 千円。これに賞与込み年収換算(×約15.16)をかけると、年間で約 319 万円の差になります。仮にこの差が 40 年間続いたとすれば累計で 約 1.28 億円——これが「学歴差」の大きさです。

事実(2) 大卒男性と高卒女性、月額18.5万円差

429.6 − 245.0 = 184.6 千円。年収換算で約 268 万円差です。学歴と性別の交差点で生じる格差は、学歴単独の格差より大きく見えることに注意が必要です。

事実(3) 大卒は「平均値」上で全国平均(340.6 千円)より上

全雇用者の月額平均 340.6 千円に対し、大卒 396.3 千円は +55.7 千円(約 +16%)。一方、高卒 297.2 千円は −43.4 千円(約 −13%)。大卒という属性は、年収を全国平均から押し上げる方向に働きます。

図 1:学歴別 月額所定内給与(男女計、千円)— 令和7年 賃金構造基本統計調査 第3表
大学院
517.4
年収 750万
大学
396.3
年収 574万
高専・短大
321.2
年収 466万
専門学校
313.7
年収 455万
高校
297.2
年収 431万
全国平均
340.6千円
年収換算: 月額 x 約15.16(男女計の M2A 換算係数)|出典: 賃構調 R7 第3表

ただし、これらはすべて年齢計(20代〜60代をまとめた平均)であることに注意してください。実際にはあなたの「年代」「業種」「都道府県」と組み合わせて初めて、本当の相対位置が分かります。

第4章:性別×学歴 — 「同じ学歴でも男女で月額10万円差」の現実

学歴別の数字をそのまま受け取る前に、確認しておくべきことがあります。同じ学歴でも、男女で大きく数字が違うという事実です。

学歴男(千円)女(千円)男女差女/男 比率
高校321.7245.0+76.776.2%
専門学校338.3287.5+50.885.0%
高専・短大375.3294.4+80.978.4%
大学429.6327.4+102.276.2%
大学院534.8438.2+96.681.9%

大卒の男女差は月額 102.2 千円——年収換算で約 148 万円に相当します。これは「大学院卒と大卒の男女計の差(121.1 千円)」にほぼ匹敵するスケールです。つまり、学歴を上げる効果と、性別による差は、ほぼ同じスケールで効いていることになります(令和7年男女間賃金格差は 76.6、付表1)。

注目すべきクロスポイント

データをよく見ると、興味深い交差が発生しています。

FACT-CARD 2 — 性別×学歴のクロスポイント
大卒女性 327.4千円 ≒ 高卒男性 321.7千円(差わずか 5.7千円)
4年制大学を卒業した女性と高校卒業後に就職した男性の月額がほぼ同じ水準です。学歴で「1段上」に進んでも、性別の格差がその効果を相殺してしまう構造が見えます。一方、大学院卒女性 438.2千円は大卒男性 429.6千円をわずかに上回り、大学院進学は女性にとって「男女差を逆転させる最後の手段」とも言える位置づけです。
出典:厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」第3表

ここで重要なのは、この男女差の原因を「差別」に直結させることが必ずしも正確ではないという点です。賃構調のデータには、勤続年数・職種構成・管理職比率・労働時間の違いがすべて反映されています。公的統計は「差がある」という事実を示しますが、「なぜ差があるか」の因果は別の分析が必要です。

第5章:年齢×学歴 — 格差はいつ最大になるのか

学歴別の格差は、全年齢を平均した「年齢計」で見ると 大学院卒/高卒 = 1.74 倍ですが、この倍率は年齢とともに大きく変動します。格差が最大になるのはいつなのか——これは自分の将来の年収カーブを想像するうえで、極めて重要な問いです。

男性の年齢×学歴カーブ

令和7年 賃金構造基本統計調査 第3表から、男性の年齢階級別・学歴別月額(千円)を抜粋します。

年齢階級高校高専・短大大学大学院大学院/高校 倍率
20-24歳222.5235.8254.4270.61.22
25-29歳260.4285.7302.3343.81.32
30-34歳293.5330.2361.6424.21.45
35-39歳315.6373.9412.0504.61.60
40-44歳335.5410.2460.0573.51.71
45-49歳347.4431.8503.8629.41.81
50-54歳351.8445.7535.4678.21.93
55-59歳349.2439.5525.6660.81.89
出典: 厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」第3表(学歴・年齢階級・性別、男性)。所定内給与額(千円)。なお、上記の大学院/高校倍率は筆者算出。
図 2:男性の年齢×学歴 月額カーブ(50代前半で格差最大 1.93倍)
20-24歳(格差 1.22倍)
高校
大学
大学院
35-39歳(格差 1.60倍)
高校
大学
大学院
50-54歳(格差最大 1.93倍)
高校
351.8
大学
535.4
大学院
678.2
差額: 678.2 − 351.8 = 326.4千円/月(年収約474万円差)
出典: 賃構調 R7 第3表(男性)|バー幅は大学院50-54歳 678.2千円を100%基準

20代前半ではわずか 1.22 倍だった格差が、50代前半で 1.93 倍まで拡大しています。これは管理職への昇進確率の差、年功カーブの傾きの差が、30年かけて蓄積した結果です。

格差拡大のメカニズム

なぜ年齢とともに学歴間格差が拡大するのでしょうか。主な要因は3つ考えられます。

  1. 管理職昇進率の差:大卒以上は課長・部長への昇進パスに乗りやすく、管理職手当が月額を大きく押し上げます。令和7年データでは、部長級 635.8千円、課長級 526.4千円、係長級 399.1千円と、役職ごとに明確な段差があります。
  2. 職種構成の差:大学院卒は研究・開発・専門職に多く就き、これらの職種は年功カーブの傾斜がきつい傾向にあります。
  3. 勤続年数の効果:同じ企業に長く勤めるほど年功賃金の恩恵を受けますが、大企業に就職しやすい高学歴層ほど勤続年数が長くなる傾向があります。

55-59歳で倍率がわずかに縮小する(1.93→1.89)のは、高学歴層の一部が役職定年や管理職ポスト不足でカーブが鈍化するためと考えられます。60歳以降は再雇用制度の影響で全学歴とも大幅に低下し、格差の構造自体が変わります。

女性の場合はどうなるか

女性の年齢×学歴カーブには、男性とは異なる特徴があります。女性は 45-49 歳ごろにカーブがフラット化する傾向があり、格差拡大は男性ほど急激ではありません。これは出産・育児によるキャリア中断の影響や、管理職昇進率の違いが反映されています。

大卒だから安泰」「大学院に行けば必ず勝てる」というのは、平均の話としても完全には正しくありません——これが令和7年データの示す現実です。

第6章:30代・大卒・東京 — 属性を重ねると数字はこう動く

検索クエリで「30代平均年収 東京 大卒」を打ち込んだ方は、おそらく自分の年代・属性に近い数字が知りたいはずです。ここで属性を重ねてみましょう。

大卒(年齢計、男女計)

30代正社員(学歴ミックス、男女計、第6-1表)

東京都の地域係数(賃構調 第1-10表)

ここで注意したいのは、「30代×大卒×東京」を単純に掛け合わせるのは、独立仮定になるので推測の域を出ないという点です。年齢×学歴のクロス、地域×学歴のクロスは、公開されている表だけでは厳密には算出できません。

それでも方向感だけ言えば、「30代・大卒・東京・正社員」は全国平均(年収約 494 万円)より明確に上であり、年代・性別・業種・企業規模の組み合わせ次第で 600 万〜800 万円台 に乗る方も少なくない、というのが令和7年データから読める範囲です。「自分の正確な位置」は、属性を全部入れて初めて分かります

第7章:大学進学の投資対効果(ROI)— 1,440万円投じて5,700万円のリターン

ここまでのデータを見て、「大学に行くコスト」と「大学に行かなかった場合との年収差」を比較したくなる方は多いのではないでしょうか。いわゆる「教育の投資対効果(ROI)」の問題です。

投資コスト

大学進学に必要なコストは、大きく分けて2つあります。

合計すると、大学進学の総投資コストは約 1,440万円(私立の場合)と試算できます。

リターン

大卒と高卒の月額差は 396.3 − 297.2 = 99.1千円です。年収換算では約 150万円/年の差です。大卒が22歳から60歳まで38年間働くとすると、単純累積で 150万円 × 38年 = 約 5,700万円 のリターンとなります。

ROI の計算

投資対効果 = (リターン − コスト) ÷ コスト = (5,700 − 1,440) ÷ 1,440 = 約 296%

FACT-CARD 3 — 大学進学の ROI 試算
投資 1,440万円 → リターン 5,700万円 → ROI 約 296%
直接コスト(私大4年学費)約 500万円 + 逸失賃金 約 940万円 = 総投資 1,440万円。大卒−高卒の月額差 99.1千円 × 年収換算 × 38年 = リターン 約 5,700万円。ただし、これは男女計の平均値であり、男性のみならROIは上昇し、女性のみならROIは低下します。また、学部・職種・業界によってリターンは大きく変動します。国公立なら学費が約半額のため、ROIはさらに高くなります。
試算根拠:賃構調 R7 第3表 + 文科省「私立大学等の入学者に係る学生納付金等調査」令和5年度

大学院進学の ROI

大学院進学の場合、追加の投資コスト(2年間の学費約 150万円 + 逸失賃金約 900万円 = 約 1,050万円)に対し、大学院卒−大卒の月額差 121.1千円を年収換算し36年間累積すると、リターンは約 6,600万円です。ROI は約 529% となり、大学院進学は投資効率の面では大学進学以上のリターンを見せます。

ただし、ここには重要な注意点があります。大学院の数値は「大学院卒で就職できた人」のデータであり、大学院卒の就職率や進路の多様性(博士課程のキャリア問題など)は反映されていません。「平均のROI」と「あなたのROI」は必ずしも一致しないことを忘れないでください。

第8章:高専・短大の位置づけ — 「第三の選択肢」の実力

学歴別年収の議論では「大卒 vs 高卒」の二項対立になりがちですが、見落としてはいけない存在があります。それが高専・短大卒です。

数字で見る高専・短大のポジション

数字だけ見ると「高卒寄り」のポジションです。しかし、ここには男女で極めて異なる構造が隠れています。

学歴男(千円)女(千円)男女差
高専・短大375.3294.4+80.9
(参考)大学429.6327.4+102.2
(参考)高校321.7245.0+76.7

男性の高専・短大卒 375.3千円 は、高卒男性 321.7千円より 53.6千円も高く、大卒女性(327.4千円)すら上回っています。これは工学系高専卒が製造業・IT 系で高い賃金を得ている影響と考えられます。一方、女性の高専・短大卒 294.4千円 は高卒女性 245.0千円より高いものの、専門学校女性 287.5千円と大差ありません。

「高専」と「短大」は同じ区分にまとめられていますが、実態はかなり異なります。工学系高専は 5年制の一貫教育で即戦力のエンジニアを輩出する機関であり、就職率はほぼ 100%、求人倍率も高水準です。高専という選択肢は、コストパフォーマンスの面で見直されるべき「第三の道」かもしれません。

第9章:学歴プレミアムの推移 — 格差は拡大しているのか、縮小しているのか

「学歴の価値は下がっている」「大卒が当たり前の時代、もう学歴プレミアムはない」——こうした議論を耳にすることは多いですが、公的統計はどう言っているのでしょうか。

大卒/高卒 倍率の推移

令和7年のデータでは、大卒/高卒の月額倍率(男女計)は以下のとおりです。

過去の賃金構造基本統計調査を遡ると、この倍率は長期的にはほぼ横ばいか微減傾向にあります。1990年代後半〜2000年代の倍率は 1.4 前後で推移しており、やや縮小してきた可能性はあります。しかし、「学歴プレミアムが消失した」と言えるほどの劇的な変化は、現時点では確認されていません

構造変化の兆し

一方で、今後の変化を示唆する要因もいくつかあります。

図 3:学歴プレミアムの構造 — 現在 vs 将来の変動要因
現在(令和7年)の学歴プレミアム
大卒/高卒
1.33倍
月額差 +99千円
院卒/高卒
1.74倍
月額差 +220千円
院卒/大卒
1.31倍
月額差 +121千円
今後の変動要因
縮小圧力
・大学進学率 57% 到達
・IT/DXスキル重視化
・リスキリング政策浸透
維持・拡大圧力
・管理職昇進の学歴フィルタ
・採用時の大学名スクリーニング
・院卒の専門職需要増
筆者作成|データ出典: 賃構調 R7 第3表

結論としては、学歴プレミアムは「消失」も「急拡大」もしていません。 緩やかに構造が変わりつつあるものの、今日時点で学歴別年収には明確な差が存在しており、特に 40代以降の管理職層で格差が顕在化する構造は変わっていません。

第10章:あなたの偏差値は「1属性」では決まらない — 診断ツールで属性を全部入れる

ここまで読んでいただいた方なら、もうお気づきでしょう。

学歴は年収の「出発点」を決めますが、最終的な相対位置を決めるのは属性の組合せです。同じ大卒でも、東京の金融業・大企業に勤めるのと、地方の小規模企業に勤めるのとでは、年収偏差値はまったく異なります。

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第11章:学歴は出発点 — 最終的な偏差値は「属性の重ね合わせ」で決まる

「大学別年収ランキング」は公的統計には存在しません。あるのは「学歴別」までです。そして、その学歴別データから言える事実は、大卒は確かに高卒より平均年収が高いが、それは年代・性別・業種・地域・企業規模との重ね合わせで初めて意味を持つということでした。

大学院卒と高校卒で月額 22 万円差。これは年収にして約 319 万円差、40 年勤務なら 1.28 億円差。
しかし、同じ大卒でも男女差は月額 102 千円あります。
50代前半で格差は最大 1.93 倍に拡大しますが、55歳以降は縮小し始めます。
大学進学の ROI は約 296% ですが、性別・学部・業界で大きく変動します。
学歴プレミアム自体は消失していませんが、IT/DX人材の台頭で構造変化の兆しがあります。

これらはすべて 令和7年 賃金構造基本統計調査 が示している事実です。あなたが今いる場所は、平均の上でしょうか、下でしょうか。診断ツールで属性を全部入れると、初めて自分にとっての答えが出ます。

数字を「ぼんやり気にする」段階から、「具体的な属性で正確に把握する」段階へ。それが次の一歩を踏み出すための、最も冷静で建設的な手がかりです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 大卒と高卒の年収差はどれくらいですか?

令和7年 賃金構造基本統計調査によると、大卒の月額所定内給与は 396.3千円、高卒は 297.2千円で、差額は月額 99.1千円です。年収換算(月額×約15.16)で約 150万円の差となり、40年勤続の単純累積では約 6,000万円の差になります。ただし、年齢・性別・業種・企業規模・地域との組み合わせによって実際の差は大きく変動します。

Q2. 大学院卒の年収は大卒よりどれくらい高いですか?

大学院卒の月額は 517.4千円、大卒は 396.3千円で、差額は月額 121.1千円です。年収換算で約 184万円差になります。大学院卒と高卒の差は月額 220.2千円(年収約 319万円差)で、40年累積で約 1.28億円に達します。ただし大学院の2年間の機会費用(逸失賃金+学費)約 1,050万円を考慮する必要があります。

Q3. 「大学別年収ランキング」はなぜ公的統計に存在しないのですか?

賃金構造基本統計調査は約 5万事業所・約 160万人を対象としますが、調査票で「最終学歴」は聞いても「出身大学名」は聞きません。特定大学の卒業生に絞るとサンプルサイズが小さくなり統計的信頼性が確保できないためです。ネット上の大学別ランキングの多くは転職サイトの自己申告データや有価証券報告書からの推計であり、母集団の代表性に課題があります

Q4. 学歴による賃金格差が最も大きくなるのは何歳ですか?

男性の場合、学歴間格差は50代前半で最大になります。50-54歳時点で大学院卒は 678.2千円、高卒は 351.8千円で、約 1.93倍の開きがあります。管理職昇進率の差と年功カーブの傾きの差が長年蓄積した結果です。女性の場合は 40代後半にカーブがフラット化するため、格差拡大は男性ほど急激ではありません。

Q5. 大学進学の投資対効果(ROI)はどれくらいですか?

大学進学の投資コスト(4年間の学費約 500万円+逸失賃金約 940万円)は約 1,440万円と試算されます。一方、大卒と高卒の月額差 99.1千円を年収換算し 38年間累積すると約 5,700万円のリターンとなり、ROI は約 296% です。国公立なら学費が半額のため、ROI はさらに高くなります。

Q6. 同じ学歴でも男女で年収差はありますか?

あります。大卒の場合、男性 429.6千円に対し女性 327.4千円で、月額差は 102.2千円(年収換算で約 148万円差)です。この男女差は「大学院卒と大卒の差(121.1千円)」にほぼ匹敵するスケールです。令和7年の男女間賃金格差指数は 76.6(女性を男性=100とした値)で、すべての学歴区分で男女差が確認されます。

Q7. 高専・短大卒の年収は高卒と大卒のどちら寄りですか?

高専・短大卒の月額は 321.2千円で、高卒 297.2千円との差は +24.0千円、大卒 396.3千円との差は −75.1千円です。つまり、全体としては高卒寄りのポジションです。ただし男性の高専・短大卒は 375.3千円と高く、工学系高専卒が平均を引き上げている可能性があります。

Q8. 学歴プレミアムは縮小傾向にありますか?

令和7年の大卒/高卒倍率は 1.333倍です。長期的にはほぼ横ばいか微減傾向にあり、学歴プレミアムが劇的に縮小している証拠は現時点では確認されません。ただし、IT・DX人材の需給逼迫やリスキリング政策の浸透が進めば、学歴よりスキルに基づく賃金決定が増える可能性はあります。