BLOG ARTICLE / 04 手取り偏差値

【年収 600 万・40代】手取りはいくら?
平均494万のすぐ上、累進税率 10% → 20% 境界線で見る現実

公開日: 2026-04-30 更新日: 2026-05-26 所要: 約 18 分

第1章:「年収600万円」 — 平均より少し上、安心圏ではない現実

年収 600 万円は、令和7年 賃金構造基本統計調査(2026年3月24日公表)の 全国平均年収 494 万円より約 21% 上に位置する所得帯です。100 人の一般労働者を年収順に並べたとき、上位 28 番目あたり — 偏差値でいえば約 56 に相当します。30 代後半から 40 代の大手企業の主任・係長クラス、中小企業のマネージャー層、専門職の中堅クラスでよく見られる年収帯でもあります。

しかし、給与明細を見ながらこう感じたことはないでしょうか。

「平均より上のはずなのに、思ったほど余裕がない」
「月収50万円のはずなのに、振込額は38万円台」
「あと少し年収が上がれば、税負担がガクっと重くなりそう」

その感覚はすべて正確です。年収 600 万円・40 歳以上・扶養なしの会社員の場合、令和7年度税制で計算すると 手取りは年 457 万円。額面の 76.1% にとどまります。残り 143 万円は社会保険料・所得税・住民税として差し引かれています。

そして、もうひとつ重要なことがあります。年収 600 万円は 所得税の累進ブラケットで「10% から 20% に切り替わる境界線のすぐ手前」に位置しています。あと年収 75 万円ほど上がると、課税所得が 330 万円を超え、税率 20% のゾーンに入ります。

本記事では、この「あと一歩で境界線」のリアルを、社会保険料の全 4 項目の内訳から、年代別の偏差値、東京と地方の手取り差、月額の家計シミュレーション、そして 500 万円・700 万円との限界効用比較まで、完全に解剖していきます。

第2章:年収600万円の月収・賞与構造

まず、額面年収 600 万円の月収換算を確認しましょう。

賞与の有無・月数は企業や業種によって大きく異なりますが、本記事では計算をシンプルにするため 「賞与なし、月収 50 万円」で試算します。賞与ありの場合でも、年間の社会保険料・税額の合計はほぼ同じです(賞与にも社会保険料・源泉税がかかるため)。

ただし、賞与比率が高い場合には月の手取りキャッシュフローが変動します。例えば賞与 4 ヶ月の場合、月の額面は 37.5 万円に下がり、月手取りは約 30 万円台前半まで低下します。その一方で、夏冬の賞与時にまとまった手取り(約 50〜55 万円 × 2 回)が入る構造になります。月次の家計管理をする際には、この「月額の波」に注意が必要です。

標準報酬月額表(協会けんぽ東京)に当てはめると、月収 50 万円は 標準報酬月額 50 万円級(第30級)に該当します。これは社会保険料計算の基礎となる重要な数値です。

第3章:社会保険料 — 年 92.7 万円・15.45% の全内訳

年収 600 万円から最初に差し引かれるのは社会保険料です。40 歳以上・扶養なし・配偶者なし・協会けんぽ東京の前提で、4 つの項目を順番に見ていきましょう。

4 項目の内訳

種類料率(本人負担)年額月額役割
厚生年金9.15%54.90 万4.58 万老齢・障害・遺族年金の財源
健康保険4.955%29.73 万2.48 万医療費 3 割負担の財源
介護保険(40歳以上)0.795%4.77 万0.40 万介護サービスの財源
雇用保険0.55%3.30 万0.28 万失業給付・教育訓練の財源
合計15.45%92.70 万7.73 万

月平均 7.7 万円、年間 92.7 万円。年収 600 万円のうち約 15.5% が社会保険料として消えていきます。最大項目の厚生年金だけで月 4.6 万円、年間 54.9 万円に達しています。

FACT-CARD 1 — 社会保険料の「見えない天井」
厚生年金には「標準報酬月額 65 万円」の上限があります
年収 600 万円(月収 50 万円)は上限の 65 万円よりかなり下にあるため、年収が上がればそのまま厚生年金保険料も増加します。しかし年収 780 万円(月収 65 万円)を超えると保険料が頭打ちになります。つまり、年収 600 万円帯は「まだ社保が全額比例で効いている」段階にあります。これが年収 800 万超の高所得者と比べて社保負担率が相対的に高く感じる構造的要因です。
出典:協会けんぽ「令和7年度 保険料額表(東京支部)」2025年3月分以降適用

社会保険料率は都道府県で異なる

健康保険料率は協会けんぽの場合、都道府県ごとに異なります。令和7年度の本人負担率(40歳以上)を比較してみましょう。

年収 600 万円で計算すると、新潟と佐賀の差は年間約 1.6 万円です。大きな差ではありませんが、「同じ年収でも保険料が違う」ことは知っておくべき事実です。なお、厚生年金(9.15%)と雇用保険(0.55%)は全国一律のため、差が出るのは健康保険と介護保険だけです。

図1:年収600万円 社会保険料の内訳(年額・万円)

協会けんぽ東京 令和7年度 本人負担 / 40歳以上

厚生年金
54.90
健康保険
29.73
介護保険
4.77
雇用保険
3.30
合計
92.70 万円

厚生年金が全体の 59% を占め、最大の控除項目です。介護保険(40歳以上)と雇用保険は合計でも 8.7% に過ぎません。

出典:協会けんぽ「令和7年度 保険料額表(東京支部)」/ 厚労省「令和7年度 雇用保険料率」

第4章:所得税 — 累進税率 10% ブラケットの上端で

社会保険料を差し引いたあと、次にかかるのが所得税です。計算ステップを順に追っていきましょう。

所得税の 6 ステップ計算

  1. 給与所得控除:600 万 × 20% + 44 万 = 164 万円(年収 660 万円以下の場合の算式)
  2. 給与所得:600 万 − 164 万 = 436 万円
  3. 所得控除(基礎控除 + 社保控除):48 万 + 92.7 万 = 140.7 万円
  4. 課税所得:436 万 − 140.7 万 = 295.3 万円
  5. 所得税本税:295.3 万 × 10% − 9.75 万 = 19.78 万円
  6. 復興特別所得税(2.1%)込み:19.78 万 × 1.021 = 20.20 万円

課税所得 295.3 万円は、所得税 7 段階累進の 第 2 ブラケット(195 万超〜330 万以下・税率 10%)にぴったり収まっています。

視点:累進税率 10% → 20% 境界線まで、あと「課税所得 35 万円」

年収 600 万円・40 歳・扶養なしの課税所得は 295.3 万円です。所得税の 10% ブラケット上限(330 万円)まであと 34.7 万円しかありません。

これは 年収換算で約 75 万円のアップに相当します(給与所得控除の圧縮 + 社保増を勘案)。つまり、年収 675 万円あたりから、課税所得が 330 万円を超えて税率 20% ゾーンに入り始めるのです。

「あと少しで税率20%の壁」と感じるのは、まさにこの構造のためです。年収 600 万円は、累進構造の急峻部分の入り口に立っている位置にあります。

所得税 7 段階ブラケット — 600 万円の位置を確認

課税所得税率控除額年収600万の位置
〜195 万円5%0
195 万超〜330 万円10%9.75 万ここ(295.3 万)
330 万超〜695 万円20%42.75 万あと 34.7 万円で到達
695 万超〜900 万円23%63.6 万
900 万超〜1,800 万円33%153.6 万
1,800 万超〜4,000 万円40%279.6 万
4,000 万超45%479.6 万

累進課税は「超えた部分にだけ高い税率がかかる」仕組みのため、年収 675 万円で 20% ブラケットに入っても 330 万円を超えた部分(約 35 万円)にだけ 20% が適用されます。「年収が上がると税金で全部持っていかれる」というのは誤解ですが、限界税率(最後の 1 円にかかる税率)が 10% → 20% に跳ね上がるインパクトは確かに大きいです。

第5章:住民税 — 一律 10% + 均等割 0.5 万円

住民税は所得税と異なり、所得割が一律 10%(道府県民税 4% + 市区町村民税 6%)です。ただし、基礎控除額が所得税の 48 万円より低い 43 万円であるため、課税所得が若干異なります。

住民税の計算

住民税は前年の所得に基づいて翌年 6 月から課税されるため、転職や退職で年収が変動した翌年に「思ったより住民税が高い」と感じる原因になります。年収 600 万円から年収 400 万円に転職した場合、翌年 6 月までは 600 万円ベースの住民税を払い続けることになります。

第6章:年収 600 万円の手取り 457 万円を確定する

ここまでの 3 つの控除を合算し、手取り額を確定しましょう。

項目年額(万円)月平均(万円)年収比
額面年収600.0050.00100.0%
社会保険料−92.70−7.7315.45%
所得税(復興税込)−20.20−1.683.37%
住民税−30.53−2.545.09%
控除合計−143.43−11.9523.91%
手取り456.5738.0576.1%

年収 600 万円・40 歳以上の手取りは、年 457 万円・月平均 38 万円です。額面の 4 分の 1 弱(23.9%)が税・社保に消える計算です。

この「76.1%」という手取り率は、年収 500 万円の 77.1% からわずか 1 ポイント低下しただけですが、年収 800 万円では 73.4%、1,000 万円では 71.9% と加速度的に低下していきます。年収 600 万円は、この「手取り率が低下し始める転換点」に位置しています。

FACT-CARD 2 — 手取り率の「逓減カーブ」
年収 300 万→600 万→1,200 万の手取り率は 80.6%→76.1%→71.0% と逓減します
累進課税と社会保険料の相乗効果により、手取り率は年収が上がるほど低下します。年収 300 万円では約 80.6% が手取りになりますが、600 万円では 76.1%、1,200 万円では約 71.0% まで落ちます。「年収が 2 倍になっても手取りは 1.8 倍にしかならない」のが累進構造の本質です。年収 600 万円は、この逓減カーブが緩やかなフェーズから急峻なフェーズに切り替わる分岐点にあたります。
出典:令和7年度税制(所得税法7段階累進・復興特別所得税2.1%・住民税10%+均等割0.5万円)、協会けんぽ東京

条件が変わると手取りはどう動くか

本記事は「40歳以上・扶養なし・配偶者なし」で計算していますが、条件が変わると手取りは以下のように変動します。

条件変更手取り変動理由
40歳未満に変更+4.77 万介護保険料(0.795%)が不要
扶養親族 1 人追加+約 9 万扶養控除 38 万×(所得税 10%+住民税 10%)
配偶者控除あり+約 9 万配偶者控除 38 万×(所得税 10%+住民税 10%)
扶養 1 人+配偶者控除+約 23 万上記の複合+介護保険免除(30代想定)

つまり、30 代で配偶者あり・子 1 人の場合、手取りは約 480 万円(月 40 万円)まで上昇します。同じ年収 600 万円でもライフステージによって月の手取りが 2 万円以上変わるのです。

第7章:年収 500 万 / 600 万 / 700 万 / 800 万 の手取り階段表

年収レンジ別 手取り階段表(令和7年度税制・40歳・扶養なし)
グレー=控除(社保・所得税・住民税)/カラー=手取り(万円)
0 300 600 900 1200 1500 386500万77.1% 457600万76.1% 523700万74.7% 587800万73.4% 7191,000万71.9% 額面年収(万円)/ 数字=手取り万円・下段=手取り率

5 つの年収帯を比較すると、累進構造の効き方が鮮明に見えてきます。

項目年収 500 万年収 600 万年収 700 万年収 800 万
額面年収500 万600 万700 万800 万
社会保険料−77.25−92.70−108.15−121.77
所得税(復興税込)−13.61−20.20−33.47−46.25
住民税−23.58−30.53−35.91−44.97
控除合計−114.43−143.43−177.53−212.99
手取り385.6 万456.6 万522.5 万587.0 万
月平均手取り32.1 万38.0 万43.5 万48.9 万
手取り率77.1%76.1%74.6%73.4%
所得税ブラケット10%10%(境界手前)20%20%

注目すべき構造 — 「限界手取り」という視点

「額面が 100 万円増えたとき、手取りは何万円増えるか」を 限界手取り額と呼びます。この数字こそが「年収アップの実感」を左右します。

500 → 600 万と 600 → 700 万を比較すると、同じ「額面 +100 万円」でも手取り増加に 5.1 万円の差が生じています。これが 10% → 20% のブラケット切替の実効インパクトです。年間 5 万円、月に直すと約 4,200 円。小さく見えますが、複利的に積み上がると無視できません。

「年収を上げても手取りはあまり増えない」と感じる原因は、まさにこの累進構造にあります。年収 600 万円は、その急斜面の入口に立っている位置なのです。

第8章:年収600万円の年代別偏差値 — 25歳なら 62、45歳なら 54

同じ年収 600 万円でも、何歳で稼いでいるかによって社会全体での位置は大きく変わります。賃金構造基本統計調査(令和7年)の年代別平均から、年収 600 万円の相対的なポジションを確認しましょう。

年齢同年代平均年収(推定)600万との差偏差値(概算)100人中の順位
25歳約 355 万+245 万約 62上位 11 番目
30歳約 420 万+180 万約 59上位 18 番目
35歳約 460 万+140 万約 57上位 24 番目
40歳約 500 万+100 万約 55上位 31 番目
45歳約 520 万+80 万約 54上位 34 番目
50歳約 540 万+60 万約 53上位 38 番目

注目すべきは、25 歳と 50 歳では偏差値に 約 9 ポイントの差があることです。25 歳で年収 600 万円を達成しているのであれば、それは上位 11% に入る「かなり高い」ポジションです。一方、50 歳の場合は上位 38% で「やや上」程度にとどまります。

図2:年収600万円の年代別偏差値(概算)

賃金構造基本統計調査 令和7年 / 年齢階級別平均から推定

25歳
偏差値 62
30歳
偏差値 59
35歳
偏差値 57
40歳
偏差値 55
45歳
偏差値 54
50歳
偏差値 53

同じ年収600万円でも、25歳と50歳では偏差値に9ポイントの差があります。若年層ほど相対的な優位性が高い構造です。

出典:厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」年齢階級別所定内給与額より推定。偏差値は CV=0.37 想定。

この構造から見えてくるのは、年収 600 万円の「価値」は年齢とともに相対的に薄まっていくということです。20 代で 600 万円に到達できた方は、そのまま維持しているだけでも 40 代では偏差値 55 に自然低下します。キャリアの「現在地」を知るには、絶対額だけでなく同年代内での相対位置を把握することが重要です。

第9章:東京 vs 地方 — 同じ年収600万円でも暮らしが違う

手取り額そのものは全国でほぼ同じ(健康保険料率の差で年 1〜2 万円程度)ですが、可処分所得(手取り − 固定費)で見ると、地域によって生活水準が大きく変わります。

月額手取り 38 万円の家計シミュレーション

支出項目東京23区大阪市地方中核市ガイドライン
住居費(2LDK)18.0 万12.0 万8.0 万手取りの 25% 以内推奨
食費5.5 万5.0 万4.5 万手取りの 15% 以内
水道光熱費1.5 万1.5 万1.8 万
通信費1.2 万1.0 万1.0 万
交通費1.5 万1.0 万2.5 万地方は車維持費
保険・医療1.5 万1.5 万1.5 万
教養・娯楽2.5 万2.0 万1.5 万
固定費小計31.7 万24.0 万20.8 万
残額(貯蓄・投資余力)6.3 万14.0 万17.2 万手取りの 20% = 7.6 万

東京 23 区の 2LDK で月 18 万円の住居費は、手取り 38 万円の 47% を占めます。ファイナンシャルプランニングの一般的な推奨値(25%以内)の約 2 倍です。結果、貯蓄余力は月 6.3 万円にとどまり、20% 目標の 7.6 万円に届きません。

一方、地方中核市(仙台・広島・福岡など)では住居費が手取りの 21% で収まり、月 17.2 万円の貯蓄余力が生まれます。年間に換算すると、東京と地方では 約 131 万円の貯蓄差が生じる計算です。

FACT-CARD 3 — 住居費が家計の命運を分ける
東京23区 2LDK 18万円は手取りの47%。地方8万円なら21%。差額は年131万円の貯蓄差になります
年収600万円・手取り月38万円の家計において最大の変数は住居費です。東京のファミリー物件は手取りの半分近くを消費し、貯蓄目標の月7.6万円(手取り20%)に届きません。共働きで世帯年収1,000万円超を実現するか、住居エリアを見直すかが、同じ年収600万円でも「豊かさの実感」を左右する分岐点になります。
注:住居費は不動産ポータルサイトの2025年時点の相場概算。個別物件により変動します。

ただし、地方には地方の事情があります。自家用車の維持費(ローン・保険・駐車場・ガソリン)が月 2〜3 万円かかるケースが多く、東京の交通費 1.5 万円との差は小さくなります。また、東京は年収アップの選択肢(転職市場の厚み・副業機会)が圧倒的に多いため、単純な「東京 vs 地方」の比較では結論が出ません。

重要なのは、手取り額だけでなく「手取り − 固定費 = 自由に使えるお金」を把握することです。年収 600 万円の手取り 38 万円は、住むエリアによって月 6 万円にも 17 万円にもなりうる数字なのです。

第10章:年収 600 万円の社会全体での位置

令和7年データで見ると、年収 600 万円は以下の位置にあります。

指標600万との差
賃構調 R7 全国平均494 万+106 万
国税庁 民間給与統計 R6 平均478 万+122 万
本サイト中央値(log-normal推定)約 430 万+170 万
同年代男性平均(30-34歳 男性)479 万+121 万
大学卒×大企業 平均640 万−40 万

年収 600 万円は、全国全雇用者の中で 上位 28%(偏差値 約 56)に位置します。100 人のうち 72 人より上、28 人より下にいるイメージです。

しかし、大学卒×大企業の平均(640 万)には 40 万円届いていないという事実もあります。つまり、「平均より上だが、大卒大企業の平均未満」という微妙なゾーンにいることになります。

本サイトの「6 ベース偏差値モデル」を使って属性別の偏差値を計算すると、同じ年収 600 万でも、見るベースで偏差値は 49.7〜56.8 まで 7 ポイント振れることがわかります。全国平均で見れば上位ですが、大卒・大企業・東京という条件で見れば「ちょうど真ん中」という結果もありえるのです。

図3:年収600万円の相対ポジション(各ベース別)

賃金構造基本統計調査 令和7年 / 6ベース偏差値モデル概算

全国平均
偏差値 56
年代別(40代)
偏差値 55
業種別(情報通信)
偏差値 52
大卒×大企業
偏差値 50
東京都
偏差値 52

同じ年収600万円でも、比較対象によって偏差値50(ちょうど真ん中)から56(上位28%)まで振れます。自分がどの集団に属しているかを意識することが重要です。

出典:厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」、本サイト 6 ベース偏差値モデルによる概算

第11章:600 万円で実現できるライフスタイル

手取り月 38 万円(年 457 万円)で、具体的にどんな暮らしが可能なのでしょうか。ライフステージ別に整理します。

ケース A:単身・東京都内

ケース B:夫婦(片働き)・東京近郊

ケース C:夫婦+子1人・地方都市

年収 600 万円で見えてくるのは、「暮らせる」と「余裕がある」の間のグラデーションです。住むエリアとライフステージによって、同じ手取り 38 万円が「ゆとりある単身生活」にも「ギリギリの子育て家計」にもなりえます。

第12章:あなたの正確な手取り偏差値を診断する

本記事では「年収 600 万・40 歳・扶養なし」という標準ケースで試算しましたが、あなた自身の年齢・扶養人数・配偶者の有無で手取りは 10〜20 万円振れます

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まとめ:累進構造の入口に立つ年収帯

本記事のポイントを整理します。

  1. 年収 600 万・40 歳以上・扶養なしの手取りは 年 457 万円・月 38 万円(手取り率 76.1%)です
  2. 差し引かれるのは 社会保険料 92.7 万(厚生年金 54.9 万+健保 29.7 万+介護 4.8 万+雇用 3.3 万)+ 所得税 20.2 万 + 住民税 30.5 万 = 約 143 万円です
  3. 課税所得 295.3 万円は 所得税 10% ブラケット上限まであと 34.7 万円。年収 675 万円あたりで税率 20% に到達します
  4. 500 → 600 万の限界手取り率は 71.0%、600 → 700 万では 65.9% に急落します。10% → 20% 境界の実効インパクトは年 5.1 万円です
  5. 年代によって偏差値は 53〜62 まで振れます。25 歳なら上位 11%、50 歳なら上位 38%
  6. 東京 23 区と地方都市では、同じ手取り 38 万円でも 貯蓄余力に月 11 万円(年 131 万円)の差が生じます
  7. 大学卒×大企業平均(640万)にあと一歩のポジションです。全国では上位ですが、属性を揃えると「ちょうど真ん中」になることもあります

「年収 600 万円」は、日本社会で「ちょっと上にいる」「平均より頑張っている」と感じられる年収帯です。しかし税制的には、これから累進の急斜面を登り始める入口に立っている位置でもあります。

重要なのは、額面の数字だけでなく、手取り → 固定費控除後の自由資金 → 年代別の相対位置という 3 段階の視点で自分のポジションを把握することです。年収を上げる戦略を立てるなら、10% → 20% の境界をどう越えていくかが、今後 5 年の家計判断の核心になるでしょう。


よくある質問(FAQ)

年収600万円の手取りはいくらですか?
年収600万円・40歳以上・扶養なし・協会けんぽ東京の場合、令和7年度税制で計算すると手取りは年間約457万円(月平均約38万円)です。社会保険料92.7万円(15.45%)、所得税20.2万円(3.37%)、住民税30.5万円(5.09%)の計143万円が差し引かれ、手取り率は76.1%となります。
年収600万円の社会保険料の内訳は?
令和7年度・協会けんぽ東京の本人負担率で計算すると、厚生年金9.15%(54.90万円)、健康保険4.955%(29.73万円)、介護保険0.795%(4.77万円・40歳以上)、雇用保険0.55%(3.30万円)の合計15.45%(92.70万円)です。最大項目の厚生年金だけで月4.6万円に達します。
年収600万円はどのくらいの偏差値ですか?
全国の一般労働者全体(平均494万円)に対しては偏差値約56、上位約28%の位置です。ただし年代によって大きく異なり、25歳では偏差値62前後(上位11%)、35歳では偏差値57前後(上位24%)、45歳では偏差値54前後(上位34%)となります。同じ年収でも比較対象によって位置が変わります。
年収600万円の所得税率は何パーセントですか?
年収600万円・40歳・扶養なしの課税所得は約295万円で、所得税率は10%(195万超〜330万以下のブラケット)に該当します。ただし、課税所得330万円の20%ブラケットまであと約35万円しかなく、年収換算で約75万円のアップ(年収675万円前後)で税率20%ゾーンに入ります。
年収600万円で東京と地方では手取りに差がありますか?
健康保険料率が都道府県ごとに異なるため、手取り自体に年1〜2万円の差が生じます。しかしより大きいのは物価の差です。家賃が2LDKで東京18万円、大阪12万円、地方都市8万円と大きく異なるため、可処分所得(手取り−固定費)では地方が有利になるケースがあります。東京と地方で月の貯蓄余力に約11万円の差が出る試算もあります。
年収500万円から600万円に上がると手取りはいくら増えますか?
年収500万円の手取りは約386万円、600万円では約457万円なので、額面+100万円に対して手取り増加は+71万円です。つまり増分の71%が手取りに、29%が税・社保に吸収されます。これは500→600万円帯がまだ10%ブラケット内に収まっているためで、600→700万円帯(20%ブラケットに一部到達)では限界手取り率が65.9%に低下します。
年収600万円で月38万円の手取り、家計の目安は?
ファイナンシャルプランニングの一般的な目安では、住居費は手取りの25%以内(約9.5万円)、食費は15%以内(約5.7万円)、貯蓄・投資は20%(約7.6万円)が推奨されます。東京で2LDK 18万円の家賃を支払う場合、手取り比47%に達するため、単身または共働きでない限り家計が逼迫します。首都圏では住居費が家計設計の最大変数となります。
40歳未満の場合、年収600万円の手取りはどう変わりますか?
40歳未満の場合、介護保険料(0.795%・年4.77万円)が不要となるため、手取りは約462万円(月38.5万円)と約5万円増えます。また扶養親族が1人いる場合はさらに約9万円増(扶養控除38万円による所得税・住民税の減額効果)で、30代・扶養1人であれば手取り約471万円前後になります。