BLOG / 生涯年収偏差値

【2026年度版(令和7年度)】生涯年収偏差値で見る「企業規模」の壁 — 大企業 vs 中小で最大約2倍・1.8億円差

公開日 2026.06.03 更新日 2026.06.03 監修|DataLabo 編集部 データソース|厚労省 令和7年 賃構調 + 就労条件総合調査 令和5年

「同じ仕事をしているのに、大企業に入った同級生とは生涯でいくら差がつくのだろう」——転職や就職を考えるとき、誰もが一度は気になる問いではないでしょうか。年収を 1 年単位で比べると差は数十万円に見えても、それが 40 年積み上がる と、桁が変わります。

厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」(2026 年 3 月 24 日公表)と「就労条件総合調査 令和5年」から試算すると、生涯年収(給与・賞与・退職金の総額)は企業規模だけで大企業 約 2.4 億・小企業 約 1.7 億。同じ学歴・性別でも企業規模だけで約 1.4 倍、そこに学歴・性別が重なると 最大で約 2 倍・金額にして約 1.8 億円 もの差が生まれます。

本記事では、生涯年収偏差値という指標で、令和7年データから「企業規模」がどれだけ生涯年収を動かすのかを可視化します。学歴や性別と並んで、いやそれ以上に効いてくる「規模の壁」を、公的統計の数字で確かめていきましょう。

生涯年収偏差値とは — 1 年の年収偏差値との違い

生涯年収(生涯賃金)とは、ある人が職業人生で受け取る給与・賞与・退職金の合計額です。一般に 22 歳の就職から 64 歳の再雇用満了までの 43 年間で積算します。そして 生涯年収偏差値とは、その総額が日本の労働者全体の中でどの位置にあるかを偏差値(平均 50、標準偏差 10)で表した指標です。

年収偏差値が「1 年間のスナップショットでの位置」だとすれば、生涯年収偏差値は「人生全体の積分値での位置」です。今の年収偏差値が同じ 2 人でも、勤め先の企業規模が違えば、昇給カーブの傾きと退職金の厚みが変わり、生涯年収偏差値は大きく開きます。企業規模は「1 年の差」を「40 年の差」へと増幅させる係数なのです。

計算式は次の通りです。

// 生涯年収(生涯賃金)の計算式(一般形)
生涯年収 = Σ(年代別年収)退職金

// 年代別年収 = 月額所定内給与 × M2A(賞与込み係数)× 企業規模係数
    企業規模係数(賃金) 大 1.15 / 中 0.96 / 小 0.88
    企業規模係数(退職金)大 1.85 / 中 1.00 / 小 0.65

賃金(フロー)と退職金(ストック)の両方に企業規模の係数がかかる点が重要です。だからこそ、企業規模の差は生涯年収で二重に効いてきます。

令和7年データで試算 — 企業規模 3 区分の生涯年収

令和7年 賃金構造基本統計調査の正社員(男女計)月額所定内給与は、企業規模で次の通りはっきり分かれます。

企業規模 正社員 月額(男女計) 規模計との比
大企業(1,000人以上)414.1 千円1.15
中企業(100〜999人)344.4 千円0.96
小企業(10〜99人)315.0 千円0.88

この月額差に賞与込み係数(M2A)と年代別カーブを掛け、43 年間積算したうえで、就労条件総合調査の企業規模別退職金を加えると、生涯年収は次のようになります(正社員・男女計・60 歳定年 + 5 年再雇用の標準モデル)。

企業規模 給与・賞与(43 年) 退職金 生涯年収 合計 生涯年収偏差値
大企業(1,000人以上)約 2.1 億約 2,500 万約 2.4 億約 56
中企業(100〜999人)約 1.8 億約 1,500 万約 2.0 億50
小企業(10〜99人)約 1.6 億約 1,000 万約 1.7 億約 45
図 1|企業規模で変わる生涯年収(正社員・男女計モデル)
LIFETIME INCOME BY FIRM SIZE / 給与・賞与 + 退職金
給与・賞与(22-64 歳、再雇用込み) 退職金
大企業
1,000人以上
約 2.4 億
中企業
100〜999人
約 2.0 億
小企業
10〜99人
約 1.7 億
同じ正社員・同じ性別・同じ学歴でも、企業規模だけで生涯年収は 大 2.4 億 ⇔ 小 1.7 億=約 1.4 倍・差 0.7 億円。給与・賞与の差に加え、退職金の厚みの差(青の右に伸びる金色)が上乗せされる。
SOURCE:厚労省「令和7年 賃金構造基本統計調査」第 4 表(企業規模別)+「就労条件総合調査 令和5年」より独自試算(バー長は大企業=100% 基準)
FACT — 規模の壁
企業規模だけで 生涯年収 約 0.7 億円差

学歴・性別をそろえても、大企業(1,000人以上)と小企業(10〜99人)では生涯年収が約 1.4 倍。生涯年収偏差値にして約 11 ポイント(56 ⇔ 45)の差が、勤め先の規模という一点から生まれます。

なぜ規模で差がつくのか① — 退職金は 2.85 倍も開く

生涯年収の差を生む第一の要因は、実は 退職金です。就労条件総合調査 令和5年によれば、大卒・定年・勤続 35 年の退職金は、1,000人以上で約 3,508 万円、30人未満で約 1,232 万円。その差は 2.85 倍に達します。これは学歴差(大卒/高卒現業 1.60 倍)や退職事由差(定年/自己都合 1.67 倍)を上回る、退職金の最大の変動要因です。

図 2|退職金は企業規模で 2.85 倍 — 大卒・定年・勤続 35 年
RETIREMENT ALLOWANCE BY FIRM SIZE / 万円
1,000人以上
3,508 万
300〜999人
約 2,750 万
100〜299人
約 2,180 万
30〜99人
1,896 万
30人未満
1,232 万
1,000人以上 3,508 万 vs 30人未満 1,232 万=2.85 倍・差 2,276 万円。さらに 30人未満企業の約 40%は退職金制度そのものがない(全国平均でも約 25%)。中小・零細では「そもそも貰えない」リスクも生涯年収を押し下げる。
SOURCE:厚労省「就労条件総合調査 令和5年」(規模区分:30人未満/30〜99人/100〜299人/300〜999人/1,000人以上)。30〜99人=基準値 1,896 万を 1.00 とした規模別倍率で試算

退職金は「長年の積み重ね」がまとめて支払われるストックの所得です。月々の給与差は気づきにくくても、定年時にまとめて 2,000 万円以上の差となって現れます。しかも中小・零細では 退職金制度がない企業が約 4 社に 1 社(30人未満では約 4 割)。この場合、生涯年収から退職金分がまるごと消えるため、規模の差はさらに開きます。

なぜ規模で差がつくのか② — 賃金カーブの傾きが違う

第二の要因は、年代別の賃金カーブの傾きです。大企業は役職ポストが多く、定期昇給と昇格で 50 代まで賃金が伸び続けます。一方、中小・零細では 30〜40 代でカーブが寝てしまい、ピークの高さそのものが低くなります。同じスタート地点でも、40 年かけてカーブの面積(=生涯の給与総額)に大きな差が生まれるのです。

図 3|企業規模別 年代別 月額所定内給与カーブ(正社員・男女計イメージ)
MONTHLY SALARY CURVE BY FIRM SIZE / 千円
企業規模別の年代別月額賃金カーブ。大企業は 50 代後半で 約 490 千円までピーク。小企業は 50 代でも 約 350 千円で頭打ちになり、カーブの傾きの差が生涯年収の差を生む。 600 450 300 150 0 ~19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 492 352 月額 千円 ↑ → 年齢
大企業(1,000人以上) 中企業(100〜999人) 小企業(10〜99人)
大企業は 50 代前半で月額 約 492 千円(年収換算 約 910 万円)までピーク。小企業は 50 代でも 約 352 千円(年収換算 約 650 万円)で頭打ち。カーブの傾きの違いが 40 年積み上がって生涯年収の差になる。
SOURCE:厚労省「令和7年 賃金構造基本統計調査」企業規模別・年齢階級別の傾向にもとづくイメージ図(正社員・男女計)
※ カーブは規模別の昇給傾向を示すイメージです。実額は業種・職種・役職で変動します。

規模差を生む 3 つの構造

  1. 役職ポストの数:大企業ほど課長・部長などの管理職枠が多く、昇格による賃金上昇のチャンスが大きい
  2. 退職金制度の有無と厚み:大企業はほぼ 100% 制度あり、30人未満では約 4 割が制度なし。あっても規模で 2.85 倍の差
  3. 賞与(ボーナス)の比率:大企業は月給に対する賞与月数が厚く、M2A(賞与込み係数)が高くなりやすい

企業規模 × 学歴 × 性別 — 最大約 2 倍・1.8 億円差

ここまでは「学歴・性別をそろえた」企業規模だけの差(約 1.4 倍)を見てきました。しかし現実には、これらの要因は重なります。最も生涯年収が高い「大企業・大卒・男性」と、最も低い「小(零細)企業・高卒・女性」を並べると、差はさらに開きます。

図 4|生涯年収の「最大格差」 — 企業規模 × 学歴 × 性別
WIDEST LIFETIME INCOME GAP / 偏差値 67 ⇔ 40
大企業・大卒・男
偏差値 約 67
約 3.3 億
規模計・ミックス
偏差値 50
約 2.0 億
小・零細・高卒・女
偏差値 約 40
約 1.5 億
最大差は 大企業大卒男 約 3.3 億(偏差値 67)vs 小・零細高卒女 約 1.5 億(偏差値 40)=約 2.2 倍・偏差値で約 25 ポイント・金額で約 1.8 億円。企業規模・学歴・性別という 3 つの構造要因が同じ向きに重なると、生涯年収は倍の開きになる。
SOURCE:厚労省「令和7年 賃金構造基本統計調査」+「就労条件総合調査 令和5年」より独自試算(バー長は大企業大卒男=100% 基準)

逆に言えば、企業規模は「変えられる」要因でもあります。学歴や性別は後から動かしにくい一方、転職による企業規模のシフトは、生涯年収偏差値を最も大きく動かせるレバーの一つです。20〜30 代での規模アップは、残りの就労期間が長いぶん、生涯年収への効きが特に大きくなります。

生涯年収偏差値 × 金額 早見表

絶対額(億円)だけでは、自分が「どの位置」にいるかは分かりにくいものです。そこで 生涯年収偏差値(平均 50、標準偏差 10) で表すと、相対的な位置が直感的に把握できます。当サイトの試算では、正社員の生涯年収中央値を 約 2.0 億円とし、対数正規分布(σ_log=0.30)で算出すると、次のような対応になります。

生涯年収偏差値 生涯年収 目安 上位 % 該当する属性の例
40約 1.5 億下位 15.87%小・零細 × 高卒女 平均的
45約 1.7 億下位 30.85%小企業(10〜99人)平均的
50約 2.0 億中位中企業(100〜999人)平均的
56約 2.4 億上位 27.4%大企業(1,000人以上)平均的
60約 2.7 億上位 15.87%大企業 × 大卒 標準
67約 3.3 億上位 4.46%大企業 × 大卒男 × 管理職
70約 3.6 億上位 2.28%大企業 部長・役員候補

生涯年収偏差値は「年収偏差値」とは異なる指標です。今の年収偏差値が同じでも、企業規模による昇給カーブと退職金の差で、生涯年収偏差値は大きく動きます。年収偏差値だけでなく「定年到達率」「退職金偏差値」「再雇用」の総合点が生涯年収偏差値を決めます。

あなたの年収偏差値・退職金偏差値を診断する

生涯年収偏差値は人生の総合点ですが、その出発点は 今の年収偏差値退職金偏差値です。当サイトでは、令和7年 賃金構造基本統計調査と就労条件総合調査 令和5年のデータで、企業規模を含む属性ごとの偏差値を 1 分で診断できます。

あなたの年収偏差値・退職金偏差値を診断する(無料)
性別・年齢・学歴・業種・企業規模・都道府県を入力すると、令和7年データで全国・同属性・東京 6 ベースの年収偏差値を即時算出。退職金偏差値ツールでは企業規模・勤続年数・退職事由から退職金額を試算します。今の規模での位置を確かめ、生涯年収偏差値の核を把握しましょう。
年収偏差値を診断 → 退職金偏差値を診断 →

「規模の壁」を知ることが、選択の第一歩

令和7年データが示すのは、生涯年収が「能力」だけで決まらないという冷静な事実です。企業規模・学歴・性別 — これらの構造要因が組み合わさって、生涯年収偏差値で約 25 ポイント・最大約 1.8 億円の差が生まれます。とりわけ 企業規模は、賃金カーブと退職金の両方に効く二重のレバーでした。

とはいえ、この構造を知っているか知らないかで、20 代の就職、30 代の転職判断、40 代のキャリア戦略は大きく変わります。学歴や性別と違い、企業規模は転職で動かせる数少ない要因です。生涯年収偏差値を「知る」ことは、それを「使う」ことの第一歩です。今日の年収偏差値を知ることが、40 年の積分値を最大化する出発点になります。


データソース / 編集部

DataLabo 編集部について

DataLabo(データラボ)は、日本の公的統計を最速で反映することを編集方針とするデータジャーナリズム媒体です。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」「就労条件総合調査」、家計の金融行動に関する世論調査(J-FLEC)など、行政・準行政の一次データを直接読み解き、診断ツール・解説記事として公開しています。

本記事は厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」(2026 年 3 月 24 日公表)の企業規模別 正社員月額所定内給与と「就労条件総合調査 令和5年」の企業規模別 退職給付額・制度なし企業比率を一次資料に、賞与込み係数(M2A)と年代別カーブを組み合わせて 43 年間積算した独自試算結果です。※ 個人差・業種差・職種差は別途要因として存在します。退職金額は大卒・定年・勤続 35 年ベースを男女計モデルに調整した目安です。

所在地: 大阪府大阪市淀川区宮原 1 丁目 17 番 33 号 北沢産業ビル 3 階 HiveSpace 新大阪 312 号室 / お問い合わせ: info@nenshuu.com


本記事は無料・登録不要で公開しています。引用される場合は出典として「年収偏差値ラボチェッカーhttps://nenshuu.com/blog/shougai-nenshu-hensachi-kigyokibo/)」を表記してください。